給水装置工事主任技術者 独学ガイド

  1. HOME
  2. 給水装置の構造及び性能
  3. > 耐久性能基準

耐久性能基準とは?10万回の開閉と適用される弁類

T

T

10万回という数字は覚えたのですが、それ以外がぼんやりしています。

どの弁が対象になるのかが、毎回あやふやです。

この記事の要点

弁類は10万回の開閉操作を繰り返した後も、耐圧性能・水撃限界性能・逆流防止性能を保つ必要があります。

対象は単体で取り付ける弁類です。給水用具の内部に備え付けられているものは含みません。

含まれるとした肢が令和6年と令和7年に誤りとして出ています。水栓やボールタップも対象外です。

耐久性能基準を主題にした問題は、令和4年・5年・6年・7年の4年度で出ています。構造性能の中でも出題が続いている項目です。

このほか令和3年と令和4年には、省令全体を問う問題の選択肢としても出ています。数え方を変えれば令和3年から令和7年までの5年度すべてです。

問われるのは回数と適用対象です。まず条文の骨格を図で押さえます。

耐久性能基準の要件を整理した図。左は試験とそのあとの性能で、耐久性能試験は十万回の開閉操作を繰り返し開と閉の動作をもって一回と数えること、そのあとも耐圧性能つまり第1条第1項、水撃限界性能つまり第3条、逆流防止性能と負圧破壊性能つまり第5条第1項第1号の性能を保つことを示している。右は適用される弁類で、対象になるのは減圧弁・逃し弁・逆止弁・空気弁・電磁弁のうち単体で製造・販売され施工時に取り付けるもの、対象にならないのは給水用具の内部に備え付けられているものと水栓・ボールタップであることを示している。
回数と、そのあとに保つ性能と、適用される弁の範囲。※条文の要件を整理した図。

何のための基準なのか

弁が壊れて、他の性能まで巻き添えになるのを防ぐためです。

頻繁に作動を繰り返すうちに弁類が故障すると、その結果として給水装置の耐圧性や逆流防止に支障が生じます。この説明は令和4年と令和6年に正しい肢として出ています。

だから耐久性能基準は、制御弁類のうち機械的・自動的に頻繁に作動するものを対象にしています。

何回の開閉に耐えるのか

10万回です。数え方にも決まりがあります。

給水装置の構造及び材質の基準に関する省令(平成9年厚生省令第14号)第7条(耐久に関する基準)

弁類(前条本文に規定するものを除く。)は、耐久性能試験により十万回の開閉操作を繰り返した後、当該給水装置に係る第一条第一項に規定する性能、第三条に規定する性能及び第五条第一項第一号に規定する性能を有するものでなければならない。

開閉回数は、弁の開及び閉の動作をもって1回と数えます。この記述は令和7年に正しい肢として出ています。

10万回という数字そのものは、令和3年から令和7年までの5年度すべてで正しい肢として出ています。ここを動かした肢は出ていません。

試験のあとに何を保つのか

条文が引いている3つの性能です。

第1条第1項が耐圧性能、第3条が水撃限界性能、第5条第1項第1号が逆流防止性能と負圧破壊性能にあたります。

令和7年は「耐圧性能、水撃限界性能、逆流防止性能及び負圧破壊性能を有するものでなければならない」という形で出ていて、正しい肢です。第5条第1項第1号にはバキュームブレーカの負圧破壊性能も含まれます。

どの弁が対象になるのか

省令が「弁類」と呼んでいるものです。定義は前の条にあります。

同 第6条(耐寒に関する基準)

屋外で気温が著しく低下しやすい場所その他凍結のおそれのある場所に設置されている給水装置のうち減圧弁、逃し弁、逆止弁、空気弁及び電磁弁(給水用具の内部に備え付けられているものを除く。以下「弁類」という。)にあっては、…

括弧の中が効いています。給水用具の内部に備え付けられているものは、はじめから「弁類」に入っていません

したがって耐久性能基準の適用対象は、弁類単体として製造・販売され、施工時に取り付けられるものに限られます。この記述は令和4年と令和5年に、どちらも正しい肢として出ています。

給水用具の部品として入っている弁は対象か

対象になりません。ここが繰り返し狙われています。

「耐久性能基準の適用対象は、弁類が給水用具の部品として備え付けられている場合も含まれる」とした肢は、令和6年と令和7年のどちらも誤りです。

同じ論点を裏返した形もあります。令和5年は「消費者が自らの意思で選択し、又は設置・交換できるような弁類に適用する」として出ていて、これも誤りです。

正しくは「選択し、又は設置・交換しないような弁類」です。取り替えの判断が使う人に委ねられないからこそ、基準で耐久性を担保します。

水栓やボールタップはなぜ外れるのか

壊れたことに気づけるからです。

水栓やボールタップは通常は故障が発見しやすい箇所に設置されており、耐久の度合いは消費者の選択に委ねることができます。この説明は令和5年と令和7年に正しい肢として出ています。

裏を返すと、対象になる弁類は壊れても気づきにくい場所で自動的に働き続けるものです。減圧弁や電磁弁がこれにあたります。

誤りとして出た記述 出題年度 正しくは
適用対象は、弁類が給水用具の部品として備え付けられている場合も含まれる 令和6年・令和7年 含まれない。単体で取り付けるものに限る
通常消費者が自らの意思で選択し、又は設置・交換できるような弁類に適用する 令和5年 選択・設置・交換しないような弁類

まちがえやすいポイント

10万回は覚えやすいので、そこ以外が狙われます。

適用対象は単体の弁類だけで、給水用具の部品として組み込まれた弁は入りません。省令第6条の「弁類」の定義に、除くと書いてあります。

迷ったら定義の括弧書きに戻ってください。給水用具の内部に備え付けられているものを除く、が答えです。

理解度チェック

Q.

耐久性能試験では何回の開閉操作を繰り返すか。

10万回です。弁の開及び閉の動作をもって1回と数えます。

Q.

試験のあとに保つべき性能は何か。

耐圧性能、水撃限界性能、逆流防止性能と負圧破壊性能です。省令第7条が第1条第1項・第3条・第5条第1項第1号を引いています。

Q.

省令にいう「弁類」とは何を指すか。

減圧弁、逃し弁、逆止弁、空気弁及び電磁弁です。ただし給水用具の内部に備え付けられているものは除かれます。

Q.

給水用具の部品として組み込まれた弁は適用対象か。

対象外です。含まれるとした肢は令和6年と令和7年のどちらも誤りとして出題されています。

Q.

水栓やボールタップが対象にならない理由は何か。

通常は故障が発見しやすい箇所に設置されており、耐久の度合いを消費者の選択に委ねることができるためです。

まとめ

  • 弁類は10万回の開閉操作を繰り返した後も性能を保つ。開と閉で1回。
  • 保つのは耐圧性能・水撃限界性能・逆流防止性能と負圧破壊性能(省令第7条)。
  • 「弁類」=減圧弁、逃し弁、逆止弁、空気弁及び電磁弁。給水用具の内部に備え付けられているものを除く
  • 適用対象は単体で製造・販売され、施工時に取り付けるものに限る。部品として組み込まれた弁は対象外
  • 水栓やボールタップは故障が発見しやすいため対象にしない。

> 弁類が満たすもうひとつの基準は自己認証と第三者認証で扱う性能基準の一覧から確認できます

> 同じ省令で対象の切り方が違うのが浸出性能基準です

> この「弁類」の定義が置かれている第6条の中身は耐寒性能基準で扱っています

性能基準への適合の確認方法や、認証品の採用に関する取扱いは水道事業者ごとに定められています。実務では所管の水道事業者にご確認ください。

関連する過去問解説

解説の中でこの記事を参照している過去問が12問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの12問で全部、という意味ではありません。

過去問解説の一覧(年度別・科目別)へ

参考資料

  • 給水装置の構造及び材質の基準に関する省令(平成9年厚生省令第14号)第6条・第7条(e-Gov法令検索)。十万回の開閉操作、そのあとに保つ性能、「弁類」の定義と括弧書きの除外は同令によります。
  • ※ 適用対象の説明(機械的・自動的に頻繁に作動し、消費者が自らの意思で選択・設置・交換しない弁類に適用すること、水栓やボールタップを対象にしない理由)は、各年度に正しい肢として出題された記述を整理したものです。
  • ※ 誤りとして出題された記述の判定は、公益財団法人給水工事技術振興財団が公表した各年度の正答番号により、正しい肢・誤りの肢を確認したものです。
  • ※ 省令の現行条文は「国土交通大臣が定める試験」と表記されています。令和5年以前の過去問は「厚生労働大臣」ですが、水道行政の移管によるもので内容は同じです。
T

この記事を書いた人

T

給水装置工事主任技術者の用語・過去問を、国土交通省の給水装置標準計画・施工方法など一次資料にあたって整理しています。

T

T

給水装置工事主任技術者の用語・過去問を、一次資料にあたって整理しています。

Topへ >>