令和2年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-17 を解説、流速が等しいと位置水頭の差だけが圧力になる
令和2年度 建設部門Ⅲ-17は、十分広い水槽から鉛直に取り付けた断面積一定の細い管路で排水するとき、点Bの圧力をベルヌーイの定理で求める設問です。
この問題のポイント
流速が等しいので、速度水頭が両側で同じになって式から消えます。
管路の出口である点Cは大気に開いているので、圧力は0です。BとCでベルヌーイを立てるとzB+pB÷ρg=zCが残ります。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢2(最も適切なもの)
> この論点をやさしく解説:ベルヌーイの定理|位置水頭・圧力水頭・速度水頭
各選択肢の正誤
正しいのは1つで、残る4つはどこかが違います。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 ρg(zC−zA) | ×(誤り) | 水面の高さzAを使っている。BとCで立てるのでzAは入らない |
| 2 ρg(zC−zB) | ○(正しい) | 速度水頭が消え、位置水頭の差だけが残る |
| 3 ρg·zA | ×(誤り) | 差を取っていない |
| 4 ρg·zB | ×(誤り) | 点Bの高さだけを使い、差も取っていない |
| 5 ρg·zC | ×(誤り) | 点Cの高さだけを使い、差も取っていない |
これを解いてpB=ρg(zC−zB)です。zCはzBより低いので、点Bの圧力は負になります。
選択肢2のポイント(ここが誤り)
解く手順
点Bが負圧になる意味
zCはzBより低いので、zC−zBは負の値です。つまり点Bの圧力は大気圧より低く、管の中が吸われている状態です。
サイフォンで水が持ち上がるのと同じ理屈で、負圧が水を引き上げます。負圧が大きくなりすぎると水柱が切れるので、実務では限界が問題です。
水面のzAを使わない理由
ベルヌーイは流線上の2点で立てる式です。求めたいのが点Bの圧力なので、点Bともう1点で立てれば足ります。
点Cは圧力が分かっている(大気圧)ので、相手として選ぶと式が1本で済みます。水面を相手にすると流速の項が残るので、遠回りです。
★令和7年度Ⅲ-17も同じ型
令和7年度のⅢ-17も、設問文の「点Bと点Cの流速は等しくなる」が出発点でした。断面積が一定なら流速が等しいという前提を、設問が明示してくれる形です。
その一文を見つけたら、速度水頭が消えると読み替えます。
覚え方
- 流速が等しい2点で式を立てると速度水頭が消える
- 出口が大気に開いていればその点の圧力はゼロ
- 管の途中は負圧もあり(サイフォンと同じ理屈)
理解度チェック
速度水頭が消えるのはなぜか。
断面積が一定で点Bと点Cの流速が等しいためです。
点Bの圧力は正か負か。
負です。zCがzBより低いので、管の中は大気圧より低くなります。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和2年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」10ページ Ⅲ-17
公益社団法人 日本技術士会「令和2年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月