ベルヌーイの定理で管の途中の圧力を出す|答えは負圧になる
ベルヌーイの定理は、流線に沿って3つの水頭の和が一定になるという式です。
3つとも長さの単位を持つので、高さで比べられます。
3つの水頭
| 名前 | 式 | 意味 |
|---|---|---|
| 速度水頭 | v²/(2g) | 流れの速さ |
| 位置水頭 | z | 基準面からの高さ |
| 圧力水頭 | p/(ρg) | その点の圧力 |
この和が流線上のどこでも同じ値です。したがって、条件の分かっている点と知りたい点を1本の流線で結べば解けます。
条件が分かる点から始める
十分広い水槽の水面では、流速がほぼ0で圧力も大気圧です。だから水面Aでの和は、位置水頭zAだけです。
管の出口Cも大気に開いているので圧力水頭が0で、vC²/(2g)+zC=zA が立ちます。
ここから vC²/(2g)=zA−zC が出ます。
断面が一定なら速度も一定
管の断面積が変わらなければ、流量が同じなので流速も同じです。つまり管の途中の点Bでも vB=vC が成り立ちます。
点Bで式を立てると (zA−zC)+zB+pB/(ρg)=zA です。
整理すると pB=ρg(zC−zB) が出ます。
zCはzBより低いので負圧になる
点Cは管の出口で、点Bはその上にあります。したがってzC−zBは負になり、点Bの圧力は大気圧より低いです。
水が下へ落ちていく途中は吸われる側です。感覚では「深いほど圧力が高い」と思いますが、流れているとその静水圧の考え方は使えません。
技術士一次ではこの形で出た
令和7年度の建設部門Ⅲ-17が、この点Bの圧力を選ぶ設問でした。水面の変化が無視できる広い水槽に、鉛直な細い管路が取り付けられている設定になっています。
正答はρ・g・(zC−zB)でした。選択肢にはρ・g・(zA−zB)も並んでいて、これは水面からの深さで静水圧を出した形です。
この設問は3回出ている
同じ図で点Bの圧力を選ぶ設問が、平成30年度・令和2年度・令和7年度の3回出ていました。問題文と選択肢は年度ごとに動きます。
平成30年度には「点Bと点Cの流速は等しくなる」の一文が無く、令和7年度は選択肢の4番目と5番目に係数2が付いています。
| 年度 | 設問番号 | 正答 |
|---|---|---|
| 平成30年度 | Ⅲ-19 | ⑤ |
| 令和2年度 | Ⅲ-17 | ② |
| 令和7年度 | Ⅲ-17 | ③ |
正答の式はρ・g・(zC−zB)で3回とも同じです。
それでも番号は⑤・②・③と毎回変わり、設問番号もⅢ-19からⅢ-17へ動いています。
令和5年度と令和3年度も同じ前置きで出ている
令和5年度の建設部門Ⅲ-17も、同じベルヌーイの定理の前置きから始まる設問でした。こちらは水槽の壁の小穴から放流するオリフィスで、流出する水の流速を選ぶ形になっています。
水面Aと小穴Cで式を立てると v=√(2g(zA−zC)) が出て、これが正答でした。令和3年度のⅢ-17も同じ前置きで、狭窄部のある水平な管路の圧力を問う形でした。
水平なので位置水頭が消え、pB=pA+ρ(vA²−vB²)/2 です。vB=3vAを入れると pA−4ρvA² が出て、これが正答でした。
この3年度とも前置きの式と説明文はほぼ同じで、図と問われる量が差し替えてあります。式の分母の書き方は年度で揺れていて、令和元年度と令和5年度はρg、令和2年度と令和7年度と平成30年度はρ・gです。
この前置きの式が付く設問は、令和元年度・令和2年度・令和3年度・令和5年度・令和7年度の5回に出ています。令和4年度と令和6年度は静水圧の問題でした。
基礎科目にも同じ道具で出ている
令和2年度の基礎科目Ⅰ-3-6も、ベルヌーイの定理を使う設問でした。円管の縮小部で流速を求める形で、連続の式と組み合わせて解きます。
建設部門を受ける人は、基礎科目でも同じ道具を使えます。
同じオリフィスでも答えが違う
令和元年度のⅢ-17も、令和5年度と同じ小穴からの流出速度を求める設定でした。ところが正答は √(2g・zA) で、令和5年度の √(2g・(zA−zC)) とは形が違います。
令和元年度のzAは小穴から水面までの高さ、令和5年度のzAは基準面から水面までの高さになっています。寸法線がどこからどこまでかで式が変わります。
ベルヌーイの式は同じでも、水頭の差をどの記号で書くかは図で確かめるしかありません。
令和7年度で計算問題は5問だけ
この設問は、35問のうち数少ない計算問題の1つです。令和7年度で計算だったのはⅢ-1・Ⅲ-2・Ⅲ-5・Ⅲ-6と、このⅢ-17の5問だけでした。
力学の道具で解けるので、水理が専門でなくても取りにいける位置です。
理解度チェック
なぜ静水圧の式ρg(zA−zB)では間違いになるか。
静水圧は水が止まっているときの式だからです。流れていると速度水頭のぶんが圧力水頭から差し引かれます。
管を太くして流速を下げると、点Bの圧力はどうなるか。
大気圧に近づきます。速度水頭が小さくなるぶん、圧力水頭に回ります。
点Bの圧力が負になると、実際には何が起こりうるか。
負圧が大きくなると水が気化してキャビテーションが生じます。管路の設計ではこの点を避ける必要があります。
まとめ
条件が分かる水面と出口から式を立て、断面一定を使って途中の点に持ち込みます。流れているときは静水圧で考えない、という一点だけ守れば選択肢は絞れます。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和7年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」10ページ Ⅲ-17
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」11ページ Ⅲ-17
公益社団法人 日本技術士会「令和3年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」9ページ Ⅲ-17
公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 試験問題の正答」令和3年度・令和5年度・令和7年度
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月