給水装置工事主任技術者 独学ガイド

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利水障害とは?かび臭の原因と水道水の汚染物質を整理

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ジェオスミンって聞いたことはあるけど、何が起きるんだろう。

イタイイタイ病の原因物質も、水銀とカドミウムで迷う。

この記事の要点

ジェオスミンと2-メチルイソボルネオールはかび臭の原因物質です。着色とした肢は令和3年に誤りでした。

イタイイタイ病の原因はカドミウムです。メチル水銀とした肢は令和5年に誤りでした。

どちらも水質基準の項目に入っていて、基準値が決まっています。

物質の名前は合っていても、起きることや病名が差し替えられます。

障害の種類で分けて覚えると、取り違えません。

利水障害と水道水の汚染物質を示す図。かび臭の原因はジェオスミンと2-メチルイソボルネオールで、富栄養化した湖沼で藍藻類が産生し基準値は各0.00001mg/L以下。味は塩化物イオンとナトリウムで各200mg/L以下、泡立ちは陰イオン界面活性剤0.2と非イオン界面活性剤0.02mg/L以下、色や濁りは亜鉛1.0・アルミニウム0.2・鉄0.3・銅1.0・マンガン0.05mg/L以下で色度5度・濁度2度以下。健康に関わる物質はカドミウム0.003・水銀0.0005・ヒ素0.01・鉛0.01・硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素10mg/L以下。イタイイタイ病はカドミウムが原因で、メチル水銀は水俣病・新潟水俣病の原因。
左が利水障害、右が健康に関わる物質。※関係をつかむための模式図。

利水障害とは何か

日常生活での水利用への差し障りのことです。

健康を害するかどうかとは別に、においや味、泡立ち、色などで使いにくくなる状態を指します。

水質基準の項目も、健康に関連する項目と生活上支障に関連する項目に分かれています。基準の構造は水質基準で扱っています。

かび臭の原因は何か

ジェオスミンと2-メチルイソボルネオールです。

環境省 要検討項目等の評価書「ジェオスミン」備考欄

湖沼等で富栄養化現象に伴い発生する異臭味(かび臭)の原因物質である。藍藻類のアナベナにより産生される。

「藻類が繁殖するとジェオスミンや2-メチルイソボルネオール等の有機物が産生され、これらが飲料水に混入すると着色の原因となる」とした肢は、令和3年に誤りとして出ています。

起きるのは着色ではなくかび臭です。物質名と発生の仕組みは合っているので、最後の「着色」だけが差し替えられています。

どちらも水質基準の項目で、基準値は0.00001mg/L以下です。ほかの項目に比べて桁違いに小さい値になります。

味・泡立ち・色の原因は何か

それぞれ別の物質です。

障害 物質と基準値
塩化物イオン200mg/L以下/ナトリウム200mg/L以下
泡立ち 陰イオン界面活性剤0.2mg/L以下/非イオン界面活性剤0.02mg/L以下
色・濁り 亜鉛1.0/アルミニウム0.2/鉄0.3/銅1.0/マンガン0.05mg/L以下。色度5度以下・濁度2度以下

味の物質は主に水道原水や工場排水等に由来します。界面活性剤は生活廃水や工場排水に由来し、泡立ちで不快感をもたらします。

亜鉛は「味」の側にも置かれます。令和2年の出題では「味=亜鉛、塩素イオン」が正しい組み合わせとして出ています。亜鉛が出てきただけでは正誤は決まりません。

これらの記述は令和3年に正しい肢として出ています。

亜鉛・アルミニウム・鉄・銅については、水道原水に由来するほか水道に用いられた薬品や資機材に由来することもあるとされています。こちらも正しい肢でした。

イタイイタイ病の原因物質は何か

カドミウムです。

「富山県の神通川流域に多発したイタイイタイ病は、メチル水銀が主な原因とされる」とした肢は、令和5年に誤りとして出ています。

環境省の環境白書は、イタイイタイ病の本態をカドミウムの慢性中毒により腎臓を障害し、次いで骨軟化症をきたしたものと説明しています。

メチル水銀が原因とされるのは水俣病・新潟水俣病です。物質と病名の組み合わせで覚えます。

カドミウムの基準値は0.003mg/L以下、水銀は0.0005mg/L以下です。

硝酸態窒素は何を起こすのか

乳幼児のメトヘモグロビン血症です。

「硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素は、窒素肥料、腐敗した動植物、家庭排水、下水等に由来する。乳幼児が経口摂取することで、急性影響としてメトヘモグロビン血症によるチアノーゼを引き起こす」とした記述は、令和5年に正しい肢として出ています。

基準値は硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素で10mg/L以下、亜硝酸態窒素は別項目で0.04mg/L以下です。

ヒ素については、地質・鉱山排水・工場排水等に由来し、海外で飲料用の地下水や河川水の汚染による慢性中毒症が報告されています。この記述も正しい肢でした。

鉛はどこから溶けるのか

鉛製給水管からの溶出が多いとされています。

「水道水では鉛製の給水管からの溶出によることが多い。特に、pH値やアルカリ度が低い水に溶出しやすい」とした記述は、令和5年に正しい肢として出ています。

鉛の基準値は0.01mg/L以下です。鉛製給水管は布設替えが進められており、残っている場合は水道水の汚染防止の観点からも交換が求められます。

金属が溶け出す仕組みそのものは金属管の侵食と防食で扱っています。

まちがえやすいポイント

物質名は合っているのに、起きることだけを変えてくる問題です。

ジェオスミンはかび臭、イタイイタイ病はカドミウム。令和3年と令和5年は、それぞれこの1点で正解が決まりました。

公害病は物質とセットで覚えます。カドミウムがイタイイタイ病、メチル水銀が水俣病です。

理解度チェック

Q.

ジェオスミンや2-メチルイソボルネオールは何の原因物質か。

かび臭(異臭味)です。着色の原因とした肢は令和3年に誤りでした。

Q.

泡立ちの原因となる物質は何か。

生活廃水や工場排水に由来する界面活性剤です。陰イオンが0.2mg/L以下、非イオンが0.02mg/L以下です。

Q.

イタイイタイ病の原因物質は何か。

カドミウムです。メチル水銀は水俣病・新潟水俣病の原因物質です。

Q.

硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の基準値はいくらか。

10mg/L以下です。亜硝酸態窒素は別の項目で0.04mg/L以下とされています。

Q.

鉛が溶出しやすいのはどんな水か。

pH値やアルカリ度が低い水です。水道水では鉛製の給水管からの溶出によることが多いとされています。

まとめ

  • かび臭=ジェオスミン・2-メチルイソボルネオール(各0.00001mg/L以下)。着色ではない。
  • 味=塩化物イオン・ナトリウム、泡立ち=界面活性剤、色・濁り=亜鉛・アルミニウム・鉄・銅・マンガン。
  • 亜鉛は「味」の側にも置かれる(令和2年は「味=亜鉛、塩素イオン」が正しい組み合わせ)。亜鉛だけでは正誤が決まらない。
  • イタイイタイ病=カドミウム、水俣病=メチル水銀
  • 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素は10mg/L以下。乳幼児のメトヘモグロビン血症が急性影響。
  • 鉛はpH値やアルカリ度が低い水に溶出しやすい(0.01mg/L以下)。

> 基準そのものの構造は水質基準、検査の頻度は水質検査の頻度と記録で扱っています

> 水源そのものの汚濁を防ぐ要請は水道法第43条で扱っています

基準値は改正されることがあります。最新の値は水質基準に関する省令の表をご確認ください。

関連する過去問解説

解説の中でこの記事を参照している過去問が7問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの7問で全部、という意味ではありません。

過去問解説の一覧(年度別・科目別)へ

参考資料

  • 水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号)本則の表(e-Gov法令検索)。同令に別表はなく、基準は本文の「次の表の上欄に掲げる事項」が指す本則の表に置かれています。本記事の基準値はこの表を全数集計して確認したもので、項目数は52です。
  • 環境省「要検討項目等の評価書 ジェオスミン」(PDF)。かび臭の原因物質であることと、藍藻類のアナベナにより産生されることは同資料によります。
  • 環境省「昭和48年版 環境白書 第3節 イタイイタイ病とカドミウム汚染」(環境省)。イタイイタイ病の本態がカドミウムの慢性中毒であることは同資料によります。
  • ※ 由来や健康影響(メトヘモグロビン血症、慢性中毒症、鉛の溶出条件)の記述は、公益財団法人給水工事技術振興財団が公表した各年度の正答番号から、正しい肢として確定できたものです(令和3年 問3、令和5年 問3)。
  • ※ 亜鉛が「味」の原因物質としても出題されていることは、公益財団法人給水工事技術振興財団「令和2年度 学科試験1 問題」問2および同年度の正答番号(問2=(3))により、選択肢2が正しい肢であることから確定したものです。分類そのものには踏み込んでいません。
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この記事を書いた人

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給水装置工事主任技術者の用語・過去問を、国土交通省の給水装置標準計画・施工方法など一次資料にあたって整理しています。

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給水装置工事主任技術者の用語・過去問を、一次資料にあたって整理しています。

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