技術士一次 建設部門の一覧|Ⅲ-5とⅢ-6は7年連続で構造力学
この記事の要点
建設部門の専門科目は35問出題で、そのうち25問を選んで解答します。
設問の並びは分野ごとに決まっていて、土質及び基礎がⅢ-1から、鋼構造及びコンクリートがⅢ-5から並びます。
建設部門は、技術士第一次試験で最も受験者が多い部門です。
令和7年度は8,905人が受験していて、全体17,013人の52%を占めます。
35問から25問を選ぶ
10問を捨てられるので、解ける分野に絞って取りにいけます。分野の並びが毎年ほぼ同じなので、どこを取るかは試験前に決められます。
Ⅲ-5とⅢ-6は7年続けて構造力学だった
| 年度 | Ⅲ-5 | Ⅲ-6 |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 片持ちばりの先端たわみ | モーメント荷重の反力 |
| 令和6年度 | 長柱の座屈荷重 | T形断面の図心 |
| 令和5年度 | 単純梁の反力と曲げモーメント | I形断面の断面二次モーメント |
| 令和4年度 | 曲げモーメント図の組合せ | 長方形断面の断面諸量 |
| 令和3年度 | はりの断面力図(知識) | T形断面の図心 |
| 令和2年度 | 等分布荷重の中央曲げモーメント | I形断面の断面二次モーメント |
| 令和元年度 | 台形の図心 | 片持ちばり先端のたわみ |
7年とも、14問すべてが構造力学でした。ここに他分野が入り込んだ年はありません。
その1つ前の平成30年度は、Ⅲ-6が鋼材の腐食及び防食で力学ではありません。水理の計算も、平成30年度はⅢ-19に置かれていてⅢ-17ではありませんでした。
Ⅲ-5・Ⅲ-6の力学と、Ⅲ-17の水理計算が、そろって令和元年度から始まっています。
設問の並びは令和元年度に組み替えられたと見てよいです。
14問の中身は5つの道具に収まる
| 道具 | 出た回数 | 出た年度 |
|---|---|---|
| 反力・曲げモーメント | 4回 | 令和2・4・5・7 |
| 図心 | 3回 | 令和元・3・6 |
| 断面二次モーメント・断面諸量 | 3回 | 令和2・4・5 |
| たわみ | 2回 | 令和元・7 |
| 座屈 | 1回 | 令和6 |
| 断面力図(知識) | 1回 | 令和3 |
合計14回で、7年×2問と一致します。上の3つを固めるだけで10問、7割を占めます。
同じ設問がそのまま再出題されている
読み比べていて気づきました。3年前と同じ設問が同じ番号で入っている年があります。
| 設問 | 内容 | 古いほうの正答 | 新しいほうの正答 |
|---|---|---|---|
| Ⅲ-4 | 直線すべり面の安全率 | 令和元年度 ② | 令和4年度 ⑤ |
| Ⅲ-4 | 土圧(主働・受働・ランキン・クーロン) | 令和2年度 ④ | 令和5年度 ② |
| Ⅲ-6 | I形断面の断面二次モーメント | 令和2年度 ④ | 令和5年度 ⑤ |
図も選択肢の中身も同じで、並び順だけが入れ替えてあります。
番号で覚えていると外すので、内容で選ぶ必要があります。ただし令和4年度と令和7年度のⅢ-4は別の設問なので、3年おきと決めつけることはできません。
誤りの位置だけ動かして出し直す形もある
平成30年度のⅢ-5と令和4年度のⅢ-6は、同じ図の長方形断面の設問です。選択肢①②③は一字も変わりませんが、④と⑤が差し替えてあります。
問い方は平成30年度が「最も不適切なもの」で、令和4年度は「不適切なもの」です。
| 年度 | 設問 | 誤っている記述 | 正答 |
|---|---|---|---|
| 平成30年度 | Ⅲ-5 | 幅を2倍にすると断面二次半径が2倍 | ⑤ |
| 令和4年度 | Ⅲ-6 | 高さを2倍にすると断面係数が8倍 | ④ |
見た目は同じでも、誤りが置かれた位置だけ動いています。
答えの番号で覚える解き方は、この出し方の前では通用しません。過去問をさかのぼって解く価値は高いですが、番号でなく中身を覚える必要があります。
Ⅲ-1からⅢ-4は土質及び基礎
| 年度 | 設問 | 内容 |
|---|---|---|
| 令和7年度 | Ⅲ-1 | 定水位透水試験(計算) |
| 令和7年度 | Ⅲ-2 | 有効応力と水平応力(計算) |
| 令和7年度 | Ⅲ-3 | 土の基本的性質(知識) |
| 令和7年度 | Ⅲ-4 | 構造物の基礎(知識) |
| 令和5年度 | Ⅲ-4 | 土圧(知識) |
| 令和4年度 | Ⅲ-4 | 直線すべり面の安全率(計算) |
| 令和2年度 | Ⅲ-4 | 土圧(知識・令和5と同じ設問) |
Ⅲ-7からは溶接継手や接合部といった鋼構造の知識問題に移ります。
計算で取れるのは前のほうに固まっている
令和7年度の35問を1問ずつ全部読みました。分野の並びは下のとおりです。
| 設問 | 分野 | 計算の数 |
|---|---|---|
| Ⅲ-1〜Ⅲ-4 | 土質及び基礎 | 2問(Ⅲ-1・Ⅲ-2) |
| Ⅲ-5〜Ⅲ-12 | 鋼構造及びコンクリート | 2問(Ⅲ-5・Ⅲ-6) |
| Ⅲ-13〜Ⅲ-16 | 都市及び地方計画 | 0 |
| Ⅲ-17〜Ⅲ-22 | 水理学・河川 | 1問(Ⅲ-17) |
| Ⅲ-23〜Ⅲ-25 | 海岸・港湾 | 0 |
| Ⅲ-26 | 砂防 | 0 |
| Ⅲ-27・Ⅲ-28 | 電力土木 | 0 |
| Ⅲ-29〜Ⅲ-31 | 道路・鉄道・トンネル | 0 |
| Ⅲ-32・Ⅲ-33 | 施工計画・施工管理 | 0 |
| Ⅲ-34・Ⅲ-35 | 建設環境 | 0 |
35問のうち計算問題は5問だけでした。Ⅲ-1・Ⅲ-2・Ⅲ-5・Ⅲ-6に4問が固まり、離れてⅢ-17にもう1問あります。
Ⅲ-17はベルヌーイの定理で管路内の圧力を出す問題で、水理学ですが、力学の道具で解けます。一方で同じ水理・海岸の分野でも、Ⅲ-19の開水路やⅢ-23の海岸工学は計算ではありませんでした。
比エネルギーの意味や、広井式・ハドソン式が何の式かを問う形になっていました。分野で計算かどうかが決まるのではなく、設問ごとに違います。
計算が出る5つの位置は年が変わっても動かない
| 年度 | Ⅲ-5 | Ⅲ-6 | Ⅲ-17 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 片持ちばりのたわみ ① | モーメント荷重の反力 ② | ベルヌーイの定理 ③ |
| 令和6年度 | 長柱の座屈荷重 ③ | T形断面の図心 ④ | 静水圧の全水圧と作用点 ④ |
| 令和5年度 | 単純梁の反力と曲げM ① | I形断面の断面二次モーメント ⑤ | オリフィスの流出速度 ② |
| 令和4年度 | 曲げモーメント図 ⑤ | 長方形断面の断面諸量 ④ | 矩形ゲートの全水圧 ② |
| 令和3年度 | はりの断面力図 ② | T形断面の図心 ③ | 狭窄部の管路の圧力 ② |
Ⅲ-5・Ⅲ-6・Ⅲ-17は5年とも同じ位置に置かれていました。
Ⅲ-1とⅢ-2も、令和6年度は土の三相と液性指数でどちらも計算でした。中身は年で変わりますが、位置は動いていません。
Ⅲ-17に必要な道具は2つだけ
| 年度 | Ⅲ-17の内容 | 使う道具 | 正答 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 管路途中の圧力 | ベルヌーイの定理 | ③ |
| 令和6年度 | 壁に働く全水圧と作用点 | 静水圧 | ④ |
| 令和5年度 | オリフィスの流出速度 | ベルヌーイの定理 | ② |
| 令和4年度 | 矩形ゲートの分割 | 静水圧 | ② |
| 令和3年度 | 狭窄部の管路の圧力 | ベルヌーイの定理 | ② |
| 令和2年度 | 管路途中の圧力 | ベルヌーイの定理 | ② |
| 令和元年度 | オリフィスの流出速度 | ベルヌーイの定理 | ③ |
7年のうち5回がベルヌーイの定理、2回が静水圧でした。
同じオリフィスでも記号の定義が違う
令和元年度と令和5年度は、どちらも小穴からの流出速度を求める同じ設定です。ところが答えは √(2g・zA) と √(2g・(zA−zC)) で違います。
令和元年度のzAは小穴から水面までの高さ、令和5年度のzAは基準面から水面までの高さになっています。図の寸法線がどこからどこまでかで、式が変わります。
同じ問題に見えても、記号の定義を図で確かめないと外します。令和2年度と令和7年度は同じ設問で、図も問題文も同じです。
正答の式もρ・g・(zC−zB)で変わりませんが、番号は②と③に分かれています。ベルヌーイが出た年は前置きの式と説明文が同じで、図と問われる量だけが差し替えてあります。
どちらが来ても、必要な道具はベルヌーイと静水圧の2つだけです。この5つを取れる状態にしておけば、25問のうち5問は計算で確保できます。
25問そろえるには知識問題が要る
計算で取れるのが5問だとすると、残り20問は知識で埋めることになります。力学が得意でも、それだけで25問には届きません。
Ⅲ-1・Ⅲ-2・Ⅲ-5・Ⅲ-6・Ⅲ-17を確実に取ったうえで、専門に近い分野の知識問題を積む形です。
Ⅲ-7からⅢ-12は鋼構造とコンクリートの知識問題
令和4年度から令和7年度までの4年分、Ⅲ-7からⅢ-12の24問を1問ずつ全部読みました。
| 年度 | Ⅲ-7 | Ⅲ-8 | Ⅲ-9 | Ⅲ-10 | Ⅲ-11 | Ⅲ-12 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 溶接継手 ⑤ | 腐食及び防食 ③ | 鋼橋の維持管理 ④ | コンクリートの材料 ⑤ | 鉄筋コンクリート構造 ③ | 劣化機構の組合せ ⑤ |
| 令和6年度 | 鋼構造物の疲労 ② | 鋼材の腐食 ① | 道路橋の床版 ⑤ | コンクリート ② | プレストレストコンクリート ④ | 劣化現象 ④ |
| 令和5年度 | 鋼部材の接合部 ③ | 非破壊試験 ④ | 鋼橋の維持管理 ② | フレッシュコンクリート ④ | 鉄筋コンクリート構造 ③ | 劣化機構と外観 ② |
| 令和4年度 | 道路橋の床版 ① | 鋼構造の一般的特徴 ③ | 橋の限界状態 ② | コンクリートの材料 ⑤ | コンクリートの強度と変形 ② | 劣化現象 ③ |
Ⅲ-7からⅢ-9が鋼構造、Ⅲ-10からⅢ-12がコンクリートです。4年24問とも例外がありません。
24問すべてが知識問題で、この6問に計算問題は一つも入っていませんでした。
Ⅲ-12は4年ともコンクリート構造物の劣化で、もっとも題材が動かない設問です。Ⅲ-10も4年ともコンクリートの材料か性状で、題材が動きません。
逆にⅢ-7とⅢ-9は、溶接・疲労・接合部・床版・限界状態と鋼橋まわりで題材が入れ替わります。この6問のうち3問は再出題が確認できているので、4年分を解いておくと重なります。
記事一覧
土質及び基礎
- 有効応力の求め方|K0を掛けるのは有効応力のほう
- 主働土圧と受働土圧はどちらが大きいか|ランキンとクーロンの違い
- 直線すべり面の安全率|cosとsinをどちらに置くか
- ダルシーの法則の式の形|Q/A=k・h/L に落とす
- 土の三相|含水比も間隙比も分母は土粒子
- 液性指数の分母は塑性指数|塑性図で粒度は分からない
- 浅い基礎に周面摩擦を足してはいけない|即時沈下と圧密沈下
水理学
鋼構造及びコンクリート(計算)
- 片持ちばりの途中に荷重が載るときの先端たわみ
- 座屈荷重は一辺の4乗・長さの2乗で効く
- 単純ばりの反力と曲げモーメント|反対側の支点でモーメントを取る
- せん断力図と曲げモーメント図|次数は1つずつ上がる
- 単純ばりにモーメント荷重だけが働くときの反力
- T形断面の図心の求め方|長方形2つに切って面積で割る
- 断面二次モーメントは高さの3乗で効く|I形は引き算で出す
鋼構造の知識問題(Ⅲ-7〜Ⅲ-9)
- 鋼構造物の溶接継手|上向き溶接を避ける理由と開先溶接を使う場面
- 鋼材の非破壊試験|浸透探傷は内部欠陥を見つけられない
- 鋼材の腐食と防食|耐候性鋼材が使えない環境
- 鋼橋の維持管理|遅れ破壊はF10TやF8Tでは起きない
- 道路橋の床版|L荷重とT荷重の取り違えで落とす
- 鋼構造の一般的な特徴|軽いから変形が大きく振動しやすい
- 橋の限界状態1・2・3|どこまで壊れてよいかの線引き
コンクリートの知識問題(Ⅲ-10〜Ⅲ-12)
- コンクリートの材料|ポルトランドセメント6種類に高熱は無い
- フレッシュコンクリート|単位水量を増やすと材料分離しやすくなる
- 鉄筋の継手はどこに設けるか|プレテンションとポストテンションの取り違え
- コンクリートの劣化機構|寒冷地域は凍害、ASRはアルカリ性で膨張
まとめ
建設部門は35問中25問を選ぶので、計算で取れる位置を先に押さえたいです。
Ⅲ-5とⅢ-6は7年続けて構造力学で、ここは落とさずに取りたいです。
出典
公益社団法人 日本技術士会「平成30年度〜令和7年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」
公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 試験問題の正答」平成30年度〜令和7年度
公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 統計情報」令和7年度の試験結果
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ 分野の並びは令和7年度の35問を1問ずつ全部読んで分類しました。
※ Ⅲ-5とⅢ-6の7年分は令和元〜令和7を読み、平成30年度も一部を確認しました。平成29年度以前は確認していません。
※ Ⅲ-7〜Ⅲ-12は令和4年度〜令和7年度の4年分24問を全部読みました。令和3年度以前は確認していません。
※ この記事の確認日:2026年7月