鋼材の非破壊試験|浸透探傷は内部欠陥を見つけられない
この記事の要点
浸透探傷試験は表面に開口した欠陥だけを見ます。内部欠陥に浸透液を浸透させる、は誤りです。
内部を見にいくのは超音波探傷試験と放射線透過試験です。
非破壊試験は、部材を壊さずに欠陥の有無を調べる試験です。
方法が5つ並ぶ設問では、表面を見る組と内部を見る組の仕分けが分かれ目です。
表面側と内部側で分ける
| 試験 | 見える範囲 | 原理 |
|---|---|---|
| 浸透探傷試験 | 表面に開口した欠陥 | 浸透液が割れに入り、現像で拡大した指示模様になる |
| 磁粉探傷試験 | 表面と表面近傍 | 強磁性体を磁化し、欠陥部の磁極に磁粉が付く |
| 渦流探傷試験 | 表面と表面近傍 | 渦電流の変化を計測する |
| 超音波探傷試験 | 内部 | 試験体が示す音響的な性質を利用する |
| 放射線透過試験 | 内部 | 透過した放射線の強さの変化を見る |
浸透液は表面に開いた口から入ります。表面に出ていない内部欠陥には、そもそも入る経路がありません。
磁粉探傷は鋼にしか使えない
磁粉探傷は強磁性体を磁化して使うので、対象は鉄鋼材料などに限られます。浸透探傷にはその制約がなく、金属以外にも使えます。
渦流探傷は導体であることが条件です。
溶接部でどう使い分けるか
溶接止端から出る表面の割れは、磁粉探傷や浸透探傷で拾います。溶け込み不足や内部の気孔は、超音波探傷や放射線透過でないと見えません。
疲労き裂の起点が溶接止端・溶接ルート・溶接欠陥に分かれるので、狙う場所で試験も変わります。
技術士一次ではこの形で出た
令和5年度 建設部門Ⅲ-8が、鋼材の非破壊試験から不適切なものを選ぶ設問でした。正答は④で、浸透探傷試験を内部欠陥の試験として説明した記述です。
他の4つは、渦流・放射線透過・超音波・磁粉のいずれも原理どおりの正しい記述でした。Ⅲ-8は令和5年度が非破壊試験、令和6年度と令和7年度が腐食と、鋼材の材料の話で内容が動く設問です。
理解度チェック
浸透探傷試験で内部欠陥が見えないのはなぜか。
浸透液が表面の開口部から入るためです。表面に出ていない欠陥には浸透液が届きません。
磁粉探傷試験が使えない材料は何か。
強磁性体でない材料です。ステンレスの一部やアルミニウムなどは磁化できないため適用できません。
内部の溶け込み不足を調べるならどの試験か。
超音波探傷試験か放射線透過試験です。磁粉探傷や浸透探傷といった表面側の試験では、内部の欠陥を検出できません。
まとめ
浸透探傷と磁粉探傷は表面側、超音波探傷と放射線透過は内部側です。
この2組の仕分けを持っていれば、Ⅲ-8の記述は原理を照らすだけで切れます。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」6ページ Ⅲ-8
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月