静水圧の全水圧と作用点|作用点はh/2ではなく2h/3
この記事の要点
垂直な壁に働く全水圧は単位幅あたり ρgh²/2 で、作用点は水面から 2h/3 の位置です。
全水圧は深さの2乗で効くので、上下で等分する点はh/2になりません。
静水圧は深さに比例して増えるので、壁に働く圧力は三角形の分布です。
全水圧はこの三角形の面積、作用点は三角形の図心です。
三角形の面積と図心で出る
水深hの底では圧力が ρgh、水面では0になります。単位幅あたりの全水圧は、底辺ρgh・高さhの三角形の面積で ρgh²/2 です。
| 求めるもの | 式 | 由来 |
|---|---|---|
| 底の圧力 | ρgh | 深さに比例 |
| 全水圧(単位幅) | ρgh²/2 | 三角形の面積 |
| 作用点(水面から) | 2h/3 | 三角形の図心 |
作用点をh/2としてはいけません。圧力が下ほど大きいので、合力の位置は下寄りの2h/3です。
技術士一次ではこの形で出た
令和6年度の建設部門Ⅲ-17が、この2つを組み合わせて選ぶ設問でした。垂直に立てた長方形の壁に水深hの静水圧が作用するとき、単位幅あたりの全水圧と作用点の水面からの距離を選ぶ形になっています。
正答は ρgh²/2 と 2h/3 でした。選択肢には全水圧ρgh²との組合せや、作用点h/2との組合せも並んでいました。
2乗で効くから半分では等分できない
令和4年度の建設部門Ⅲ-17は、同じ静水圧を使いながら少しひねった設問でした。垂直な矩形ゲートを上下2つの部材に分け、それぞれに働く全水圧が等しくなる上側の高さXを求める形になっています。
Xはh/2にならない
上側にかかる全水圧は、深さXまでの三角形なので ρgX²/2 です。全体は ρgh²/2 なので、下側は ρg(h²−X²)/2 です。
等しいと置くと X²=h²−X² となり、2X²=h² から X=h/√2 が出ます。
正答は √(1/2)h で、選択肢に並んでいたh/2ではありません。面積が深さの2乗で増えるので、上半分と下半分では下側のほうがはるかに大きいです。
理解度チェック
水深を2倍にすると、全水圧は何倍になるか。
ρgh²/2でhの2乗なので4倍になります。深さが効き方の中心にあります。
作用点が2h/3になるのはなぜか。
圧力分布が三角形で、その図心が底から h/3、つまり水面から 2h/3 の位置にあるためです。
圧力分布が長方形なら作用点はどこか。
中央のh/2です。深さによらず一定の圧力がかかる場合はこうなりますが、静水圧では起こりません。
まとめ
全水圧はρgh²/2、作用点は2h/3です。どちらも三角形の面積と図心から出ます。
2乗で効くことを押さえておけば、等分の位置がh/2でないこともすぐ分かります。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和6年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」9ページ Ⅲ-17
公益社団法人 日本技術士会「令和4年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」10ページ Ⅲ-17
公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 試験問題の正答」令和4年度・令和6年度
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月