給水装置工事主任技術者 独学ガイド

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クリプトスポリジウムとは?塩素に強く紫外線に弱い理由と水系感染症を整理

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水道水は塩素で消毒しているから安全、ではないんでしょうか。

塩素が効かない相手がいると聞きました。

この記事の要点

クリプトスポリジウムは耐塩素性病原生物です。塩素消毒だけでは対応できません。

効くのはろ過設備と紫外線処理設備です。紫外線に極めて高い抵抗性を持つとした肢が令和7年に誤りとして出ています。

平成8年6月の埼玉県越生町の集団感染は、令和元年と令和6年に同じ設問で出ました。答えはクリプトスポリジウムです。

公衆衛生概論は3問しか出ませんが、そのうち1問がこの分野です。令和元年・令和6年・令和7年に出ています。

問われ方は決まっています。まず対策の考え方を図で押さえます。

クリプトスポリジウム対策の要点を示した図。左は消毒と処理の効き方で、塩素消毒は耐塩素性病原生物なので効きにくいこと、ろ過設備は出口の濁度を0.1度以下に維持すること、紫外線処理設備は99.9パーセント以上を不活化できるものであることを示し、紫外線が令和元年5月の改定で汚染のおそれが高い施設の予防対策にも位置づけられたことを注記している。右は指標菌が意味することの流れで、原水で大腸菌と嫌気性芽胞菌を調べ、検出されれば糞便による汚染の指標になり、耐塩素性病原生物が混入するおそれがある場合に当たるため、汚染のおそれの程度に応じて施設を整備することを示している。
塩素だけでは足りないので、ろ過と紫外線で対応する。※対策の考え方をつかむための模式図。

越生町で起きたのは何だったのか

クリプトスポリジウムによる集団感染です。国内で初めての事例でした。

水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針 1.背景及び目的

平成8年6月には、我が国で初めての水道水に起因するクリプトスポリジウムによる感染症(クリプトスポリジウム症)が埼玉県越生町で発生した。

試験は「平成8年6月埼玉県越生町において、水道水が直接の感染経路となる集団感染が発生し、約8,800人が下痢等の症状を訴えた」という設問文で出ます。

令和元年と令和6年に、選択肢の並び順を変えただけの同じ問題が出ました。どちらも答えはクリプトスポリジウムです。

海外では、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー市で40万人以上が感染した事例が報告されています。これを受けてWHOが飲料水水質ガイドラインの検討を始めました。

塩素で消毒できないのか

できません。塩素に耐性があるからです。

同 1.背景及び目的(なお書き)

本指針は、我が国において特に対策を講ずべき耐塩素性病原生物であるクリプトスポリジウム及びジアルジア(以下、「クリプトスポリジウム等」という。)を対象として作成している。

指針が対象にしているのはクリプトスポリジウムとジアルジアです。どちらも耐塩素性病原生物と位置づけられています。

クリプトスポリジウムは人や哺乳動物の消化管内で増殖し、糞便に混じってオーシストが環境中に出ます。それを経口摂取することで感染が広がります。

では何が効くのか

ろ過設備と紫外線処理設備です。紫外線は効きます。

同 3.予防対策 (1)施設整備 (ア)レベル4

(a) ろ過設備(急速ろ過、緩速ろ過、膜ろ過等)であって、ろ過池またはろ過膜(以下、「ろ過池等」という。)の出口の濁度を0.1度以下に維持することが可能なもの。
(b) ろ過設備(急速ろ過、緩速ろ過、膜ろ過等)及びろ過後の水を処理するための紫外線処理設備であって、以下の要件を満たすもの。
 ① クリプトスポリジウム等を99.9%以上不活化できる紫外線処理設備であること。

「クリプトスポリジウムは、紫外線による消毒処理に対して極めて高い抵抗性を有する」とした肢は、令和7年に誤りとして出ています。高い抵抗性を持つ相手は塩素です。

紫外線処理設備は平成19年の指針でレベル3の施設に位置づけられ、令和元年5月の改定で汚染のおそれが高いレベル4の施設にも加わりました。

原水の何を調べるのか

指標菌です。クリプトスポリジウムそのものを毎回数えるわけではありません。

同 2.水道原水に係る汚染のおそれの判断(指標菌)

大腸菌(E.coli)及び嫌気性芽胞菌は水道原水の糞便による汚染の指標として有効である。(中略)原水にいずれかの指標菌が検出された場合には「原水に耐塩素性病原生物が混入するおそれがある場合」に該当することとなる。

原水の種類と指標菌が検出されたことがあるかどうかで、汚染のおそれをレベル4からレベル1までに分けます。

レベルが高いほど求められる施設整備が重くなる仕組みです。地表水を原水としていて指標菌が出たことがあれば、いちばん重いレベル4に当たります。

ほかにどんな病原微生物が出るのか

令和7年は、次の4つを並べて正誤を問いました。

病原微生物 主な感染源 押さえる点
レジオネラ属菌 冷却塔、温泉、噴水、加湿器等の人工環境水 エアロゾルの吸引や誤嚥で感染し、レジオネラ肺炎やポンティアック熱を発症する
ノロウイルス 簡易水道や井戸水、受水槽の汚染 経口感染で、ふん便や吐物から大量のウイルスが長期間排出される
腸管出血性大腸菌 肉類や野菜類。井戸水が原因の事例もある 代表がO157で、激しい腹痛や水様性の下痢、血便を発症する
クリプトスポリジウム 人や哺乳動物の糞便に混じるオーシスト 人畜共通の病原原虫で、塩素に強い。ろ過と紫外線で対応する

この表のうちレジオネラ属菌・ノロウイルス・腸管出血性大腸菌の記述は、令和7年に正しい肢として出たものです。誤りだったのはクリプトスポリジウムの肢だけでした。

まちがえやすいポイント

「塩素に強い」を「消毒に強い」と広げて覚えると、紫外線の肢で引っかかります。

クリプトスポリジウムが強いのは塩素に対してであって、紫外線処理は99.9%以上を不活化できる有効な対策です。

感染源の取り違えにも注意してください。人工環境水はレジオネラ属菌で、受水槽の汚染はノロウイルスです。

理解度チェック

Q.

平成8年6月に埼玉県越生町で起きた集団感染の原因は何か。

クリプトスポリジウムです。我が国で初めての水道水に起因するクリプトスポリジウム症でした。

Q.

対策指針が対象としている耐塩素性病原生物は何か。

クリプトスポリジウム及びジアルジアです。この2つをまとめてクリプトスポリジウム等と呼びます。

Q.

クリプトスポリジウムは紫外線に強いか。

強くありません。99.9%以上を不活化できる紫外線処理設備が予防対策に位置づけられています。

Q.

原水の糞便汚染の指標として何を調べるか。

大腸菌と嫌気性芽胞菌です。いずれかが検出されると耐塩素性病原生物が混入するおそれがある場合に当たります。

Q.

冷却塔や加湿器の水が感染源になるのはどれか。

レジオネラ属菌です。エアロゾルの吸引や誤嚥により感染します。

まとめ

  • 平成8年6月の埼玉県越生町はクリプトスポリジウム。令和元年と令和6年に同じ設問で出た。
  • 対象はクリプトスポリジウム及びジアルジアで、どちらも耐塩素性病原生物。
  • 効くのはろ過設備(出口の濁度0.1度以下)と紫外線処理設備(99.9%以上を不活化)。
  • 紫外線に極めて高い抵抗性を持つとした肢は誤り。強いのは塩素に対して。
  • 指標菌は大腸菌と嫌気性芽胞菌。検出されると混入のおそれがある場合に当たる。

> 塩素そのものの働きと濃度の決まりは残留塩素にまとめています

汚染のおそれのレベル判定と必要な施設整備は、水道事業者ごとに原水の条件をふまえて決められています。実務では所管の水道事業者にご確認ください。

関連する過去問解説

解説の中でこの記事を参照している過去問が6問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの6問で全部、という意味ではありません。

過去問解説の一覧(年度別・科目別)へ

参考資料

  • 「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」(PDF・国土交通省)。越生町の事例、耐塩素性病原生物の対象、ろ過設備と紫外線処理設備の要件、指標菌、汚染のおそれのレベル判断は同指針によります。平成19年3月策定、令和元年5月に一部改定されています。
  • ※ レジオネラ属菌・ノロウイルス・腸管出血性大腸菌の記述は、令和7年度学科試験1問題1で正しい肢として出題されたものを整理したものです。
  • ※ 誤りとして出題された記述の判定は、公益財団法人給水工事技術振興財団が公表した各年度の正答番号により、正しい肢・誤りの肢を確認したものです。
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この記事を書いた人

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給水装置工事主任技術者の用語・過去問を、国土交通省の給水装置標準計画・施工方法など一次資料にあたって整理しています。

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給水装置工事主任技術者の用語・過去問を、一次資料にあたって整理しています。

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