令和7年度 給水装置工事主任技術者試験 学科試験1 問1は、水系感染症を引き起こす病原微生物に関する問題です。4つの記述のうち、不適当なものを1つ選びます。
並んでいるのはレジオネラ属菌・ノロウイルス・腸管出血性大腸菌・クリプトスポリジウムの4つです。前の3つは感染経路と症状の説明で、いずれもそのまま正しい記述になっています。
引っかけは最後の1つだけです。クリプトスポリジウムが高い抵抗性を持つ相手を「紫外線」に置き換えている点が誤りになります。正しくは塩素に対して抵抗性が高く、紫外線処理はむしろ有効な対策として位置づけられています。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 給水工事技術振興財団が公開している過去5年間の試験問題で確認できます。
正解:選択肢4(不適当な記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | レジオネラ属菌は冷却塔・温泉・噴水・加湿器等の人工環境水が感染源で、エアロゾルの吸引や誤嚥で感染します。発症するのはレジオネラ肺炎とポンティアック熱です |
| 2 | ○(正しい) | ノロウイルスは経口感染で、ふん便や吐物から大量に長期間排出されます。簡易水道・井戸水・受水槽の汚染による食中毒が発生しています |
| 3 | ○(正しい) | 腸管出血性大腸菌の代表がO157です。主な原因は肉類や野菜類ですが、井戸水が原因で死者が発生した事例もあります |
| 4 | ×(誤り) | 人畜共通の病原原虫であることは正しいものの、「紫外線による消毒処理に対して極めて高い抵抗性を有する」が誤り。抵抗性が高いのは塩素に対してで、紫外線処理は99.9%以上を不活化できる予防対策とされています |
4つのうち3つが正しい記述なので、消去法よりも「クリプトスポリジウム=塩素に強い」を知っているかで決まる問題です。
強い相手が入れ替えられています。
国土交通省の対策指針は、この病原生物を次のように位置づけています。
水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針 1.背景及び目的
本指針は、我が国において特に対策を講ずべき耐塩素性病原生物であるクリプトスポリジウム及びジアルジア(以下、「クリプトスポリジウム等」という。)を対象として作成している。
「耐塩素性」と明記されています。塩素消毒が効きにくいからこそ、指針が別に作られたという関係です。
では紫外線はどうかというと、指針は予防対策の施設整備として次の要件を挙げています。
同 3.予防対策 (1)施設整備 (ア)レベル4
(b) ろ過設備(急速ろ過、緩速ろ過、膜ろ過等)及びろ過後の水を処理するための紫外線処理設備であって、以下の要件を満たすもの。
① クリプトスポリジウム等を99.9%以上不活化できる紫外線処理設備であること。
99.9%以上を不活化できるのですから、「極めて高い抵抗性を有する」とは逆の評価です。紫外線処理設備は平成19年の指針でレベル3の施設に位置づけられ、令和元年5月の改定で、汚染のおそれが最も高いレベル4の施設にも加わりました。
詳しい背景はクリプトスポリジウムとは?塩素に強く紫外線に弱い理由と水系感染症を整理で扱っています。
クリプトスポリジウムが極めて高い抵抗性を持つのは何に対してか。
塩素です。対策指針も「耐塩素性病原生物」と呼んでいます。紫外線に対しては99.9%以上を不活化できる処理設備が予防対策に位置づけられています。
対策指針が対象としている耐塩素性病原生物は何か。
クリプトスポリジウム及びジアルジアの2つです。
レジオネラ属菌はどのように感染するか。
冷却塔・温泉・噴水・加湿器等の人工環境水が感染源となり、エアロゾルの吸引や誤嚥等により感染します。レジオネラ肺炎とポンティアック熱を発症します。
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汚染のおそれのレベル判定と必要な施設整備は、水道事業者ごとに原水の条件をふまえて決められています。実務では所管の水道事業者にご確認ください。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年8月