T
「水が止まらない」だけだと、直し方が決まらない気がする。
どこを見て処置を選ぶんだろう。
この記事の要点
異物なら清掃、パッキンの摩耗ならパッキン交換、弁座の損傷なら部品ごと交換です。
弁座の損傷にパッキン交換とした肢が2年度、異物に新品交換とした肢が令和3年に2回出ています。
水栓の不快音でスピンドルを取り替えた肢は、3年度とも誤りです。
症状が同じでも、原因が違えば処置が変わります。
問題文は必ず原因の調査結果を書いていて、そこが判断の起点になります。
直らない処置を選ばせるためです。
この論点は6年度すべてで出題されており、年によっては2問出ています。問われているのは器具の名前ではなく、原因に対して処置が釣り合っているかです。
過剰な処置も誤りになります。異物が詰まっているだけなのに本体を新品に替える、といった肢が用意されています。
分解して清掃します。交換ではありません。
ピストンバルブと弁座の間に異物がかみ込んでいたときは、ピストンバルブを取り外して異物を除きます。ダイヤフラム式定水位弁の主弁座への異物のかみ込みなら、主弁の分解と清掃です。
「ストレーナーに異物が詰まっていたので、新品のピストン式定水位弁と取り替えた」とした肢と、「弁座への異物のかみ込みがあったので、新しいフロート弁に交換した」とした肢は、どちらも令和3年に誤りとして出ています。
大便器洗浄弁から常に大量の水が流出する場合も、ピストンバルブの小孔が詰まっていれば小孔を掃除するのが正解です。
症状の言葉が変われば、手を付ける部品も変わります。
常に大量の水が流出する場合、原因は小孔の詰まりだけではありません。逃し弁のゴムパッキンが傷んでいることもあり、このときもピストンバルブを取り出してパッキンを取り替えます。
この処置は令和6年に正しい肢として出ています。
流出ではなく吐水量が少ないときは、ピストンバルブのUパッキンの摩耗が一因とされています。令和5年に正しい肢です。
同じ「大量に流出」でも原因が2つあり、「吐水量が少ない」ならさらに別の部品になります。
摩耗はパッキン、損傷は部品ごとです。
| 状態 | 正しい処置 |
|---|---|
| 軽度の摩耗 | 弁座に軽度の摩耗が見られた水栓は、まずはパッキンを取り替える |
| パッキンの摩耗 | そのパッキンを取り替える(受水槽のボールタップ、ピストン式定水位弁の主弁座パッキンなど) |
| 損傷 | 弁座が損傷していればボールタップごと取り替える。フロート弁の摩耗・損傷も交換 |
「ボールタップの弁座が損傷していたので、パッキンを取り替えた」とした肢は令和3年と令和5年に、どちらも誤りとして出ています。令和7年には同じ症状で「ボールタップを取り替えた」が正しい肢として出ました。
逆向きの引っかけもあり、「フロート弁の摩耗、損傷のためすき間から水が流れ込んでいたので、分解し清掃した」とした肢が令和4年に誤りとして出ています。摩耗や損傷は清掃では戻りません。
右で減り、左で増えます。
小便器洗浄弁の吐水量が多いときは調節ねじを右に回して減らし、少ないときは左に回して増やします。この2つは令和元年と令和3年に正しい肢として出ています。
「調節ねじが開け過ぎとなっていたので、調節ねじを左に回して吐水量を減らした」とした肢は、令和4年に誤りとして出ています。向きが逆です。
なお、小便器洗浄弁から多量の水が流れ放しになる場合の原因を「開閉ねじの開け過ぎ」とした肢は、令和5年に誤りとして出ています。吐水量が多いことと、止まらないことは別の症状です。
こまパッキンの摩耗か、立上り管の振動です。
給水装置標準計画・施工方法「異常音」(国土交通省)
(1)水栓のこまパッキンが摩耗しているため、こまが振動して異常音を発する場合は、こまパッキンを取り替える。(2)水栓を開閉する際、立上り管等が振動して異常音を発する場合は、立上り管等を固定させて管の振動を防止する。(3)(1)、(2)項以外の原因で異常音を発する場合は、水撃に起因することが多い。
試験に出るのは、これとは別の書き方です。「スピンドルの孔とこま軸の外径が合わなく、がたつきがあったので、スピンドルを取り替えた」とした肢は、令和4年・令和6年・令和7年の3年度とも誤りとして出ています。
3年連続で同じ形なので、この一文が並んでいたら誤りの側と考えて差し支えありません。
湯沸器です。
湯沸器はいろいろな種類があり構造も複雑なため、需要者等が修理することは困難かつ危険で、簡易な水フィルタの掃除以外は製造者に修理を依頼します。この記述は令和6年に正しい肢として出ています。
大便器洗浄弁のハンドルから漏水した場合は、ハンドル部のパッキンを取り替えます。「ピストンバルブを取り出し、Uパッキンを取り替えた」とした肢は令和4年に誤りで、漏れている場所と違う部品に手を付けています。
ウォーターハンマーが発生する場合に水圧が高いことが原因なら、減圧弁を設置します。詳しくは水撃作用を確認してください。
弁座への異物のかみ込みが原因のとき、どう処置するか。
分解して清掃し、異物を除きます。「新しいフロート弁に交換した」「新品の定水位弁と取り替えた」とした肢は令和3年に誤りとして出ています。
ボールタップの弁座が損傷していたときは。
ボールタップごと取り替えます。パッキンを取り替えたとした肢は令和3年と令和5年に誤りで、令和7年には交換が正しい肢として出ています。
小便器洗浄弁の吐水量が多いときはどちらに回すか。
右に回して減らします。左は増える向きで、「左に回して減らした」とした肢は令和4年に誤りとして出ています。
水栓のこまパッキンが摩耗して異常音がするときは。
こまパッキンを取り替えます。立上り管等の振動が原因なら、管を固定して振動を防止します。
湯沸器が故障したらどうするか。
簡易な水フィルタの掃除以外は、製造者に修理を依頼します。構造が複雑で、需要者等が修理するのは困難かつ危険だからです。
> 器具ごとの構造は水道メーターの設置と種類もあわせて確認する
> 湯を沸かす側の器具の型は湯沸器の種類で整理しています
> 定水位弁の主弁と副弁の区別は定水位弁で扱っています
実際の修理では、器具の型式によって部品構成が異なります。製品の取扱説明書と製造者の案内をご確認ください。
解説の中でこの記事を参照している過去問が20問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの20問で全部、という意味ではありません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年8月
給水装置の概要
給水装置の構造及び性能
給水装置工事事務論
給水装置施工管理法
水道行政
まちがえやすいポイント
器具名ではなく、原因の書かれ方を見てください。
「異物」なら清掃、「パッキンの摩耗」ならパッキン交換、「損傷」なら部品ごと交換です。これがずれている肢が毎年必ず1つあります。
3年連続で出ているのがスピンドルの取り替えです。水栓の不快音でこれが出たら誤りを疑ってください。