令和3年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-11 を解説、低熱ポルトランドセメントに早強の用途が書いてある
令和3年度 建設部門Ⅲ-11は、コンクリートの材料としてのセメントを5つの記述で問う設問です。
この問題のポイント
低熱ポルトランドセメントは水和熱が小さいセメントで、初期強度は出にくいほうです。
だから寒中コンクリートや工期の短い工事、初期強度を要する工事には向きません。選択肢2に書かれている用途は、そのまま早強ポルトランドセメントのものです。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢2(不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:コンクリートの材料|ポルトランドセメント6種類に高熱は無い
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 早強の注意点 | ○(正しい) | 高温環境で用いると凝結が早く、こわばりやコールドジョイントが生じやすい |
| 2 低熱の用途 | ×(誤り) | 寒中・工期短縮・初期強度は早強の用途。低熱は水和熱を抑える |
| 3 6種類 | ○(正しい) | 普通・早強・超早強・中庸熱・低熱・耐硫酸塩 |
| 4 選定の考え方 | ○(正しい) | 構造物の種類・断面寸法・気象条件・工期・施工方法等で選ぶ |
| 5 JIS外のセメント | ○(正しい) | 既往の工事実績を調査し、事前に十分な試験を行って品質を確認する |
低熱が使われるのは、マスコンクリートの温度ひび割れを抑えたい場面です。選択肢1が早強の注意点を正しく書いているので、2つを並べると用途が重なります。
選択肢2のポイント(ここが誤り)
水和熱と初期強度は裏表
熱が出るということは強度が早く出るということ
セメントの強度はセメントと水の反応で出るので、反応が速いほど熱も多く出ます。早強は反応が速いぶん初期強度が早く、そのかわり水和熱も大きくなります。
低熱は逆に反応をゆっくりにしてあるので、熱は小さく初期強度も出にくいです。この裏表を1組で持っておけば、用途の入れ替えは見抜けます。
マスコンクリートで低熱を使う理由
断面が大きいコンクリートでは、内部の熱が逃げずに温度が上がります。冷えるときに縮もうとして、拘束されている部分に温度ひび割れが入ります。
低熱や中庸熱で発熱そのものを抑えると、この温度差を小さくできます。
覚え方
- 低熱は「熱を出さない=強度も急がない」と覚えます。寒中で早く固めたいときは早強です。
理解度チェック
低熱ポルトランドセメントはどんな場面に使うか。
マスコンクリートの温度ひび割れ対策です。水和熱が小さいセメントです。
寒中コンクリートや工期の短い工事に使うのはどれか。
早強ポルトランドセメントです。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和3年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」6ページ Ⅲ-11
公益社団法人 日本技術士会「令和3年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月