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構造材質基準の話が、法・政令・省令のどこに書いてあるのか混ざります。
第16条を読んでも、基準の中身が出てきません。
この記事の要点
第16条が決めているのは止められる場合だけです。基準の中身はこの条に書かれていません。
「政令で定める基準」は水道法施行令第6条を指します。省令ではありません。
基準に適合していることが確認されれば、指定給水装置工事事業者の工事でなくても停止できません。
この条は1項しかなく、条文は2行です。中身が薄いのではなく、中身を下の政令と省令へ預けている条です。
その預け先をたどれば、構造材質基準の全体が1本につながります。
適合していないときに何ができるか、です。
水道法 第16条(給水装置の構造及び材質)
水道事業者は、当該水道によつて水の供給を受ける者の給水装置の構造及び材質が、政令で定める基準に適合していないときは、供給規程の定めるところにより、その者の給水契約の申込を拒み、又はその者が給水装置をその基準に適合させるまでの間その者に対する給水を停止することができる。
令和5年 問20はこの条文の末尾を空欄にした問題で、正答は(3)「給水を停止する」でした。誤りの選択肢は施設の検査・水質の検査・負担の区分・衛生上必要な措置です。
止められる期間も条文が限っていて、基準に適合させるまでの間です。適合すれば止め続けられません。
水道法施行令第6条です。7つ並んでいます。
水道法施行令 第6条(給水装置の構造及び材質の基準)第1項
法第十六条の規定による給水装置の構造及び材質は、次のとおりとする。
一 配水管への取付口の位置は、他の給水装置の取付口から三十センチメートル以上離れていること。
二 配水管への取付口における給水管の口径は、当該給水装置による水の使用量に比し、著しく過大でないこと。
三 配水管の水圧に影響を及ぼすおそれのあるポンプに直接連結されていないこと。
四 水圧、土圧その他の荷重に対して充分な耐力を有し、かつ、水が汚染され、又は漏れるおそれがないものであること。
五 凍結、破壊、侵食等を防止するための適当な措置が講ぜられていること。
六 当該給水装置以外の水管その他の設備に直接連結されていないこと。
七 水槽、プール、流しその他水を入れ、又は受ける器具、施設等に給水する給水装置にあつては、水の逆流を防止するための適当な措置が講ぜられていること。
さらに同条第2項が、この7項目を適用するための技術的細目を省令に委ねています。それが基準省令の性能基準7項目です。
令和5年 問21は、この施行令第6条の号を並べて誤りを1つ選ばせる問題でした。正答は(2)で、「配水管の流速に影響を及ぼすおそれのあるポンプ」としたところが誤りです。
条文は流速ではなく水圧です。ポンプで吸えば配水管の圧力が下がって周りの家の水が出なくなる、という話なので、変わるのは圧力のほうだと考えると付きます。
第1号と第2号は、配水管からの給水管の取出しの問題でも1文にまとめて出ます。「他の給水装置の取付口から30センチメートル以上離し、口径は水の使用量に比し著しく過大でないこと」の形で、令和3年 問11と令和6年 問11の2年度とも正しい肢でした。
給水を拒否するか止めるかを決めるための、判断の物差しです。
給水装置に係る第三者認証機関の業務等の指針(平成9年6月 厚生省水道環境部水道整備課)8の解説
今回策定した性能基準は、(社)日本水道協会の型式承認基準など、現に水道事業者が給水装置に要求している性能をもとに、給水拒否等を行うかどうかの判断基準として、水道水の安全性等を確保するために設定する必要のある最小限の項目及び内容に限定したものである。
令和元年 問20(2)は、この考え方をほぼそのまま書いた正しい肢でした。「給水装置が有するべき必要最小限の要件を基準化している」という言い方です。
望ましい性能を全部詰め込んだ基準ではなく、これを下回ったら水を出せない、という下限だと読むと肢の正誤が付きます。
止められません。第16条の2に例外が2つあります。
水道法 第16条の2(給水装置工事)第2項・第3項
2 水道事業者は、前項の指定をしたときは、供給規程の定めるところにより、当該水道によつて水の供給を受ける者の給水装置が当該水道事業者又は当該指定を受けた者(以下「指定給水装置工事事業者」という。)の施行した給水装置工事に係るものであることを供給条件とすることができる。
3 前項の場合において、水道事業者は、(中略)その者の給水契約の申込みを拒み、又はその者に対する給水を停止することができる。ただし、国土交通省令で定める給水装置の軽微な変更であるとき、又は当該給水装置の構造及び材質が前条の規定に基づく政令で定める基準に適合していることが確認されたときは、この限りでない。
ただし書きの例外は軽微な変更と基準適合が確認されたときの2つです。
令和元年 問20(4)は、この確認済みの場合でも停止できるとしたため誤りでした。同じ年の問38(4)は軽微な変更の側を正しい肢として出しています。
工事の側と、水道事業者の側の両方です。
| 確認する人 | 根拠と場面 |
|---|---|
| 給水装置工事主任技術者 | 法第25条の4第3項第3号。工事した給水装置が第16条の政令基準に適合していることを確認する |
| 水道技術管理者 | 法第19条第2項。給水装置が第16条の基準に適合しているかどうかの検査に関する事務に従事する |
主任技術者の側は令和7年 問38のエ、水道技術管理者の側は令和3年 問8の(5)で、いずれも正しい肢として出ています。
水道事業者が実際に立ち入って行う検査は給水装置の検査で扱っています。
給水装置の不良が、その家だけの問題で終わらないからです。
逆流やクロスコネクションが起きれば汚れた水が配水管へ戻り、口径が過大なら周りの水圧が下がります。施行令第6条の7項目は、いずれも配水管や他の需要者への影響を防ぐ向きで書かれています。
給水装置は需要者の所有物なので、水道事業者が直接作り直させることはできません。そこで、水を出すか止めるかという供給の側の権限で守る形になっています。
第16条で水道事業者ができることは何か。
給水契約の申込を拒むことと、給水を停止することです。停止できるのは基準に適合させるまでの間です。
「政令で定める基準」とはどの条か。
水道法施行令第6条です。7項目が並び、その技術的細目が基準省令に委ねられています。
構造材質基準はどんな水準の基準か。
給水拒否等を行うかどうかの判断に用いる、必要最小限の要件です。望ましい性能を集めたものではありません。
指定事業者以外が施行した給水装置は必ず給水を停止できるか。
できません。軽微な変更のときと、基準適合が確認されたときは第16条の2第3項ただし書きで除かれます。
第16条の基準への適合を確認する立場の者は誰か。
給水装置工事主任技術者と、水道事業者側の水道技術管理者です。
> 基準の中身にあたる性能基準は自己認証と第三者認証で扱っています
実際の給水の停止や契約の拒否は、各水道事業者の供給規程の定めによります。実務では給水区域の水道事業者にご確認ください。
解説の中でこの記事を参照している過去問が4問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの4問で全部、という意味ではありません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年8月
給水装置施工管理法
給水装置の構造及び性能
給水装置の概要
給水装置工事事務論
水道行政
まちがえやすいポイント
「政令で定める基準」を基準省令と読むと外します。政令は施行令第6条で、省令はその技術的細目です。
基準適合が確認されたときは、指定事業者の工事でなくても停止できません。
止められるのは基準に適合させるまでの間で、期間の定めが条文にあります。