鉄筋の継手はどこに設けるか|プレテンションとポストテンションの取り違え
この記事の要点
鉄筋の継手は、大きな引張応力を生じる断面を避け、同一断面に集中させません。
Ⅲ-11は2つの年度で誤りの中身が違うのに、正答はどちらも③でした。
鉄筋の継手は、鉄筋どうしをつなぐ部分です。
つないだ場所は応力の伝達が母材のようにはいかず、コンクリートのゆきわたりも悪くなりやすいです。
継手は2つの意味で分散させる
| 避けるもの | 理由 |
|---|---|
| 大きな引張応力を生じる断面 | 継手が弱点になる場所と応力の最大が重なる |
| 同一断面への集中 | 継手の種類によってコンクリートのゆきわたりが悪くなる |
はりのスパン中央付近は曲げによる引張が最大になる場所で、継手を置く場所ではありません。
同一断面に設けるのが原則、という向きも誤りです。
鉄筋に求める4つ
鉄筋とコンクリートの間で付着が確保され、鉄筋がコンクリートで防護されていることが前提です。鉄筋の強度を出すため、端部がコンクリートから抜け出さないよう確実に定着させます。
かぶり部分のコンクリートは耐久性を確保するうえできわめて重要で、確実に充填します。鉄筋の配置は、力学的な相互作用の効果を確保しつつ、打込みや締固めを考慮して定めます。
プレテンションとポストテンションは順番で分ける
| 方式 | 順番 | 力の伝え方 |
|---|---|---|
| プレテンション | 緊張材を引っ張っておいてからコンクリートを打つ | 硬化後に緊張を解き、付着でプレストレスを伝える |
| ポストテンション | コンクリートが硬化してから緊張材を引っ張る | 端部を定着させてプレストレスを与える |
先に引くのがプレ、後から引くのがポストです。この2つを入れ替えた記述が、そのまま誤りの選択肢として並びます。
PCで押さえる2点
プレストレストコンクリートは、ひび割れ性能の改善に有利で、部材断面の縮小にも有利です。プレストレス力の算出では、コンクリートの弾性変形の影響を考慮する必要があります。
維持管理では、鉄筋コンクリートに対して行う内容に加えて、PC鋼材の腐食に留意します。
技術士一次ではこの形で出た
令和7年度 建設部門Ⅲ-11が、鉄筋コンクリート構造から不適切なものを選ぶ設問で、正答は③でした。誤りは、継手は同一断面に設けるのが原則だとした記述です。
令和5年度 建設部門Ⅲ-11も同じ題材で、正答は同じ③です。ただし誤りの中身は違い、継手を大きな引張応力を生じる断面に設ける必要があるとした記述でした。
残り4つの選択肢は2年とも一字同じで、並び順だけが入れ替えられています。並べ替えたのに誤りの肢がどちらも③に来ているので、番号が同じでも中身が違う組が実在する形です。
令和6年度 建設部門Ⅲ-11はプレストレストコンクリートから最も適切なものを選ぶ形で、正答は④の維持管理の記述でした。
理解度チェック
継手をはりのスパン中央付近に置いてはいけないのはなぜか。
曲げによる引張応力が最大になる断面のためです。弱点になりやすい継手と応力の最大が重なります。
プレテンション方式はどの順番か。
緊張材に引張力を与えてからコンクリートを打ち、硬化後に緊張を解いて付着でプレストレスを伝えます。
PCの維持管理でRCに加えて見るものは何か。
PC鋼材の腐食です。高強度の鋼材が高い応力を受けたまま置かれているため、腐食の影響が大きいです。
まとめ
継手は引張が大きい断面を避け、同一断面にも集中させません。両方向の記述が誤りとして出ます。
正答番号が2年とも③でそろった組もあるので、番号ではなく誤り文の中身で覚えます。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和7年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」7ページ Ⅲ-11
公益社団法人 日本技術士会「令和6年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」6ページ Ⅲ-11
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」7ページ Ⅲ-11
公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 試験問題の正答」(令和5年度・令和6年度・令和7年度)
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月