令和3年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-4 を解説、「急速に流下」は土石流で地すべりでない
令和3年度 建設部門Ⅲ-4は、斜面安定を5つの記述で問う設問です。
この問題のポイント
選択肢1に書いてあるのは土石流の説明です。地すべりはすべり面に沿って比較的緩慢に動きます。
「水と混合し」「渓岸を削りながら」「急速に流下する」の3語がそろえば土石流です。地すべりは1日に数ミリから数センチという速さで動くことが多く、急速ではありません。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢1(不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:斜面の安全率|すべり面のせん断強さと起動力
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 地すべりの定義 | ×(誤り) | 書いてある中身は土石流。地すべりは緩慢に移動する |
| 2 地すべり対策工 | ○(正しい) | 発生機構と規模に応じて抑制工と抑止工を組み合わせて計画する |
| 3 分割法の安全率 | ○(正しい) | 土のせん断強さをすべり面に働くせん断力で除した値 |
| 4 円弧すべり法の安全率 | ○(正しい) | せん断強さによる抵抗モーメントを滑動モーメントで除した値 |
| 5 落石防止工 | ○(正しい) | 発生源で行う落石予防工と、斜面下方で対処する落石防護工に区分される |
残る4つは対策工の考え方と安全率の定義で、どれも正しい記述です。安全率は分割法なら力の比、円弧すべり法ならモーメントの比で定義されます。
選択肢1のポイント(ここが誤り)
地すべりと土石流の見分け
抑制工と抑止工の分け方
抑制工は、地下水を抜くなどして地すべりを起こしている原因のほうを弱める工法です。抑止工は、杭やアンカーで動こうとする力を直接受け止める工法です。
原因側と力側の両方から手を打つので、2つを組み合わせて計画します。規模が大きい地すべりでは、抑止工だけで受け止めるのが難しくなります。
2つの安全率の定義が違う理由
簡便分割法やスウェーデン法は、すべり面を細かく分けて力の釣合いで解きます。だから安全率はせん断強さをせん断力で割った、力の比です。
円弧すべり法は円の中心まわりで回転を考えるので、モーメントの比になります。どちらも「抵抗÷作用」の形で、割る向きは同じです。
覚え方
- 「急速に流下」は土石流だと覚えます。地すべりは動きが遅いぶん、観測して兆候をつかめる現象です。
理解度チェック
土砂が水と混合して急速に流下する現象は何か。
土石流です。地すべりではありません。
抑制工と抑止工はどう違うか。
抑制工は原因を弱める工法、抑止工は動く力を直接受け止める工法です。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和3年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」2ページ Ⅲ-4
公益社団法人 日本技術士会「令和3年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月