道路橋の床版|L荷重とT荷重の取り違えで落とす
この記事の要点
床版の設計に使うのはT荷重です。L荷重を用いる、と書いてあれば誤りです。
この設問は令和4年度Ⅲ-7と令和6年度Ⅲ-9に、並び順だけ変えて出ています。
床版は、自動車の輪荷重を直接受けて主桁へ渡す部材です。
輪荷重を直接支えるので、耐久性は輪荷重の大きさと頻度、つまり大型車の走行台数に強く左右されます。
床版はT荷重、主桁はL荷重
| 荷重 | 使う相手 | 形 |
|---|---|---|
| T荷重 | 床版・床組 | 車輪を置き換えた集中荷重 |
| L荷重 | 主桁など支間の長い部材 | 載荷長を持つ分布した荷重 |
床版が見ているのは真上を通る車輪1組であって、橋全体に並ぶ車列ではありません。だから集中荷重のT荷重です。
逆に主桁は橋全体に車が並んだ状態が効くので、分布した形のL荷重で見ます。
鋼床版と合成床版
鋼床版は、縦リブと横リブでデッキプレートを補剛したものです。これ自体が床組の一部として働き、縦桁や横桁の床組構造または主桁で支持されます。
鋼コンクリート合成床版は、鋼板や形鋼などの鋼部材とコンクリートが一体となって荷重に抵抗する合成構造として設計されます。
桁作用と床版作用が同時に出る
床版のコンクリートと鋼桁の合成作用を考える場合、床版のコンクリートには桁作用としての応力と床版作用としての応力が同時に生じます。床版としての局部的な曲げと、桁の一部としての軸方向の応力が重なる形です。
技術士一次ではこの形で出た
令和4年度 建設部門Ⅲ-7が、道路橋の床版から不適切なものを選ぶ設問で、正答は①でした。令和6年度 建設部門Ⅲ-9も同じ設問で、正答は⑤です。
5つの選択肢は一字同じまま、並び順だけが入れ替えられています。
誤りの記述は2年とも「床版の設計にはL荷重を用いる。このL荷重は、車両の隣り合う車軸を1組の集中荷重に置き換えたものである」という同じ一文でした。
設問番号もⅢ-7からⅢ-9へ動いており、間隔は2年です。この試験で確認できた再出題のうち、間隔がもっとも短い組です。
理解度チェック
床版の設計に使う荷重はどちらか。
T荷重です。車輪を置き換えた集中荷重で、床版の真上を通る輪荷重に対応します。
床版の耐久性が大型車の台数に左右されるのはなぜか。
輪荷重を直接支えるためです。荷重の大きさと繰返しの頻度がそのまま疲労に効きます。
合成桁の床版コンクリートに2種類の応力が出るのはなぜか。
床版として局部的な曲げを受けながら、同時に桁の断面の一部としても働くためです。
まとめ
床版はT荷重、主桁はL荷重です。この対応を逆にした一文が、2年あけて2回出ています。
正答番号は①と⑤で違うので、番号を覚えていると外す形です。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和6年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」5ページ Ⅲ-9
公益社団法人 日本技術士会「令和4年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」5ページ Ⅲ-7
公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 試験問題の正答」(令和4年度・令和6年度)
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月