材料の機械的特性|弾性と塑性、引張強さと疲労限度
この記事の要点
荷重を取り除くと元の形に戻るのが弾性です。戻らずに変形が残るのが塑性です。
荷重の最大値のときの公称応力が引張強さで、疲労限度ではありません。
引張試験は、材料の機械的特性を調べるために荷重を増やしながら伸びを測る試験です。
結果は荷重と伸びの線図で示され、荷重を増やすほど伸びも増えていきます。
弾性と塑性は復元するかどうか
| 性質 | 荷重を取り除いたとき |
|---|---|
| 弾性 | 完全に復元する |
| 塑性 | き裂も分離も生じないが復元しない |
延性は伸びる能力を指す言葉で、復元するかどうかの話ではありません。選択肢では塑性の位置に延性が入っている形が並びます。
引張強さは荷重の最大値で決まる
荷重をさらに増やすと最大値をとり、材料はやがて破断します。この最大値のときの公称応力が引張強さです。
疲労限度は繰返し荷重で決まる別の値で、引張試験の線図からは出てきません。
疲労限度線図は平均応力で動く
規則的な繰返し応力では、振幅だけでなく平均応力も寿命に効きます。平均応力を引張方向に変更すると、少ない繰返し回数で疲労破壊する傾向があります。
引張側に寄るほどき裂が開きやすくなるためです。
クリープは温度で顕著になる
材料に長時間一定の荷重を加えると、ひずみが時間とともに増加します。これがクリープで、材料の温度が高い状態ほど顕著です。
荷重を増やしていないのにひずみが増える点が、通常の変形との違いです。
縦弾性係数と応力集中
| 条件 | 結果 |
|---|---|
| 縦弾性係数が小さい | 少しの荷重でも変形しやすい |
| 部材の形状が急に変化する | 局所的に相当応力が大きくなる |
縦弾性係数はひずみに対する応力の比なので、小さいほど同じ応力で大きく変形します。形状が急変する部分で相当応力が上がるのは応力集中で、溶接止端にき裂が出るのも同じ理屈です。
技術士一次ではこの形で出た
令和5年度 基礎科目Ⅰ-1-3が、引張試験の語句を埋める設問で、正答は③です。伸び・弾性・塑性・引張強さの並びで、塑性の位置に延性を入れた選択肢と、引張強さの位置に疲労限度を入れた選択肢が誤りです。
令和4年度 基礎科目Ⅰ-1-1は、金属材料の一般的性質を4か所埋める設問で、正答は①です。引張・材料の温度が高い状態・小さい・大きく、の並びです。
2年とも、対になる語をどちらに入れるかだけを問う形でした。
理解度チェック
塑性と延性はどう違うか。
塑性は荷重を取り除いても復元しない性質、延性は伸びる能力です。復元するかどうかを問われていれば塑性です。
平均応力を引張方向に動かすと疲労寿命はどうなるか。
短くなります。少ない繰返し回数で疲労破壊する傾向があります。
クリープが顕著になるのはどういう状態か。
材料の温度が高い状態です。一定荷重のままひずみが時間とともに増加します。
まとめ
復元するかで弾性と塑性、荷重の最大値で引張強さです。ここが決まれば選択肢は2つに絞れます。
疲労とクリープは、荷重を増やしていないのに壊れる側の現象としてまとめて持ちます。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験問題〔基礎科目〕」3ページ Ⅰ-1-3
公益社団法人 日本技術士会「令和4年度 技術士第一次試験問題〔基礎科目〕」1ページ Ⅰ-1-1
公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 試験問題の正答」(令和4年度・令和5年度)
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月