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湯沸器の名前が似ていて、説明文がどれのことか分かりません。
貯蔵と貯湯は、字も意味も紛らわしいです。
この記事の要点
貯湯湯沸器はボイラーに該当しません。該当するとした肢が令和元年と令和6年に誤りとして出ています。
瞬間・貯蔵・貯湯の説明は、そのまま入れ替えて出されます。貯蔵は器内の容器に貯水し、貯湯は給水管が直結します。
地中熱は日本中どこでも利用でき、天候に左右されません。限られた地域でしか使えないとした肢は誤りです。
湯沸器は令和元年・3年・4年・6年の4年度で出ています。令和6年は1回の試験で2問出ました。
覚える型は決まっているので、まず対応を図で押さえます。
水を貯めるかどうかと、貯めた水に圧力がかかるかどうかです。
瞬間湯沸器は、器内の熱交換器で熱交換を行うもので、熱交換器を水が通過する間にガスバーナ等で加熱します。最高85℃程度まで温度を上げられますが、通常は40℃前後で使用します。
貯蔵湯沸器は、ボールタップを備えた器内の容器に貯水した水を、一定温度に加熱して給湯します。水圧がかからないので、湯沸器の設置場所でしか湯を使えません。
貯湯湯沸器は、給水管が直結して槽内に貯えた水を加熱するもので、湯温に連動して燃料通路の開閉や電源の入り切りを自動で行います。
令和6年は、この3つの説明を並べて語句を選ばせる形で出ました。貯蔵と貯湯の取り違えが狙いです。
当たりません。条文が除いています。
労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第1条第3号
ボイラー 蒸気ボイラー及び温水ボイラーのうち、次に掲げるボイラー以外のものをいう。
(中略)ニ ゲージ圧力〇・一メガパスカル以下の温水ボイラーで、伝熱面積が四平方メートル以下(…)のもの
給水装置として扱われる貯湯湯沸器のほとんどは、貯湯部にかかる圧力が100kPa以下で、かつ伝熱面積が4m²以下です。したがってボイラーから除かれます。
この2つの数字は令和3年と令和6年に、どちらも正しい記述として出ています。令和6年は数字を正しく書いたうえで、末尾を「該当する」に変えて誤りの肢にしていました。
小型ボイラーも同じ条の第4号で「ボイラーのうち、次に掲げるボイラー」と定義されているので、ボイラーでないものは小型ボイラーにもなりません。
「ボイラー及び小型ボイラーに該当する」とした肢は、令和元年と令和6年のどちらも誤りです。
減圧弁と安全弁(逃し弁)です。
貯湯湯沸器は有圧のまま貯湯槽内に貯えた水を加熱する構造で、給水管に直結します。だから減圧弁及び安全弁(逃し弁)の設置が必須です。
この記述は令和3年に正しい肢として出ています。給水管の配管工事の留意事項で扱った標準計画も、貯湯湯沸器には減圧弁又は逃し弁を設置すると定めています。
湯を使える場所が違います。
元止め式は湯沸器から離れた場所で使えません。給湯配管を通して離れた場所で使い、2か所以上に給湯できるのは先止め式です。
令和4年は「元止め式瞬間湯沸器は、給湯配管を通して湯沸器から離れた場所で使用できるもので、2カ所以上に給湯する場合に広く利用される」として出ていて、誤りです。
元止め式は水撃作用を生じるおそれのある給水用具にも挙げられています。手元で開閉するためです。
湯の量です。温度ではありません。
瞬間湯沸器の号数とは、水温を25℃上昇させたときに1分間に出るお湯の量(L)の数字です。25℃上昇させて1分間に20L給湯できる能力なら20号になります。
この説明は令和3年に正しい肢として出ています。同じ問では、瞬間湯沸器が最高85℃程度まで上げられるが通常は40℃前後で使うことも正しい肢でした。
給湯用加圧装置については、「貯湯湯沸器の一次側に設置し、湯圧が不足して給湯設備が満足に使用できない場合に加圧する」とした肢が令和3年に誤りとして出ています。正しい設置場所を書いた資料は確認できなかったため、ここでは誤りとして出題された事実だけを記しています。
大気熱は自然冷媒ヒートポンプ給湯機です。電気温水器ではありません。
令和3年は「電気温水器は、熱源に大気熱を利用しているため、消費電力が少ない湯沸器である」として出ていて、誤りでした。令和6年の穴埋めでは同じ説明に自然冷媒ヒートポンプ給湯機が入ります。
令和5年は逆向きに「自然冷媒ヒートポンプ給湯機は、熱源に太陽光を利用しているため、消費電力が少ない」として出ていて、これも誤りです。名前と熱源の組み合わせを、どちらの側からもずらしてきます。
地中熱については、日本中どこでも利用できて天候に左右されない点が問われます。
環境省「地中熱利用にあたってのガイドライン 改訂増補版」1.2 主な地中熱利用方式
クローズドループ方式は、深度100m程度までの地中熱交換器に不凍液等を循環させ、ヒートポンプで熱交換させるもので、設置場所を問わない。オープンループ方式では、井戸から揚水した地下水をヒートポンプで熱交換させるもので、水質が良く、地下水障害の恐れがない場合に適用できる。
令和3年は「地中の熱を間接的に利用するオープンループと、地下水の熱を直接的に利用するクローズドループ」として出ていて、逆なので誤りです。地下水を汲み上げて使うほうがオープンループです。
捨てていた熱を使うものに潜熱回収型給湯器があります。今まで利用せずに排気していた約200℃の燃焼ガスを再利用するものです。
順番は決まっていて、まず水を潜熱で温めてから、従来の一次熱交換器で加温して温水を作ります。これで従来の非潜熱回収型より高い熱効率になります。
この説明は令和3年 問42と令和4年 問52の2年度とも正しい肢で、令和6年 問51では自然冷媒ヒートポンプ給湯機と入れ替える選択肢として並びました。大気熱を使うのは自然冷媒、燃焼ガスを使うのが潜熱回収型です。
二回路型と水道直結型です。どちらも給水用具に当たります。
二回路型は、太陽集熱装置系と水道系が蓄熱槽内で別系統になっているものです。給水管に直結した貯湯タンク内で、太陽集熱器から送られる熱源を利用して水を加熱します。
水道直結型は、太陽集熱装置系内に水道水が循環するものです。「水道直結型としてはならない」とした肢は、令和元年に誤りとして出ています。
逆に二回路型と水道直結型の2つがあるという記述は、令和3年と令和6年に正しい肢として出ています。令和3年は「どちらも給水用具に該当する」という形でした。
| 誤りとして出た記述 | 出題年度 | 正しくは |
|---|---|---|
| 貯湯湯沸器はボイラー及び小型ボイラーに該当する | 令和元年・令和6年 | 該当しない |
| 元止め式は離れた場所で使え、2か所以上に給湯する場合に利用される | 令和4年 | それは先止め式 |
| 電気温水器は大気熱を利用するため消費電力が少ない | 令和3年 | それは自然冷媒ヒートポンプ給湯機 |
| 地中熱は日本の限られた地域でしか利用できない | 令和6年 | どこでも利用でき、天候に左右されない |
貯湯湯沸器は労働安全衛生法令のボイラーに該当するか。
該当しません。ゲージ圧力0.1MPa以下で伝熱面積4m²以下の温水ボイラーは、施行令第1条第3号でボイラーから除かれています。
ボールタップを備えた器内の容器に貯水するのはどの湯沸器か。
貯蔵湯沸器です。水圧がかからないため、湯沸器の設置場所でしか湯を使えません。
2か所以上に給湯できるのは元止め式と先止め式のどちらか。
先止め式です。元止め式とした肢は令和4年に誤りとして出題されています。
熱源に大気熱を利用して消費電力が少ないのはどれか。
自然冷媒ヒートポンプ給湯機です。電気温水器としている肢は誤りになります。
地下水を揚水して熱交換させるのはどちらのループか。
オープンループ方式です。クローズドループ方式は地中熱交換器に不凍液等を循環させます。
> 湯沸器が壊れたときの処置は給水用具の故障と対策にまとめています
湯沸器の設置の可否や必要な安全装置は、機種と設置条件、所管の規定によって異なります。実務ではメーカーの仕様と所管の水道事業者にご確認ください。
解説の中でこの記事を参照している過去問が12問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの12問で全部、という意味ではありません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年8月
給水装置の概要
給水装置の構造及び性能
給水装置施工管理法
給水装置工事事務論
水道行政
まちがえやすいポイント
名前と説明の組み合わせを、そのまま入れ替えて出してきます。
貯蔵は器内の容器に貯めるので設置場所でしか使えず、貯湯は給水管が直結するので減圧弁と安全弁が要ります。
元止め式と先止め式も同じで、離れた場所で使えるのは先止め式です。手元で止めるのが元止め式と覚えてください。