給水装置工事主任技術者 独学ガイド

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同時使用水量とは?一戸建て・集合住宅・事務所ビルで変わる6つの算定方法

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家じゅうの蛇口を全部同時に開けることなんて無いよね。

じゃあ設計では、どれくらい使う前提で管の太さを決めているの?

この記事の要点

同時使用水量は、給水装置内の給水用具のうち、いくつかを同時に使ったときにその給水装置を流れる水量です。瞬時の最大使用水量に相当します。

直結式では、この同時使用水量から計画使用水量を求めます。受水槽式では一日当たりの使用水量から求めます。ここが分かれ目です。

算定方法は建物の種類で分かれ、一戸建てで2つ、集合住宅で3つ、事務所ビルで1つの計6つあります。

同時使用水量は、全部の給水用具を同時に使う前提の水量ではありません。

いくつかを同時に使ったときに流れる水量です。全部を足した水量で設計すると、管も設備も過大になります。

給水装置標準計画・施工方法 2.3.1 用語の定義(国土交通省)

同時使用水量とは、給水装置工事の対象となる給水装置内に設置されている給水用具のうちから、いくつかの給水用具を同時に使用することによってその給水装置を流れる水量をいい、一般に計画使用水量は同時使用水量から求められる。

解説にはこう補足されています。同時使用水量とは、給水栓、給湯器等の給水用具が同時に使用された場合の使用水量であり、瞬時の最大使用水量に相当します。

計画使用水量・計画一日使用水量とはどう違うのか

似た語が3つ出てきます。役割が違います。

用語 何を表すか 何の基礎になるか
計画使用水量 給水装置に給水される水量 給水管の口径の決定
同時使用水量 いくつかを同時に使ったとき流れる水量。瞬時の最大 直結式の計画使用水量
計画一日使用水量 給水される水量の一日当たり 受水槽式の受水槽の容量

計画使用水量の求め方は給水方式で分かれます。直結給水式は同時使用水量から、受水槽式は一日当たりの使用水量から求めます。

中高層建物で使う直結加圧形ポンプユニットの口径も、同時使用水量から決めます。

なお計画使用水量を設計使用水量ということもありますが、この資料では計画使用水量に統一されています。

求めた計画使用水量を使って口径を決める手順は所要水頭で扱っています。

算定方法は建物の種類で分かれる

算定方法は3つのグループに分かれます。

建物の種類ごとの同時使用水量の算定方法の図。一戸建て等は給水用具を設定する方法と標準化した同時使用水量による方法の2つ、集合住宅等は同時使用率による方法と戸数の算定式と居住人数の算定式の3つ、事務所ビル等は給水用具給水負荷単位による方法の1つ。
建物の種類で算定方法が変わる。どの方法を使うかは使用実態に応じて選ぶ。※資料の記載を整理した図。

一戸建てではどう算定するのか

2つの方法があります。

1つめが同時に使用する給水用具を設定して計算する方法です。同時に使用する給水用具の「数」だけを表から求め、どの給水用具を使うかは任意に設定し、その吐水量を足し合わせます。

総給水用具数 同時に使用する給水用具数
11
2〜42
5〜103
11〜154
16〜205
21〜306

使用形態に合わせた設定ができる方法です。ただし使用形態は変動するので、それらすべてに対応するには組み合わせを数通り変えて計算しなければなりません。

そのため設定にあたっては、使用頻度の高いもの(台所、洗面所等)を含めるとともに、需要者の意見なども参考に決める必要があります。

ただし学校や駅の手洗所のように同時使用率の極めて高い場合は、手洗器・小便器・大便器等、その用途ごとに表を適用して合算します。

2つめが標準化した同時使用水量により計算する方法です。給水用具の数と同時使用水量の関係についての標準値から求めます。

標準化した同時使用水量の式(同 2.3.2)

同時使用水量 = 給水用具の全使用水量 ÷ 給水用具総数 × 使用水量比

使用水量比は総給水用具数で決まります。

総給水用具数 12345678910152030
使用水量比 11.41.72.02.22.42.62.82.93.03.54.05.0

吐水量は用途ごとの表から取りますが、給水用具の種類に関わらず口径によって一律の水量として扱う方法もあります。

給水栓口径 13mm 20mm 25mm
標準流量 17 L/min 40 L/min 65 L/min

この表で試すと流れがつかめます。口径13mmの給水用具が5個なら、全使用水量は17×5で85 L/minです。

これを総数5で割ると17 L/min。総給水用具数5の使用水量比は2.2なので、17×2.2=37.4 L/minとなります。

全部足した85ではなく37.4です。同時使用を考えるとはこういうことです。

集合住宅ではどう算定するのか

3つの方法があります。

1つめが各戸使用水量と給水戸数の同時使用率による方法です。1戸の使用水量は一戸建てと同じ2つの方法で求め、全体の同時使用戸数は同時使用率から定めます。

戸数 1〜34〜1011〜2021〜3031〜4041〜6061〜8081〜100
同時使用戸数率 100%90%80%70%65%60%55%50%

2つめが戸数から同時使用水量を予測する算定式です。

戸数N 算定式
10戸未満 Q=42N0.33
10戸以上600戸未満 Q=19N0.67

Qは同時使用水量(L/min)、Nは戸数です。

3つめが居住人数から同時使用水量を予測する算定式です。

人数P 算定式
1〜30人 Q=26P0.36
31〜200人 Q=13P0.56

係数と指数が式ごとに違うので、境界の戸数・人数で取り違えないことが要点です。

実際に計算すると、9戸で86.7 L/min、10戸で88.9 L/minとなり、式が切り替わっても値は飛びません。人数の式も30人で88.5 L/min、31人で88.9 L/minとつながります。

事務所ビルではどう算定するのか

一定規模以上の給水用具を有する事務所ビル等では、給水用具給水負荷単位による方法を使います。

給水用具給水負荷単位とは、給水用具の種類による使用頻度、使用時間、および多数の給水用具の同時使用を考慮した負荷率を見込んで、給水流量を単位化したものです。

算出は2段階です。各種給水用具の負荷単位に給水用具数を乗じたものを累計し、その値から同時使用水量図を使って同時使用水量を読みます。

給水用具 個人用 公共用及び事業用
大便器(洗浄弁)610
大便器(洗浄水槽)35
小便器(洗浄弁)5
小便器(洗浄水槽)3
洗面器(水栓)12
手洗器(水栓)0.51
浴槽(水栓)24
シャワー(混合弁)24
台所流し(水栓)3
料理場流し(水栓)24
食器洗流し(水栓)5
掃除用流し(水栓)34

同じ給水用具でも、個人用より公共用・事業用のほうが負荷単位が大きい点に注意してください。使う人が多く、使用頻度が上がるためです。

読み取る同時使用水量図には曲線が2本あります。曲線1は大便器洗浄弁の多い場合、曲線2は大便器洗浄タンクの多い場合に使います。

どちらの便器かで読む曲線が変わります。

受水槽式ではどこが変わるのか

受水槽式では、受水槽への給水量を受水槽の容量と使用水量の時間的変化を考慮して定めます。

一般に受水槽への単位時間当たり給水量は、一日当たりの計画使用水量を使用時間で除した水量とします。

計画一日使用水量の算定には3つの方法があります。

  • 使用人員から算出する場合:1人1日当たり使用水量 × 使用人員
  • 使用人員が把握できない場合:単位床面積当たり使用水量 × 延床面積
  • その他:使用実績等による積算

そして受水槽容量は、計画一日使用水量の4/10〜6/10程度が標準です。

まちがえやすいポイント

混同しやすいのが「使用水量比」と「同時使用率」です。

使用水量比は給水用具の数で決まる値で一戸建て等の計算に、同時使用率は戸数で決まる値で集合住宅等の計算に使います。まったく別の表です。

もうひとつが表記のゆれです。試験では同時使用水量比末端給水用具という言い方で出ることがありますが、資料側の「使用水量比」「給水用具」と同じもので、別の表ではありません。

理解度チェック

Q.

同時使用水量とは何か。何に相当する水量か。

給水装置内に設置されている給水用具のうちから、いくつかの給水用具を同時に使用することによってその給水装置を流れる水量です。給水栓、給湯器等が同時に使用された場合の使用水量であり、瞬時の最大使用水量に相当します。

Q.

計画使用水量は、直結式と受水槽式で何から求めるか。

直結給水式は同時使用水量から、受水槽式は一日当たりの使用水量から求めます。

Q.

標準化した同時使用水量の式を書け。

同時使用水量 = 給水用具の全使用水量 ÷ 給水用具総数 × 使用水量比 です。使用水量比は総給水用具数で決まり、5個なら2.2、10個なら3.0、30個なら5.0です。

Q.

戸数から同時使用水量を予測する算定式は。

10戸未満が Q=42N0.33、10戸以上600戸未満が Q=19N0.67 です。Qは同時使用水量(L/min)、Nは戸数です。

Q.

給水用具給水負荷単位とは何か。同じ給水用具で値が2つあるのはなぜか。

給水用具の種類による使用頻度、使用時間、多数の給水用具の同時使用を考慮した負荷率を見込んで、給水流量を単位化したものです。個人用と公共用・事業用で値が分かれており、公共用・事業用のほうが大きくなっています。

まとめ

  • 同時使用水量は、いくつかの給水用具を同時に使ったとき流れる水量。瞬時の最大使用水量に相当する。
  • 計画使用水量は直結式なら同時使用水量から、受水槽式なら一日当たりの使用水量から求める。
  • 一戸建ては2方法。標準化した式は 全使用水量÷給水用具総数×使用水量比
  • 集合住宅は3方法。戸数の式は10戸未満 Q=42N0.3310戸以上600戸未満 Q=19N0.67
  • 事務所ビルは給水用具給水負荷単位。個人用より公共用・事業用が大きい。図の曲線は便器の種類で選ぶ。
  • 受水槽容量は計画一日使用水量の4/10〜6/10程度が標準。

> 求めた水量から口径を決める手順は所要水頭を確認する

同時使用水量の算定方法は、水道事業者が定めた方法を選択することとされています。実際の設計では所管の水道事業者の基準をご確認ください。

関連する過去問解説

解説の中でこの記事を参照している過去問が16問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの16問で全部、という意味ではありません。

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参考資料

  • 国土交通省「給水装置標準計画・施工方法」2.3 計画使用水量の決定(PDF)。本記事の定義・数値・算定式・表は同資料の記述によります。
  • 表-2.3.6 給水用具給水負荷単位表、図-2.3.2 同時使用水量図は、同資料において「空気調和衛生工学便覧 平成7年版による」と示されています。
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給水装置工事主任技術者の用語・過去問を、国土交通省の給水装置標準計画・施工方法など一次資料にあたって整理しています。

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給水装置工事主任技術者の用語・過去問を、一次資料にあたって整理しています。

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