令和3年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-12 を解説、中性化はpHが低下する
令和3年度 建設部門Ⅲ-12は、コンクリート構造物の劣化現象を5つの記述で問う設問です。
この問題のポイント
中性化は二酸化炭素の炭酸化反応で、細孔溶液のpHが低下する現象です。
選択肢4は「pHを上昇させる」と書いているので、そこで切れます。名前に中性が入っているので、アルカリ性が失われる向きだと分かります。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢4(不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:コンクリートの劣化機構|寒冷地域は凍害、ASRはアルカリ性で膨張
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 アルカリシリカ反応 | ○(正しい) | 反応性シリカ鉱物がアルカリ性水溶液と反応し、異常膨張やひび割れが生じる |
| 2 凍害 | ○(正しい) | 水分の凍結と融解の繰返しでスケーリング・微細ひび割れ・ポップアウトが生じる |
| 3 すりへり | ○(正しい) | 流水や車輪等の摩耗作用で断面が時間とともに失われていく |
| 4 中性化 | ×(誤り) | pHは低下する。上昇させると書いてあるので逆 |
| 5 床版の疲労 | ○(正しい) | 道路橋の鉄筋コンクリート床版が輪荷重の繰返しでひび割れや陥没を生じる |
pHが下がると鋼材の表面の不動態皮膜が失われ、腐食が進みます。残る4つはアルカリシリカ反応・凍害・すりへり・床版の疲労の定義どおりです。
選択肢4のポイント(ここが誤り)
pHが動く向きで整理する
不動態皮膜が守っている
コンクリートの細孔溶液はpH12から13程度の強いアルカリ性です。この環境では鋼材の表面に不動態皮膜ができ、腐食が止まっています。
中性化でpHが11程度より下がると皮膜が失われ、水と酸素があれば腐食が始まります。だから中性化そのものより、鋼材位置まで進んだかどうかが問題になります。
すりへりだけ原因が力でも化学でもない
すりへりは流水や車輪の摩耗で表面が削られていく物理的な劣化です。疲労のように内部で繰返し応力が働くわけでも、中性化のように反応が進むわけでもありません。
寒冷地域と結ばれるのは凍害で、すりへりを選ぶと誤りになります。
覚え方
- 中性化は「pHが下がってアルカリ性が失われる」と覚えます。名前と向きが一致しているので、上昇と書いてあればその場で切れます。
理解度チェック
中性化でpHはどう動くか。
低下します。アルカリ性が失われて中性に近づきます。
pHが下がると鋼材はどうなるか。
不動態皮膜が失われ、水と酸素があれば腐食が始まります。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和3年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」6ページ Ⅲ-12
公益社団法人 日本技術士会「令和3年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月