給水装置工事主任技術者 独学ガイド

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水道法第43条とは?水源の汚濁防止のための要請

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水源が汚れたとき、水道事業者は何ができるのでしょうか。

相手に対して命令できるのか、お願いするだけなのかが分かりません。

この記事の要点

要請できるのは水道事業者又は水道用水供給事業者です。専用水道の設置者は入りません。

相手は関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長で、水利組合の長ではありません。

できるのは意見を述べることと、適当な措置を講ずべきことの要請です。命令ではありません。

この条は令和7年に穴埋めで出ています。条文が1項だけの短い条で、空欄は4か所でした。

4か所とも、条文の語をそのまま覚えていれば選べます。

水道法第43条の構造を示す図。左は令和7年に誤りとして出た語で、要請できる者を専用水道設置者とするもの、相手を水利組合の長とするもの、できることを改善を命じるとするもの、措置を水源の切替とするもの。右は条文どおりの正しい形で、要請できるのは水道事業者又は水道用水供給事業者、相手は関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長、できるのは意見を述べること、そして適当な措置を講ずべきことの要請。下段は向きの対比で、第43条は事業者から行政への要請であるのに対し、第36条の改善の指示と第37条の給水停止命令は行政から事業者への指示・命令であることを示す。
事業者から行政への要請。命令ではない。※条文と公表正答から整理した図。

誰が要請できるのか

水道事業者と水道用水供給事業者です。

水道法 第43条(水源の汚濁防止のための要請等)

水道事業者又は水道用水供給事業者は、水源の水質を保全するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対して、水源の水質の汚濁の防止に関し、意見を述べ、又は適当な措置を講ずべきことを要請することができる。

令和7年は、この「水道用水供給事業者」を「専用水道設置者」に差し替えた選択肢が用意されていました。

専用水道は寄宿舎や社宅などの自家用の水道で、他人に水を供給する事業ではありません。区分は専用水道・簡易専用水道で扱っています。

誰に対して要請するのか

関係行政機関の長と、関係地方公共団体の長です。

ここを「水利組合の長」とした選択肢は誤りです。条文が挙げているのは行政の側だけで、水利団体は入っていません。

水源の汚濁は工場排水や下水など水道の外側で起きるので、規制の権限を持つ行政に働きかける形になります。

何を要請できるのか

意見を述べることと、適当な措置を講ずべきことです。

条文は「意見を述べ、又は適当な措置を講ずべきことを要請することができる」と2つを並べています。令和7年はこの両方が空欄でした。

誤りの選択肢は「改善を命じ」と「水源の切替」です。命令の語と、具体的すぎる手段の語が混ぜられています。

「要請」であって「命令」ではないのはなぜか

水道事業者に、他の機関へ命令する権限がないからです。

水道法で命令が出てくるのは向きが逆の場面です。行政が水道事業者に対して指示や命令をする条が別にあります。

水道法 第36条(改善の指示等)第1項・第37条(給水停止命令)(抜粋)

第36条 国土交通大臣は水道事業又は水道用水供給事業について、都道府県知事は専用水道について、当該水道施設が第五条の規定による施設基準に適合しなくなつたと認め、かつ、国民の健康を守るため緊急に必要があると認めるときは、(中略)期間を定めて、当該施設を改善すべき旨を指示することができる。

第37条 国土交通大臣は水道事業者又は水道用水供給事業者が、都道府県知事は専用水道又は簡易専用水道の設置者が、前条第一項又は第三項の規定に基づく指示に従わない場合において、(中略)当該水道による給水を停止すべきことを命ずることができる。

指示や命令を出すのは国土交通大臣と都道府県知事で、受けるのが事業者です。第43条はこれと逆に、事業者が行政に対して働きかけます。

水源を守る責務は誰にあるのか

国と地方公共団体、そして国民です。

水道法 第2条(責務)

国及び地方公共団体は、水道が国民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできないものであり、かつ、水が貴重な資源であることにかんがみ、水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持並びに水の適正かつ合理的な使用に関し必要な施策を講じなければならない。

2 国民は、前項の国及び地方公共団体の施策に協力するとともに、自らも、水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持並びに水の適正かつ合理的な使用に努めなければならない。

水源の清潔保持は、第2条で国と地方公共団体の施策として定められています。第43条の要請先に関係地方公共団体の長が入っているのは、この責務を負う側だからです。

なぜこの規定があるのか

水道事業者には、水源そのものを規制する権限がないからです。

水道事業者ができるのは取水した後の浄水処理までで、川や地下水の汚れ方そのものには手を出せません。汚濁の原因を止められるのは、排水を規制する行政の側です。

そこで、水質を保全するため必要があると認めたときに、権限を持つ相手へ働きかける道をこの条が開いています。水源の水質そのものは利水障害と水道水の汚染物質で扱っています。

まちがえやすいポイント

できるのは「要請」で、「改善を命じ」が出てきたら外します。命令する側は国土交通大臣か都道府県知事のほうです。

要請できるのは水道事業者と水道用水供給事業者の2者。専用水道設置者は入りません。

相手は行政の長です。水利組合の長は条文に出てきません。

理解度チェック

Q.

第43条で要請できるのは誰か。

水道事業者又は水道用水供給事業者です。専用水道設置者とした選択肢は令和7年に誤りでした。

Q.

要請の相手は誰か。

関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長です。水利組合の長は条文にありません。

Q.

何を要請できるのか。

水源の水質の汚濁の防止に関し、意見を述べること、又は適当な措置を講ずべきことです。

Q.

水道事業者は相手に改善を命じられるか。

命じられません。命令できるのは第36条・第37条の国土交通大臣や都道府県知事で、向きが逆になります。

Q.

水源及びその周辺の清潔保持は誰の責務か。

国及び地方公共団体です。国民も協力し、自らも努めることが第2条第2項に定められています。

まとめ

  • 要請できるのは水道事業者又は水道用水供給事業者。専用水道設置者は入らない。
  • 相手は関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長。水利組合の長は誤り。
  • できるのは意見を述べることと適当な措置を講ずべきことの要請。
  • 「改善を命じ」「水源の切替」は令和7年の誤りの選択肢。
  • 命令の向きは逆で、第36条の改善の指示と第37条の給水停止命令は行政から事業者へ。

> 水道事業そのものの認可は水道事業の認可で扱っています

要請の具体的な手続きや相手方の対応は、個別の事案や自治体の定めによります。実務では所管の窓口にご確認ください。

関連する過去問解説

解説の中でこの記事を参照している過去問が1問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの1問で全部、という意味ではありません。

過去問解説の一覧(年度別・科目別)へ

参考資料

  • 水道法(昭和32年法律第177号)第43条・第2条・第36条第1項・第37条(e-Gov法令検索)。条文はいずれも同法によります。
  • ※ 正誤の判定は、公益財団法人給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります(令和7年 問7)。正答は(1)で、ア=水道用水供給事業者、イ=地方公共団体の長、ウ=意見を述べ、エ=適当な措置です。
  • ※ この条を主題とする出題は、手元の令和元年・令和3年〜令和7年の6年度360問のうち令和7年 問7の1問のみです(「水源の水質」「汚濁の防止」「関係行政機関の長」等で全数を確認)。
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給水装置工事主任技術者の用語・過去問を、国土交通省の給水装置標準計画・施工方法など一次資料にあたって整理しています。

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給水装置工事主任技術者の用語・過去問を、一次資料にあたって整理しています。

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