T
給水管の太さって、何を基準に決めているの?
計算式が出てくると、とたんに手が止まるんだけど。
この記事の要点
所要水頭は、給水用具の立ち上がり高さと総損失水頭を加えた値です。これが配水管の水圧の水頭以下に収まっていれば、その口径で蛇口まで水が届きます。
口径決定は、この大小関係を確かめる作業です。先に口径を仮定して、成り立たなければ変えて計算し直します。
試験では、損失水頭に何が入るか、どちらの公式を使うか、確保する水頭の数値が問われます。
所要水頭は、給水装置に水を流すために必要な水頭です。
給水用具の立ち上がり高さと、計画使用水量に対する総損失水頭を加えて求めます。
この値が配水管の水圧の水頭以下に収まっていれば、その口径で水が届きます。位置関係を図にすると、次のようになります。
給水装置標準計画・施工方法 2.4 給水管の口径の決定(国土交通省)
給水管の口径は、各水道事業者が定める配水管の水圧において計画使用水量を供給できる大きさにすること。水理計算に当たっては、計画条件に基づき、損失水頭、管口径、水道メータ口径等を算出すること。水道メータ口径は、計画使用水量に基づき、各水道事業者が使用する水道メータの使用流量基準の範囲内で決定すること。
解説はこう書いています。口径は、給水用具の立ち上がり高さと計画使用水量に対する総損失水頭を加えたものが、配水管の水圧の水頭以下となるよう計算によって定めます。
つまり所要水頭を構成するのは次の2つです。
| 構成 | 中身 |
|---|---|
| 立ち上がり高さ | 給水用具の取付位置までの高低差。位置エネルギーとして必要な水頭 |
| 総損失水頭 | 管や給水用具を水が通るときに失われる水頭の合計 |
配水管の水圧は水道事業者が定めます。所要水頭がその水頭を上回ると、蛇口まで水が届きません。
損失水頭の内訳は次の5つです。
このうち主なものは、管の摩擦損失水頭と、水道メータ及び給水用具類による損失水頭です。
その他のものは計算上省略しても影響は少ないとされています。
「省いてよい」ではなく「省いても影響が少ない」という書き方です。ここは読み替えないでください。
給水管の摩擦損失水頭は、口径によって使う公式が変わります。
| 口径 | 使う公式 |
|---|---|
| 50mm以下 | ウエストン公式 |
| 75mm以上 | ヘーゼン・ウィリアムス公式 |
ヘーゼン・ウィリアムス公式には流速係数Cが入ります。
埋設管路の流速係数は、管内面の粗度と管路中の屈曲・分岐部等の数、通水年数によって変わります。新管を使用する設計では、屈曲部損失などを含んだ管路全体として110、直線部のみの場合は130が適当とされています。
動水勾配Iは I=h/L×1000 で表します。hが摩擦損失水頭、Lが管の長さです。
所要水頭が配水管の水圧の水頭以下であれば、計算上は成立します。それでも余裕水頭を残します。
理由は2つです。将来の使用水量の増加と、配水管の水圧変動を考慮するためです。
ぎりぎりで設計すると、条件が変わったときに水が出なくなります。
あわせて2つの数値が示されています。
先止め式瞬間湯沸器で給湯管路が長い場合は、給湯水栓やシャワーなどにおいて所要水量を確保できるようにすることが必要だ、とも書かれています。
手順は5段階です。
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 給水用具の所要水量を設定する |
| 2 | 同時に使用する給水用具を設定する |
| 3 | 管路の各区間に流れる流量を求める |
| 4 | 口径を仮定する |
| 5 | その口径で給水装置全体の所要水頭が、配水管の水圧以下であるかどうかを確かめる |
5で満たされていれば、それが求める口径です。満たされなければ口径を変えて計算し直します。
1と2で使う水量の出し方は同時使用水量で扱っています。建物の種類で算定方法が変わります。
水道メータについては、口径ごとに適正使用流量範囲と瞬時使用の許容流量があり、口径決定の大きな要因になります。水道メータの型式は水道事業者ごとに異なるため、使用する水道メータの性能を確認することが必要です。
水栓類、水道メータ、管継手部などによる損失水頭を、直管の長さに置き換えたものが直管換算長です。
定義はこうです。これらによる損失水頭が、同口径の直管の何メートル分の損失水頭に相当するかを、直管の長さで表したものをいいます。
求め方は3段階です。
あらかじめ計算しておけば、給水用具の損失水頭を、管の摩擦損失水頭を求める式から計算できます。
所要水頭は何と何を加えた値か。またそれを何と比べるか。
給水用具の立ち上がり高さと、計画使用水量に対する総損失水頭を加えた値です。これが配水管の水圧の水頭以下となるように口径を定めます。
損失水頭のうち、計算上省略しても影響が少ないものはどれか。
管の流入口・流出口、曲がり、分岐、断面変化による損失水頭です。主なものとして残るのは、管の摩擦損失水頭と、水道メータ及び給水用具類による損失水頭です。
摩擦損失水頭の公式は、口径でどう使い分けるか。
口径50mm以下はウエストン公式、75mm以上はヘーゼン・ウィリアムス公式を使います。後者には流速係数Cが入り、新管では管路全体で110、直線部のみで130が適当とされています。
最低作動水圧を必要とする給水用具がある場合、どこにどれだけの水頭を確保するか。
給水用具の取付部において3〜5m程度の水頭を確保します。あわせて管内流速は2.0m/s以下(空気調和・衛生工学会)を目安とします。
直管換算長Lはどう求めるか。
給水用具の標準使用水量に対応する損失水頭hと、ウエストン公式流量図から読んだ動水勾配Iを使い、L=(h/I)×1000 で求めます。
> 過去問の計算問題の解き方は水頭の計算問題の解き方で扱っています
> 水道メーターがどう量を測っているかは流速式と容積式の違いで扱っています
> 水道メーター側で見る流量は適正使用流量範囲と瞬時使用の許容流量で扱っています
配水管の水圧、使用する水道メータの型式、給水装置の設計の可否は、水道事業者ごとの供給規程で定められています。最終判断は所管の水道事業者にご確認ください。
解説の中でこの記事を参照している過去問が9問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの9問で全部、という意味ではありません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年8月
給水装置工事事務論
給水装置施工管理法
水道行政
給水装置の概要
給水装置の構造及び性能
試験のしくみ
まちがえやすいポイント
引っかかりやすいのが、口径を決める順序です。
所要水頭を先に出して口径を逆算するのではありません。先に口径を仮定し、その口径での所要水頭が配水管の水圧以下かどうかを確かめます。
もうひとつが、省略できる損失水頭の範囲です。省けるのは流入口・流出口、曲がり、分岐、断面変化のほうで、「主なもの」として残る管の摩擦と水道メータ・給水用具類を覚えると取り違えません。