せん断力図と曲げモーメント図|次数は1つずつ上がる
断面力図の形は、暗記しなくても次数の関係だけで決まります。
この関係を1本持っておけば、どんな荷重でも図の形を言い当てられます。
微分の関係になっている
曲げモーメントを位置で微分するとせん断力、せん断力を微分すると荷重です。逆に見れば、荷重を積分するとせん断力、もう一度積分すると曲げモーメントです。
積分するたびに次数が1つ上がるので、下の表です。
| 荷重 | せん断力図 | 曲げモーメント図 |
|---|---|---|
| 無し(0次) | 一定 | 直線(1次) |
| 等分布(0次) | 直線(1次) | 2次曲線 |
| 三角形分布(1次) | 2次曲線 | 3次曲線 |
三角形分布荷重で「せん断力図も曲げモーメント図も3次曲線」とするのは誤りです。せん断力は2次、曲げモーメントが3次で、1つずれます。
集中して働くものは図を飛ばす
集中荷重の作用点では、せん断力図が荷重の分だけ階段状に飛びます。曲げモーメント図のほうは連続したまま、そこで折れ曲がります。
集中モーメント荷重の作用点では逆です。
せん断力図は変化せず、曲げモーメント図が階段状に飛びます。
| 作用するもの | せん断力図 | 曲げモーメント図 |
|---|---|---|
| 集中荷重 | 階段状に飛ぶ | 折れ曲がる |
| 集中モーメント荷重 | 変化しない | 階段状に飛ぶ |
技術士一次ではこの形で出た
令和3年度の建設部門Ⅲ-5が、この性質から不適切なものを選ぶ設問でした。正答は「三角形分布荷重の区間では、せん断力図・曲げモーメント図の両方とも3次曲線となる」という記述です。
正しくはせん断力図が2次曲線で、曲げモーメント図が3次曲線です。他の選択肢には、曲げモーメント図の勾配がせん断力に等しいことや、集中荷重・集中モーメントの振る舞いが並んでいました。
令和4年度は図そのものを選ばせた
令和4年度の建設部門Ⅲ-5は、荷重の載り方と曲げモーメント図の組合せから誤りを選ぶ設問でした。次数の関係と、集中して働くものの振る舞いが分かっていれば、図を見るだけで判断できます。
理解度チェック
荷重が載っていない区間の曲げモーメント図はどうなるか。
直線です。せん断力が一定なので、その勾配を持つ直線として現れます。
曲げモーメントが最大になるのはどこか。
せん断力が0になる位置です。勾配が0になる点が極値になるためです。
集中モーメント荷重の点でせん断力が変化しないのはなぜか。
鉛直方向の力が加わっていないためです。回転を与えるだけなので、せん断力のつり合いには入ってきません。
まとめ
荷重→せん断力→曲げモーメントで次数が1つずつ上がります。
集中荷重はせん断力図を、集中モーメントは曲げモーメント図を飛ばします。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和3年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」3ページ Ⅲ-5
公益社団法人 日本技術士会「令和4年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」4ページ Ⅲ-5
公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 試験問題の正答」令和3年度・令和4年度
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月