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蛇口をパッと閉めたとき、壁の中でゴンって音がすることがあるよね。
あれって放っておいて大丈夫なの?
この記事の要点
水撃作用は、止水機構を急に閉じたときに管路内で起きる圧力の急激な変動作用です。振動や異常音が出て、頻繁に起きると管の破損や継手の緩みから漏水につながります。
水撃圧は流速に比例します。だから防ぐ基本は流速を遅くすることで、目安は1.5〜2.0m/sです。
省令の基準は流速2m/s又は動水圧0.15MPaで急閉止して、上昇圧力1.5MPa以下。ただし上流側に水撃防止器具を付ければ、この基準は適用されません。
配管内の水の流れを急に止めると、行き場を失った運動エネルギーが圧力に変わります。
これが水撃作用です。省令では次のように定義されています。
給水装置の構造及び材質の基準に関する省令 第3条(水撃限界に関する基準)カッコ書き
水撃作用(止水機構を急に閉止した際に管路内に生じる圧力の急激な変動作用をいう。)
「圧力が上がる」ではなく圧力の急激な変動作用という言い方である点に注意してください。
水撃作用が起きると、配管に振動や異常音が生じます。
頻繁に発生すると管の破損や継手の緩みを生じ、漏水の原因になります。壁の中で音がするのは、その予兆です。
ちなみに給水装置が異常音を発する場合、水栓のこまパッキンの摩耗や立上り管の振動が原因のこともあります。それら以外の原因で異常音が出るときは、水撃に起因することが多いとされています。
理由は単純です。
水撃圧は流速に比例するためです。速く流れているものほど、急に止めたときの衝撃が大きくなります。
そのため給水管における水撃作用を防ぐには、基本的に管内流速を遅くする必要があります。目安は一般的に1.5〜2.0m/sです。
ただし実際の給水装置では安定した使用状況の確保が難しく、流速はたえず変化します。だから流速だけに頼らず、次のような装置や場所に注意します。
まず開閉時間が短い給水栓等は、過大な水撃作用を生じるおそれがあります。
次に、水撃圧が増幅されるおそれのある場所が3つあります。
| 増幅される場所 | なぜか |
|---|---|
| 管内の常用圧力が著しく高い所 | 元の圧力に水撃圧が上乗せされる |
| 水温が高い所 | 給湯系統は水撃が出やすい |
| 曲折が多い配管部分 | 曲がりごとに衝撃を受ける |
発生防止や吸収の措置は6つ示されています。
| 措置 | 中身 |
|---|---|
| 給水圧を下げる | 高水圧となる場合は減圧弁、定流量弁等を設置し、給水圧又は流速を下げる |
| 水撃防止器具を置く | 発生のおそれのある箇所には、その手前に近接して水撃防止器具を設置する |
| ボールタップを選ぶ | 比較的水撃作用の少ない複式、親子2球式及び定水位弁等から、用途に適したものを選定する |
| 波立ちを抑える | 受水槽等にボールタップで給水する場合は、必要に応じて波立ち防止板等を施す |
| 鳥居配管を避ける | 増幅を防ぐため、空気の停滞が生じるおそれのある鳥居配管等は避ける |
| 空気を抜く | 水路の上越し等でやむを得ず空気が停滞する場合は、空気弁又は排気装置を設置する |
水撃防止器は、封入空気等をゴム等により圧縮して水撃を緩衝するものです。ベローズ形、エアバッグ形、ダイヤフラム式等があります。
なおダイヤフラム式の逆止弁は、逆流防止のほかに水撃作用や給水栓の異常音の緩和にも有効とされています。
省令第3条に、試験の条件と判定が定められています。
同 第3条(水撃限界に関する基準)
水栓その他水撃作用(止水機構を急に閉止した際に管路内に生じる圧力の急激な変動作用をいう。)を生じるおそれのある給水用具は、国土交通大臣が定める水撃限界に関する試験により当該給水用具内の流速を二メートル毎秒又は当該給水用具内の動水圧を〇・一五メガパスカルとする条件において給水用具の止水機構の急閉止(閉止する動作が自動的に行われる給水用具にあっては、自動閉止)をしたとき、その水撃作用により上昇する圧力が一・五メガパスカル以下である性能を有するものでなければならない。ただし、当該給水用具の上流側に近接してエアチャンバーその他の水撃防止器具を設置すること等により適切な水撃防止のための措置が講じられているものにあっては、この限りでない。
覚える数値は3つです。流速2m/s、動水圧0.15MPa、上昇圧力1.5MPa以下。
流速と動水圧は「又は」でつながっており、どちらか一方の条件でよい点も押さえてください。
条文の最後にただし書きがあるからです。
当該給水用具の上流側に近接してエアチャンバーその他の水撃防止器具を設置すること等により適切な水撃防止の措置が講じられているものは、この限りでないとされています。
つまり「水撃作用を生じるおそれのある給水用具はすべてこの基準を満たさなければならない」は誤りです。
器具そのものが基準を満たすか、上流側に水撃防止器具を置くか、どちらかでよいという構造になっています。
この「性能基準か、措置か」という二者択一の形は、バキュームブレーカを含む逆流防止の規定にもあります。省令の読み方として共通しています。
水撃作用とは何か。省令の定義で答えよ。
止水機構を急に閉止した際に管路内に生じる圧力の急激な変動作用をいいます。「圧力の上昇」ではなく「圧力の急激な変動作用」という言い方が条文どおりです。
水撃作用を防ぐには管内流速をどうするか。目安は。
遅くします。水撃圧は流速に比例するためで、目安は一般的に1.5〜2.0m/sであり、「速くする」は逆なので誤りです。
水撃限界性能基準の試験条件と判定を答えよ。
給水用具内の流速を2メートル毎秒、又は動水圧を0.15メガパスカルとする条件で止水機構を急閉止したとき、上昇する圧力が1.5メガパスカル以下であることです。閉止が自動で行われる給水用具では自動閉止で試験します。
水撃防止器具はどこに設置するか。
水撃作用が発生するおそれのある箇所の手前、つまり給水用具の上流側に近接して設置します。「直後」「下流側」としている肢は誤りです。
水撃作用を生じるおそれのある給水用具は、すべて水撃限界性能基準を満たす必要があるか。
ありません。省令第3条にただし書きがあり、上流側に近接してエアチャンバーその他の水撃防止器具を設置すること等により適切な措置が講じられているものは、この限りでないとされています。
> 同じ「性能基準か措置か」の構造はバキュームブレーカで確認する
実際の給水装置の設計・施工で用いる給水用具や措置の可否は、水道事業者ごとの供給規程で定められています。所管の水道事業者にご確認ください。
解説の中でこの記事を参照している過去問が17問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの17問で全部、という意味ではありません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年8月
給水装置工事事務論
給水装置施工管理法
水道行政
給水装置の概要
給水装置の構造及び性能
まちがえやすいポイント
ひっくり返して出されるのが、流速の向きと、水撃防止器具を置く位置です。
流速は「遅くする」であって速くするではなく、水撃防止器具は発生箇所の「手前(上流側)」に近接して置くもので直後ではありません。どちらも逆にした肢が出ています。
もう1つがボールタップです。水撃作用が少ないのは複式のほうで、「複式は単式に比べて発生しやすい」は逆になっています。