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水道って市町村がやってるのに、認可するのは市町村長じゃないの?
専用水道はどう扱われるんだろう。
この記事の要点
水道事業も水道用水供給事業も、認可するのは国土交通大臣です。政令によって、多くの事業では都道府県知事が事務を行います。
市町村が出てくるのは認可ではなく、経営の原則と同意のほうです。「市町村長の認可」とした肢は4年度すべてで誤りでした。
専用水道は認可ではなく都道府県知事の確認です。手続きの名前から違います。
認可権者を入れ替える問題が繰り返されています。
事業の種類ごとに、手続きの名前と相手が違います。そこを1枚にすると迷わなくなります。
水道事業と、水道用水供給事業です。
水道法 第6条第1項
水道事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
水道法 第26条
水道用水供給事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
「水道用水供給事業者については、給水区域の概念はないので認可制度をとっていない」とした肢は、令和元年に誤りとして出ています。
給水区域という考え方がないことは事実ですが、認可は別に必要です。法第26条が水道事業と同じ「国土交通大臣の認可」を求めています。
専用水道はここに入りません。手続きの名前が確認で、相手も違います。
水道法 第32条(確認)
専用水道の布設工事をしようとする者は、その工事に着手する前に、当該工事の設計が第五条の規定による施設基準に適合するものであることについて、都道府県知事の確認を受けなければならない。
「専用水道を経営しようとする者は、市町村長の認可を受けなければならない」とした肢は、令和3年と令和5年に誤りとして出ています。
条文の上では国土交通大臣ですが、実際には都道府県知事が行う場合が多くあります。
水道法 第46条第1項(都道府県が処理する事務)
この法律に規定する国土交通大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
その政令が施行令第14条です。第1項は水道事業について、河川の流水を水源とする水道事業と特定水源水道事業であって給水人口が5万人を超えるものを除き、第6条第1項の認可などの事務を都道府県知事が行うと定めています。
第2項は水道用水供給事業で、一日最大給水量が2万5千立方メートル以下のものについて第26条の認可などを都道府県知事が行うとしています。
「水道事業を経営しようとする者は、厚生労働大臣又は都道府県知事の認可を受けなければならない」とした記述は、令和5年に正しい肢として出ています。
大臣と知事が並ぶのはこの政令があるためです。これに対して「市町村長の認可」とした肢は、令和元年・令和3年・令和5年・令和7年のすべてで誤りとして出ています。
認可する側ではなく、経営する側と同意する側です。
水道法 第6条第2項
水道事業は、原則として市町村が経営するものとし、市町村以外の者は、給水しようとする区域をその区域に含む市町村の同意を得た場合に限り、水道事業を経営することができるものとする。
市町村は水道事業の担い手であり、他の者が入ってくるときに同意を与える立場です。認可という言葉は出てきません。
同意はほかの場面にも出てきます。給水区域の拡張によって新たに他の市町村の区域が入るときは、法第10条第1項の後段によって当該他の市町村の同意を得なければ認可を受けられません。
事業者を監督することと、需要者の利益を守ることです。
「水道事業者を保護育成すると同時に需要者の利益を保護するために、水道事業者を監督する仕組みとして認可制度をとっている」とした記述は、令和元年・令和3年・令和7年の3年度で正しい肢として出ています。
もう1つの狙いが給水区域の重複を避けることで、これは認可の基準に書いてあります。法第8条第1項第4号は給水区域が他の水道事業の給水区域と重複しないことを挙げています。
「認可制度によって、複数の水道事業者の給水区域が重複することによる不合理・不経済が回避される」とした記述は、令和元年・令和3年・令和5年・令和7年の4年度すべてで正しい肢として出ています。
7つあり、そのすべてに適合しなければ認可は与えられません。
水道法 第8条第1項(抜粋)
水道事業経営の認可は、その申請が次の各号のいずれにも適合していると認められるときでなければ、与えてはならない。
一 当該水道事業の開始が一般の需要に適合すること。
二 当該水道事業の計画が確実かつ合理的であること。
四 給水区域が他の水道事業の給水区域と重複しないこと。
七 その他当該水道事業の開始が公益上必要であること。
一号の「一般の需要に適合すること」は認可を与えるための条件です。認可を受けた後で証明するものではありません。
「認可後ただちに当該水道事業が一般の需要に適合していることを証明しなければならない」とした肢は、令和5年に誤りとして出ています。
三号は施設基準、五号は供給規程の要件、六号は地方公共団体以外の者に求められる経理的基礎です。
罰則があります。
水道法 第52条(抜粋)
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 第六条第一項の規定による認可を受けないで水道事業を経営した者
三 第二十六条の規定による認可を受けないで水道用水供給事業を経営した者
水道事業も水道用水供給事業も、同じ条の同じ重さで並んでいます。
「認可を受けない事業は無効になるという強い意味をもつ」とした記述は、令和7年に正しい肢として出ています。この言い回しは条文にはなく、公表された正答から正しいと判定できるものです。
水道事業を経営しようとする者は、誰の認可を受けるか。
国土交通大臣です。施行令第14条により多くの事業では都道府県知事が事務を行い、「市町村長の認可」とした肢は誤りです。
水道用水供給事業に認可は必要か。
必要です。給水区域の概念はありませんが法第26条で国土交通大臣の認可が要り、「認可制度をとっていない」とした肢は誤りです。
専用水道の手続きは何か。
布設工事の着手前に受ける都道府県知事の確認です。認可ではなく、相手も大臣ではありません。
市町村は認可制度のどこに出てくるか。
水道事業を原則として経営する側と、市町村以外の者が経営するときに同意を与える側です。給水区域の拡張で他の市町村が入るときも、その市町村の同意が要ります。
「一般の需要に適合すること」はいつ求められるか。
認可を与えるための基準として、申請の段階で求められます。認可後に証明するものではありません。
> 認可ではなく確認で足りる専用水道の範囲は専用水道・簡易専用水道で数字ごと整理しています
> 水源の水質を守るための要請は水道法第43条で扱っています
認可や確認の申請書類、窓口は事業の規模や所在地によって異なります。実務では所管の都道府県または国土交通省の担当部局にご確認ください。
解説の中でこの記事を参照している過去問が8問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの8問で全部、という意味ではありません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年8月
給水装置工事事務論
給水装置施工管理法
水道行政
給水装置の概要
給水装置の構造及び性能
まちがえやすいポイント
入れ替えられるのは相手の名前です。認可は国土交通大臣、確認は都道府県知事、同意は市町村と、3つが別々に決まっています。
4年度すべてで「市町村長の認可」が誤りとして出ています。市町村は水道事業を経営する側であって、認可を与える側ではありません。
令和5年以前の出題は「厚生労働大臣」と書かれています。2024年4月の移管で、現行条文は国土交通大臣です。