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マクロセルとミクロセル、名前は覚えたけど中身がつながらない。
電位が高いほうと低いほう、どっちが錆びるんだっけ。
この記事の要点
侵食は電気侵食と自然侵食に分かれ、自然侵食がマクロセル侵食とミクロセル侵食に分かれます。
問われるのはどちらの側が侵食されるかです。異種金属では自然電位の低いほう、漏えい電流では電流が流出する部分が侵食されます。
コンクリートに接している部分は電位が高くなり、侵食されるのは接していない土壌側です。ここを逆にした肢が3年度で誤りでした。
令和元年から令和7年までで、5年度出ています。令和4年だけ出題がありません。
覚える形は「分類」と「どちら側が侵食されるか」の2つだけです。
大きく電気侵食と自然侵食の2つです。自然侵食がさらに2つに分かれます。
| 大分類 | 中分類 | 中身 |
|---|---|---|
| 電気侵食 | — | 漏えい電流による侵食/干渉による侵食 |
| 自然侵食 | マクロセル侵食 | 異種金属接触侵食/コンクリート・土壌系侵食/通気差侵食 |
| 自然侵食 | ミクロセル侵食 | 一般土壌侵食/バクテリア侵食/大気中の侵食 |
マクロセル侵食は異種環境での電池作用による侵食です。金属材質、土壌、乾湿、通気性、pH値、溶解成分の違いなどが原因になります。
令和7年は、漏えい電流による侵食を「マクロセル侵食」、異種金属接触を「ミクロセル侵食」と呼んだ肢が誤りでした。
漏えい電流は自然侵食ではなく電気侵食です。異種金属接触はマクロセル侵食のほうに入ります。
標準計画は電気侵食(電食)を、金属管が鉄道、変電所等に接近して埋設されている場合に、漏えい電流による電気分解作用で受ける侵食だとしています。
自然電位の低いほうです。
埋設された金属管が異種金属の管や継手、ボルト等と接触すると、自然電位の低い金属と高い金属との間に電池が形成されます。
「自然電位の高い金属が侵食される」とした肢は、令和元年に誤りとして出ています。
同じ文で「低い金属が侵食される」とした記述は、令和3年と令和7年に正しい肢として出ています。
防ぐには継手の側で電気的に切ります。標準計画は異種金属管との接続に異種金属管用絶縁継手等を使うこととしています。
電流が金属管から流出する部分です。
「電流が金属管に流入する部分に侵食が起きる」とした肢は、令和5年に誤りとして出ています。
令和3年は同じ論点を「電流が金属管から流出する部分に侵食が起きる」と書いており、こちらは正しい肢です。
土壌側です。接している部分ではありません。
地中に埋設した鋼管が部分的にコンクリートと接触している場合、アルカリ性のコンクリートに接している部分の電位が、接していない部分より高くなって腐食電池が形成されます。
その結果、侵食されるのはコンクリートと接触していない部分です。この記述は令和元年に正しい肢として出ています。
電位の高低を逆にした肢は、令和3年・令和5年・令和7年の3年度とも誤りでした。
令和3年は「接していない部分の電位が高い」、令和5年と令和7年は「接している部分の電位が低い」という書き方です。向きは違っても、直す場所は同じ1か所になります。
場所に応じて、材質で対応するか被覆で対応するかです。
給水装置の構造及び材質の基準に関する省令 第4条(防食に関する基準)
酸又はアルカリによって侵食されるおそれのある場所に設置されている給水装置は、酸又はアルカリに対する耐食性を有する材質のもの又は防食材で被覆すること等により適切な侵食の防止のための措置が講じられているものでなければならない。
2 漏えい電流により侵食されるおそれのある場所に設置されている給水装置は、非金属製の材質のもの又は絶縁材で被覆すること等により適切な電気防食のための措置が講じられているものでなければならない。
第1項が酸・アルカリで、求められるのは耐食性を有する材質または防食材の被覆です。
第2項が漏えい電流で、こちらは非金属製の材質または絶縁材の被覆になります。電気を通さない側で対応するという違いです。
腐食が起こりやすい土壌も挙げられています。酸性・アルカリ性の工場廃液等が地下浸透している土壌、海浜地帯で地下水に多量の塩分を含む土壌、埋立地の土壌です。
外面、内面、電食防止の3つに分かれます。
| 区分 | 方法 |
|---|---|
| 管外面 | ポリエチレンスリーブによる被覆/防食テープ巻き/防食塗料の塗付/外面被覆管の使用 |
| 管内面 | 通水口への防食コアの挿入/鋳鉄管の切口面へのダクタイル管補修用塗料/内面ライニング管/管端防食継手 |
| 電食防止 | 絶縁物による被覆/絶縁物による遮へい/絶縁接続法/選択排流法/外部電源法/低電位金属体の接続埋設法 |
令和6年は、この防食工から3か所が空欄で出ました。答えは管頂部・防食コアを挿入・マグネシウムなどで、いずれも標準計画の記述どおりです。
ポリエチレンスリーブは、折り曲げのときに管頂部に重ね部分(三重部)がくるように施工します。土砂の埋め戻し時の影響を避けるためです。
サドル付分水栓等で穿孔した通水口には、防食コアを挿入するなど適切な防錆措置を施します。
低電位金属体の接続埋設法は、標準単極電位の低い金属を接続して固有電位差を利用する方法です。使うのは亜鉛・マグネシウム・アルミニウム等で、チタニウムではありません。
絶縁接続法は、管路に電気的絶縁継手を挿入して管の電気的抵抗を大きくし、流出入する漏えい電流を減らす方法です。この説明は令和5年に正しい肢として出ています。
異種金属接触侵食は、電気侵食と自然侵食のどちらに入るか。
自然侵食のマクロセル侵食です。令和7年に、これをミクロセル侵食とした肢が誤りでした。
異種金属が接触したとき、侵食されるのはどちらの金属か。
自然電位の低いほうです。「高い金属が侵食される」とした肢は令和元年に誤りでした。
漏えい電流による侵食は、金属管のどの部分に起きるか。
電流が流出する部分です。「流入する部分」とした肢は令和5年に誤りでした。
鋼管が部分的にコンクリートと接触しているとき、侵食されるのはどこか。
コンクリートと接触していない土壌側です。接している部分の電位が高くなって腐食電池が形成されます。
漏えい電流により侵食されるおそれのある場所には、どんな給水装置を設置するか。
非金属製の材質のもの、または絶縁材で被覆すること等により電気防食の措置が講じられたものです(省令第4条第2項)。
> 分岐部の防食はサドル付分水栓と穿孔、埋設そのものの決まりは給水管の埋設深さと明示で扱っています
防食工の仕様や電食防止措置の要否は、水道事業者の設計施工指針や現地の埋設条件によって異なります。実際の施工では所管の水道事業者にご確認ください。
解説の中でこの記事を参照している過去問が12問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの12問で全部、という意味ではありません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年8月
給水装置の構造及び性能
給水装置の概要
水道行政
給水装置工事事務論
給水装置施工管理法
まちがえやすいポイント
3つの論点はどれも「どちら側か」を裏返して出題されます。分類名を覚えても、侵食される側を覚えていないと選べません。
電位が低い金属、電流が出ていく側、コンクリートに触れていない側。侵食されるのはこの3つです。
コンクリートは接している側を守る、と押さえると迷いません。アルカリ性のコンクリートに触れている部分の電位が高くなります。