給水装置工事主任技術者 独学ガイド

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水道直結式スプリンクラー設備とは?湿式と乾式・電動弁までを短くする理由

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消火設備の話が、なぜ水道の試験に出てくるんだろう。

消防の人がやる工事じゃないの?

この記事の要点

水道直結式スプリンクラー設備は給水装置に当たります。だから水道法と消防法令の両方がかかります。

水をためない設備です。「水を貯留できる構造にする」とした肢は誤りとして出ています。

水理計算と給水用具の選定を行うのは消防設備士です。ここを主任技術者に置き換えた肢が4年度続けて出ています。

消火設備なのに、水道の試験に毎年1問まるごと出ます。

理由は、この設備が給水装置そのものだからです。まずそこから見ます。

水道直結式スプリンクラー設備の湿式と乾式を比べた図。湿式は配管内が常時水で満たされ、末端をトイレのロータンク等の日常的に使う給水用具につないで停滞水を防ぐ。乾式は配管内が常時圧縮空気で、水があるのは分岐部から電動弁までの区間だけなのでこの区間を短くする。共通して、飲用系統からの分岐部に逆止弁等を設けること、消防法令適合品と省令の両方に適合させること、水理計算と給水用具の選定は消防設備士が行うことを示している。
湿式と乾式で停滞水の防ぎ方が違う。共通する3つはどちらの方式でも問われる。

なぜ水道の試験に出てくるのか

給水装置だからです。

水道法(昭和32年法律第177号)第3条第9項

この法律において「給水装置」とは、需要者に水を供給するために水道事業者の施設した配水管から分岐して設けられた給水管及びこれに直結する給水用具をいう。

配水管から分岐した給水管に直結している以上、スプリンクラーであっても給水装置です。したがって設置や変更の工事は給水装置工事に当たります。

消防法施行令の改正が公布されたのは平成19年で、一定規模以上のグループホーム等の小規模社会福祉施設にスプリンクラーの設置が義務付けられました。この論点は6年度すべてで正しい肢として出ています。

水をためてよいのか

ためません。ためないことが定義そのものです。

消防法施行令(昭和36年政令第37号)第12条第2項第3号の2

特定施設水道連結型スプリンクラー設備(スプリンクラー設備のうち、その水源として、水道の用に供する水管を当該スプリンクラー設備に連結したものであつて、次号に規定する水量を貯留するための施設を有しないものをいう。…)

「消火用水をできるだけ確保するために十分な水を貯留することのできる構造とする」とした肢は、令和3年に誤りとして出ています。貯留施設を持たないことが、この設備の定義に書き込まれています。

同じ条は、通常のスプリンクラー設備には必要な加圧送水装置送水口を、この設備については除外しています。水道の圧力をそのまま使うからです。

湿式と乾式は何が違うのか

配管の中身が違います。水か、圧縮空気かです。

方式 配管の中と、停滞水の防ぎ方
湿式 常時水が充満している。配管の末端をトイレのロータンクや浴槽など日常的に使う給水用具につなぎ、水を動かして停滞させない
乾式 常時圧縮空気が充填されている。作動時に弁が開いて通水する。配管の末端に給水栓を接続する必要はない

湿式で末端につなぐのは、飲用に供さず、かつ日常的に使うものです。トイレのロータンクが代表例です。

乾式は電動弁までを長くするのか

短くします。長くではありません。

乾式で水が入っているのは、給水管の分岐部から電動弁までの区間だけです。この区間が長いほど停滞水が増えるので、分岐部と電動弁との間はできるだけ短くします。

自治体の指針も、分岐点に近接した部分に火災信号と連動する弁を設けるよう定めています。

試験では「消火時の水量をできるだけ多くするため、給水管分岐部と電動弁との間を長くすることが望ましい」という形で出ます。令和元年・令和4年・令和6年の3回とも誤りの肢です。

基準は消防法令だけでよいのか

両方です。片方では足りません。

スプリンクラーヘッドは消防法令適合品を使い、あわせて給水装置の構造及び材質の基準に関する省令と水道法施行令第6条に適合した給水管、給水用具を用います。

「消防法令に適合すれば、給水装置の構造及び材質の基準に適合しなくてもよい」とした肢は、令和元年に誤りとして出ています。

逆流防止のため、飲用系統の給水管からの分岐部に逆止弁等を設けることも共通の決まりです。

水理計算は誰が行うのか

消防設備士です。主任技術者ではありません。

米原市上下水道課「水道直結式スプリンクラー設備設置基準書」6(4)

配水管から分岐して設けられた給水管からスプリンクラーヘッドまでの水理計算、口径決定、スプリンクラー設備に係わる給水管、給水用具の選定は消防設備士の指導に従うこと。

工事を施工するのは指定給水装置工事事業者ですが、消防設備士の指導の下で行います。責任の所在と作業の分担が分かれています。

この論点は令和元年から令和7年まで6年度すべてで問われています。「給水装置工事主任技術者が行う」に置き換えた肢は、令和4年・令和5年・令和6年・令和7年の4回とも誤りです。

なお、断水や水圧低下でこの設備の性能が十分に発揮されない状況が生じても、水道事業者に責任はありません。設置者が責任を負うことが自治体の指針に定められています。

まちがえやすいポイント

正しい記述の一部だけを裏返して出してきます。

乾式で短くするのは「停滞水を減らすため」であって、長くして水量を稼ぐのではありません。水理計算をするのは「消防設備士」で、主任技術者ではありません。

貯留についても同じです。ためないことが定義なので、ためる構造にするという記述は成り立ちません。

理解度チェック

Q.

水道直結式スプリンクラー設備は、水道法上どう扱われるか。

水道法第3条第9項の給水装置に当たります。配水管から分岐した給水管に直結する給水用具だからです。

Q.

この設備に水を貯留する施設は設けるか。

設けません。消防法施行令第12条第2項第3号の2が、水量を貯留するための施設を有しないものと定義しています。

Q.

乾式で、給水管分岐部と電動弁との間はどうするか。

短くします。この区間だけが水で満たされていて、長いと停滞水が増えるためです。

Q.

湿式で配管の末端に何を接続するか。

トイレのロータンクなど、飲用に供さず日常的に使う給水用具です。水を動かして停滞させないためです。

Q.

水理計算及び給水管、給水用具の選定は誰が行うか。

消防設備士です。「給水装置工事主任技術者が行う」とした肢は、令和4年から令和7年まで誤りとして出題されています。

まとめ

  • 水道法第3条第9項の給水装置に当たる。だから水道法と消防法令の両方がかかる。
  • 水量を貯留する施設を有しないことが定義。加圧送水装置と送水口も要らない。
  • 湿式は末端を日常的に使う給水用具につなぐ。乾式は末端に給水栓が要らない。
  • 乾式は分岐部と電動弁の間を短くする。長くするのは誤り。
  • 水理計算と給水用具の選定は消防設備士。施工は指定給水装置工事事業者がその指導の下で行う。

> 配水管からの分岐に使う器具はサドル付分水栓を確認する

設置の可否、事前協議の手続き、必要な添付図書は水道事業者ごとに定められています。実務では所管の水道事業者と消防機関にご確認ください。

関連する過去問解説

解説の中でこの記事を参照している過去問が11問あります。正誤の判定は公益財団法人 給水工事技術振興財団が公表した正答番号によります。この論点が出題された過去問がこの11問で全部、という意味ではありません。

過去問解説の一覧(年度別・科目別)へ

参考資料

  • 水道法(昭和32年法律第177号)第3条第9項(e-Gov法令検索)。給水装置の定義は同項によります。
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第12条(e-Gov法令検索)。特定施設水道連結型スプリンクラー設備の定義、貯留施設・加圧送水装置・送水口の扱いは同条によります。
  • 浜松市上下水道部「給水装置工事の指針 第15章 水道直結式スプリンクラー設備」(PDF)。湿式と乾式の説明、配管・施工の決まり、設置者の責務は同資料によります。
  • 越谷・松伏水道企業団「給水装置設計施工指針 12 水道直結式スプリンクラー設備」(PDF)。分岐点に近接した部分に弁を設けること、消防設備士の指導の下で指定給水装置工事事業者が施工することは同資料によります。
  • 米原市上下水道課「水道直結式スプリンクラー設備設置基準書」(PDF)。水理計算・口径決定・給水用具の選定を消防設備士の指導に従うことは同資料によります。
  • ※ 誤りとして出題された記述の判定は、公益財団法人給水工事技術振興財団が公表した各年度の正答番号により、正しい肢・誤りの肢を確認したものです。
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この記事を書いた人

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給水装置工事主任技術者の用語・過去問を、国土交通省の給水装置標準計画・施工方法など一次資料にあたって整理しています。

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給水装置工事主任技術者の用語・過去問を、一次資料にあたって整理しています。

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