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汚染源が近くにあったら、さや管で守ればいいんじゃないの?
油のときと何が違うのか分からない。
この記事の要点
省令第2条は浸出・停滞水・汚染源・油類の4つを定めています。それぞれ求められる措置が違います。
シアンや六価クロムの汚染源には近接して設置しないのが答えです。さや管を当てた肢は3年度で誤りでした。
さや管が効くのは油類のほうです。こちらを「使用してはならない」と言い切った肢も誤りになっています。
措置の中身を項どうしで入れ替える問題が、令和元年・3年・4年・6年・7年の5年度で出ています。
4つの項を、条件と措置のセットで覚えると迷いません。
汚染に関する4つの条件と、それぞれの措置です。
給水装置の構造及び材質の基準に関する省令 第2条(標準計画3.9.1が掲げる要旨)
1 飲用に供する水を供給する給水管及び給水用具は、浸出に関する基準に適合するものを用いること。(省令第2条第1項)
2 行き止まり配管等水が停滞する構造としないこと。ただし、構造上やむを得ず水が停滞する場合には、末端部に排水機構を設置すること。(省令第2条第2項)
3 シアン、六価クロム、その他水を汚染するおそれのある物を貯留し、又は取り扱う施設に近接して設置しないこと。(省令第2条第3項)
4 鉱油類、有機溶剤その他の油類が浸透するおそれのある場所にあっては、当該油類が浸透するおそれのない材質の給水装置を設置すること。又は、さや管等により適切な防護のための措置を講じること。(省令第2条第4項)
第1項が材料、第2項が配管の形、第3項と第4項が周りの環境です。
第1項の対象には例外があります。洗浄弁や洗浄装置付便座、水洗便器のロータンク用ボールタップは浸出性能基準の適用対象外です。
これらを「適用対象となる給水用具」とした肢は令和3年に、洗浄弁を対象に含めた肢は令和7年に、それぞれ誤りとして出ています。
離します。防護ではありません。
標準計画は、給水管路の途中に有毒薬品置場、有害物の取扱場、汚水槽等の汚染源がある場合、給水管等が破損した際に有毒物や汚物が水道水に混入するおそれがあるとしています。
そのうえで求めているのはその影響のないところまで離して配管することです。
「さや管などで適切な防護措置を施した」とした肢は、令和元年・令和4年・令和6年の3年度とも誤りでした。
条文も「近接して設置しないこと」と書いています。距離をとる以外の逃げ道が用意されていません。
令和7年は形を変えて、近接して設置する場合に「排水弁や洗浄弁など汚染水を排水できる設備を設置する」とした肢が出ましたが、これも誤りです。
こちらはさや管で構いません。第4項が明示しています。
標準計画は、ビニル管やポリエチレン管等の合成樹脂管は有機溶剤等に侵されやすいとして、鉱油・有機溶剤等の油類が浸透するおそれがある箇所には金属管(鋼管、ステンレス鋼管等)を使用することが望ましいとしています。
そのうえで、合成樹脂管を使用する場合はさや管等で適切な防護措置を施すこととしています。
「合成樹脂管を使用してはならない」と言い切った肢は、令和6年に誤りとして出ています。
望ましいのは金属管ですが、防護すれば合成樹脂管も使えます。禁止ではありません。
令和7年は「油類が浸透するおそれのある施設に近接して設置してはならない」とした肢が誤りでした。近接禁止は第3項の汚染源のほうで、第4項は材質か防護のどちらかです。
浸透するおそれのある箇所は具体的に挙げられています。ガソリンスタンド、自動車整備工場、有機溶剤取扱い事業所(倉庫)の3つです。
極力避けて、やむを得ない場合は末端部に排水機構を設置します。
配管末端に給水栓等が設置されない行き止まり管は、配管の構造や使用状況によって停滞水が生じ、水質が悪化するおそれがあります。
この記述は令和元年・3年・4年・7年の4年度とも、正しい肢として出ています。排水機構の中身も標準計画に書かれています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構成 | 給水管の末端から分岐し、止水用具・逆止弁・排水ますを設置し、吐水口空間を設けて間接排水とする |
| 計量 | 排水量の把握のため、水道メータを設置することが望ましい |
| 排水先 | 排水ますからは、下水又は側溝に排水する |
直結する管をつなぐのではなく、吐水口空間を挟んだ間接排水にする点が要点です。
住宅用スプリンクラも同じ考え方で、停滞水が生じないよう末端給水栓までの配管途中に設置します。
水を出して入れ替えます。
標準計画は学校等を例に挙げ、一時的・季節的に使用されない給水装置には給水管内に長期間水の停滞を生ずることがあるとしています。
求められるのは、衛生上好ましくない停滞した水を容易に排除できるように排水機構を適切に設けることです。
「適量の水を適時飲用以外で使用することにより衛生性を確保する」とした記述は、令和3年・令和4年・令和6年の3年度とも正しい肢として出ています。
余った分が管の中に押し込まれるからです。
硬質塩化ビニル管のTS継手では、接着剤が多すぎると管内に押し込まれます。ねじ切りのときの切削油やシール材も同じです。
これらの物質が流失すると、油臭や薬品臭が発生する場合があります。だから水道用途に適したものを、必要最小限だけ使います。
この記述は令和元年と令和3年に正しい肢として出ています。
給水管路の途中にシアンや六価クロムの取扱場があるとき、どうするか。
その影響のないところまで離して配管します。さや管で防護したとする肢は3年度とも誤りでした。
ガソリンスタンドに合成樹脂管を埋設配管してよいか。
さや管等で適切な防護措置を施せば使えます。望ましいのは金属管ですが、「使用してはならない」と言い切った肢は令和6年に誤りでした。
やむを得ず行き止まり管になる場合、末端部に何を設けるか。
排水機構です。末端から分岐して止水用具・逆止弁・排水ますを設け、吐水口空間を設けて間接排水にします。
洗浄弁や水洗便器のロータンク用ボールタップは、浸出性能基準の対象か。
対象外です。「適用対象となる」とした肢は令和3年に誤りでした。
接合用シール材や接着剤を必要最小限にするのはなぜか。
使用量が不適当だと管内に押し込まれ、これらの物質が水道水に混入して油臭や薬品臭が発生する場合があるためです。
> 材料側の基準は浸出性能基準、他系統との連結の禁止はクロスコネクションで扱っています
汚染源からの離隔距離や防護方法の具体は、水道事業者の設計施工指針や現地の条件によって異なります。実際の施工では所管の水道事業者にご確認ください。
解説の中でこの記事を参照している過去問が11問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの11問で全部、という意味ではありません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年8月
給水装置の構造及び性能
給水装置の概要
水道行政
給水装置工事事務論
給水装置施工管理法
まちがえやすいポイント
第3項と第4項は、どちらも「周りに危ないものがある」状況なので措置を混ぜて出されます。
汚染源は離す、油類はさや管。この2つを逆にした肢が5年度で繰り返し出ています。
汚染源は管が壊れたときに中身が入る話、油類は管そのものに浸みこむ話。原因が違うので措置も違います。