フレッシュコンクリート|単位水量を増やすと材料分離しやすくなる
この記事の要点
単位水量が多いほど材料分離は起きやすいです。生じにくくなる、と書いてあれば誤りです。
用語はワーカビリティーとフィニッシャビリティー、試験はスランプとスランプフローの取り違えが狙われます。
フレッシュコンクリートは、練り上がってからまだ固まっていない状態のコンクリートです。
この段階の性質が、打込みや締固めの出来と、固まったあとの品質を決めます。
水を増やすと分離する
水が多いほど軟らかくなって作業は楽になりますが、そのかわり骨材とセメントペーストが分かれやすくなり、均質さが落ちます。
材料分離を抑えるのは水ではなく粉体で、一定以上の単位セメント量あるいは単位粉体量が要ります。
細骨材率を過度に小さくした場合も、粗々しくなって材料分離の傾向が高まり、ワーカビリティーが低下します。
用語は3つを分けて持つ
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| コンシステンシー | 変形や流動に対する抵抗の程度 |
| ワーカビリティー | 運搬・打込み・締固め・仕上げに適する扱いやすさ |
| フィニッシャビリティー | 仕上げのしやすさ |
材料分離を生ずることなく運搬・打込み・締固め・仕上げの作業が容易にできる性質は、ワーカビリティーです。この説明にフィニッシャビリティーという名札を付けた記述が、そのまま誤りの選択肢です。
ブリーディングは上を弱くする
ブリーディングは、練混ぜ水の一部が浮き上がる現象です。上部は水が集まって密実さを失うので、強度・水密性・耐久性は下がります。
表面から水が蒸発して水分が失われ、まだ固まらないうちに収縮が生じる現象がプラスチック収縮です。
試験の名前をずらしてくる
高さ30cmのスランプコーンに詰めてコーンを引き上げ、自重で沈下した量を測る試験がスランプ試験です。この説明にスランプフロー試験という名札を付ける形でよく引っかけてきます。
標準的な空気量は、練上がり時にコンクリート体積の4〜7%程度とするのが一般的です。
硬化後の性質もⅢ-11で問われる
圧縮強度は、温度20℃の水中養生を行った材齢28日の値を基準にします。引張強度は圧縮強度よりはるかに小さく、その比が圧縮強度によらず一定だとした記述は誤りです。
自己収縮はセメントの水和反応で水が消費されて縮む現象、クリープは持続荷重のもとで弾性ひずみに加えて時間とともにひずみが増大する現象です。
技術士一次ではこの形で出た
令和6年度 建設部門Ⅲ-10が、コンクリートから不適切なものを選ぶ設問で、正答は②でした。誤りは、単位水量が多いコンクリートを使うと材料分離が生じにくくなるとした記述です。
令和5年度 建設部門Ⅲ-10は、フレッシュコンクリートから最も適切なものを選ぶ形で、正答は④のプラスチック収縮の記述です。誤りの側にフィニッシャビリティーの取り違えとスランプフロー試験の取り違えが並んでいました。
令和4年度 建設部門Ⅲ-11の正答は②で、引張強度と圧縮強度の比が一定だとした記述です。
理解度チェック
材料分離抵抗性を確保するには何を増やすか。
単位セメント量あるいは単位粉体量です。水を増やしても分離抵抗性は上がりません。
ブリーディングが多いとコンクリート上部はどうなるか。
水が集まって密実さを失い、強度・水密性・耐久性が下がります。
スランプフロー試験と混同されるのはどの試験か。
スランプ試験です。コーンを引き上げて沈下量を測る形はスランプ試験です。
まとめ
水は作業性を上げますが、分離も招きます。分離を止めるのは粉体です。
用語と試験名の入れ替えが誤りの作り方なので、名札と中身を対で覚えます。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和6年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」5ページ Ⅲ-10
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」7ページ Ⅲ-10
公益社団法人 日本技術士会「令和4年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」7ページ Ⅲ-11
公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 試験問題の正答」(令和4年度・令和5年度・令和6年度)
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月