コンクリートの劣化機構|寒冷地域は凍害、ASRはアルカリ性で膨張
この記事の要点
寒冷地域に対応する劣化機構は凍害です。すりへりが書いてあれば誤りです。
Ⅲ-12は令和4年度から令和7年度まで4年連続で劣化が出ており、出てくる5つは毎年ほぼ同じです。
劣化機構は、コンクリート構造物が損なわれていく仕組みの分類です。
作用や環境と機構を結ぶ形、機構と外観の特徴を結ぶ形、機構の定義を並べる形の3通りで出ます。
5つの劣化機構を先に覚える
| 劣化機構 | 中身 | 外観の特徴 |
|---|---|---|
| アルカリシリカ反応 | 骨材中の反応性シリカ鉱物がアルカリ性水溶液と反応し、異常膨張する | 膨張ひび割れ(拘束方向・亀甲状)、ゲル、変色 |
| 塩害 | 塩化物イオンで鋼材の腐食が促進される | 鋼材軸方向のひび割れ、さび汁、断面欠損 |
| 中性化 | 二酸化炭素でアルカリ性が失われ、水の浸透を伴って鋼材が腐食する | かぶりの浮きや剥離 |
| 凍害 | 水分の凍結と融解の繰返しで劣化する | スケーリング、微細ひび割れ、ポップアウト |
| 化学的侵食 | 酸性物質や硫酸イオンで硬化体が分解し、化合物生成時の膨張圧で劣化する | 変色、コンクリート剥離 |
| 床版の疲労 | 輪荷重の繰返しでひび割れや陥没が生じる | 格子状ひび割れ、角落ち、エフロレッセンス |
格子状ひび割れと角落ちは床版の疲労の特徴です。これを凍害に付け替えるのがよくある壊し方です。
アルカリシリカ反応は2か所を狙われる
反応する相手はアルカリ性水溶液で、酸性水溶液ではありません。起きるのは異常膨張で、異常な収縮ではありません。
名前にアルカリが入っているので、酸性と書いてあれば読んだ瞬間に切れます。
中性化と化学的侵食は説明ごとすり替わる
中性化と水分浸透による鋼材腐食は、二酸化炭素でアルカリ性が失われ、鋼材が腐食に至る流れです。酸性物質や硫酸イオンとの接触で硬化体が分解する流れは、化学的侵食のほうです。
用語を入れ替えず、説明のほうを丸ごと入れ替えてくる形が出ます。
作用や環境から機構を引く
| 作用・環境 | 推定される劣化機構 |
|---|---|
| 凍結防止剤の使用 | 塩害、アルカリシリカ反応 |
| 繰返し荷重 | 疲労、すりへり |
| 海岸地域 | 塩害、化学的侵食(硫酸塩劣化) |
| 二酸化炭素 | 中性化と水の浸透に伴う鋼材腐食 |
| 寒冷地域 | 凍害 |
凍結防止剤は塩化物を含むので塩害につながり、アルカリ分の供給でアルカリシリカ反応にも効きます。
技術士一次ではこの形で出た
令和4年度から令和7年度までの建設部門Ⅲ-12を並べると、問い方は毎年入れ替わるのに、崩す先はいつも同じ5つの中にあります。
| 年度 | 問い方 | 正答 | どこを壊してあったか |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 作用や環境と劣化機構の組合せ | ⑤ | 寒冷地域にすりへりを置いた |
| 令和6年度 | 劣化現象の説明を並べる | ④ | 中性化と水分浸透による鋼材腐食の選択肢に、化学的侵食の説明を入れた |
| 令和5年度 | 劣化機構と外観上の特徴の組合せ | ② | 凍害の選択肢に、床版の疲労の格子状ひび割れと角落ちを置いた |
| 令和4年度 | 劣化機構の説明を並べる | ③ | アルカリシリカ反応を酸性水溶液との反応・異常な収縮と書き換えた |
4年とも出てくるのはアルカリシリカ反応・塩害・凍害・化学的侵食・床版の疲労で、変わるのは問い方とどれを壊すかだけです。
理解度チェック
寒冷地域に対応する劣化機構は何か。
凍害です。コンクリート中の水分が凍結と融解を繰り返して劣化します。
格子状ひび割れと角落ちはどの機構の特徴か。
床版の疲労です。輪荷重の繰返しによるもので、凍害の特徴ではありません。
アルカリシリカ反応で狙われる2語はどこか。
反応する相手と体積変化の向きです。アルカリ性水溶液と反応して異常膨張します。
まとめ
出てくる5つは毎年ほぼ同じです。覚えるのは機構と外観の対応で、選択肢の番号ではありません。
Ⅲ-12は4年続けて劣化なので、建設部門でもっとも読みやすい設問です。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和7年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」7ページ Ⅲ-12
公益社団法人 日本技術士会「令和6年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」6ページ Ⅲ-12
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」8ページ Ⅲ-12
公益社団法人 日本技術士会「令和4年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」7ページ Ⅲ-12
公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 試験問題の正答」(令和4年度〜令和7年度)
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月