断面二次モーメントは高さの3乗で効く|I形は引き算で出す
この記事の要点
長方形断面の断面二次モーメントは I=bh³/12 で、高さhの3乗で効きます。
I形や中空断面は、同じ軸まわりなら引き算で出せます。
断面二次モーメントは、曲げに対する断面の効きを表す量です。
たわみにも座屈にもこの値が入るので、ここが出せないと先へ進めません。
高さが3乗で効く
長方形断面では I=bh³/12 です。幅bは1乗、高さhは3乗なので、材料を縦に使うほうがはるかに効きます。
| 変える量 | 断面積A | 断面二次モーメントI | 断面係数Z | 断面二次半径i |
|---|---|---|---|---|
| 幅bを2倍 | 2倍 | 2倍 | 2倍 | 変わらない |
| 高さhを2倍 | 2倍 | 8倍 | 4倍 | 2倍 |
| 両方2倍 | 4倍 | 16倍 | 8倍 | 2倍 |
断面係数は Z=I/(h/2)=bh²/6、断面二次半径は i=√(I/A)=h/√12 です。
高さを2倍にしたとき、Iは8倍でもZは4倍にとどまります。Iの倍率をそのままZに使うと外します。
I形と中空は引き算でよい
上下対称なI形断面は、外側の長方形から左右の空き部分を引けば出せます。全体の幅b・高さh、ウェブの厚さt、ウェブの内のり高さwとすると I=[bh³−(b−t)w³]/12 です。
引き算が使えるのは、引く側と引かれる側の図心軸が一致しているときだけです。軸がずれている場合は平行軸の定理で移してから足し引きします。
技術士一次ではこの形で出た
令和5年度の建設部門Ⅲ-6が、まさにこのI形断面の設問でした。x軸に対して上下対称なI形断面のx軸まわりの断面二次モーメントを選ぶ問題で、正答は[bh³−(b−t)w³]/12でした。
選択肢にはbh³/12やtw³/12だけのものも並んでいたので、引き算の形かどうかで大半は外せます。
この設問は令和2年度のⅢ-6にも出ています。図も選択肢の中身も同じで、並び順だけが入れ替えてあります。
令和2年度の正答は④、令和5年度の正答は⑤で、番号で覚えていると外します。
令和4年度は倍率で問われた
令和4年度の建設部門Ⅲ-6は、長方形断面の各種断面諸量について不適切なものを選ぶ設問でした。正答は「高さdを2倍にすると断面係数は8倍になる」という記述で、正しくは4倍になります。
平成30年度は同じ問題で誤りの位置だけ変えてある
平成30年度のⅢ-5も、同じ図の設問でした。選択肢①②③は令和4年度と一字も変わりません。
問い方だけが「最も不適切なもの」から「不適切なもの」に変わっています。
変えてあるのは④と⑤で、平成30年度は④が「断面係数は4倍」という正しい記述になっています。代わりに⑤が「幅bを2倍にすると断面二次半径は2倍になる」という誤った記述に差し替えられ、正答は⑤でした。
丸ごと同じに見えて、誤りの位置だけが動かされています。「あの問題の答えは⑤」で覚えていると確実に外します。
幅bを変えても断面二次半径は変わりません。i=h/√12にbが入っていないためです。
理解度チェック
同じ断面積なら、正方形と細長い長方形ではどちらが曲げに強いか。
高さ方向に長い長方形です。Iがh³で効くため、縦に伸ばしたほうが大きくなります。
高さを2倍にすると断面係数が4倍にとどまるのはなぜか。
Z=I/(h/2)で、Iが8倍になる一方で分母のh/2も2倍になるためです。8÷2で4倍になります。
中空断面で引き算が使えない場合はどんなときか。
引く部分の図心軸が全体の図心軸とずれているときです。その場合は平行軸の定理でAd²の項を足してから引きます。
まとめ
I=bh³/12を起点に、引き算と倍率で大半の設問は片付きます。
IとZで倍率が違う点だけ取り違えなければ、計算せずに選択肢を絞れます。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」5ページ Ⅲ-6
公益社団法人 日本技術士会「令和4年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」4ページ Ⅲ-6
公益社団法人 日本技術士会「令和2年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」4ページ Ⅲ-6
公益社団法人 日本技術士会「平成30年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」3ページ Ⅲ-5
公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 試験問題の正答」平成30年度・令和2年度・令和4年度・令和5年度
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月