令和2年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-9 を解説、T荷重は集中荷重で等分布荷重ではない
令和2年度 建設部門Ⅲ-9は、道路橋示方書に規定される、道路橋の設計で考慮する作用を5つの記述で問う設問です。
この問題のポイント
T荷重は隣り合う車軸を1組の集中荷重に置き換えたもので、等分布荷重ではありません。
選択肢5は「等分布荷重(T荷重)」と書いているので、そこで切れます。等分布荷重で車列を表すのはL荷重の側で、主桁など支間の長い部材に使います。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢5(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:道路橋の床版|T荷重とL荷重を取り違えない
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 吊橋の衝撃 | ○(正しい) | 主ケーブル及び補剛桁を設計する際には衝撃の影響を考慮しない |
| 2 支点の移動と回転 | ○(正しい) | 不静定構造物で圧密沈下等による長期の支点移動は考慮する |
| 3 B活荷重 | ○(正しい) | 高速自動車国道・一般国道・都道府県道等の橋にはB活荷重を適用する |
| 4 温度昇降 | ○(正しい) | 基準温度から地域別の平均気温を考慮して定める |
| 5 床版の活荷重 | ×(誤り) | T荷重は集中荷重。等分布荷重と書いてあるのが誤り |
床版と床組はT荷重で設計するという部分自体は正しい記述です。残る4つは衝撃・支点移動・B活荷重・温度昇降の教科書どおりの記述です。
選択肢5のポイント(ここが誤り)
T荷重とL荷重の使い分け
床版にT荷重を使う理由
床版が受け持つのは、真上を通るタイヤの荷重です。支持する範囲が狭いので、車列全体を平均した荷重では実際の応力が出ません。
1組の車軸を集中荷重として置くほうが、床版の応力を安全側に評価できます。支間の長い主桁では逆に、車列を並べたL荷重のほうが厳しくなります。
★同じ論点が7年度に出ている
T荷重とL荷重の取り違えは、平成23年度Ⅳ-9・平成26年度Ⅲ-10・平成29年度Ⅲ-9・平成30年度Ⅲ-9・令和2年度Ⅲ-9・令和4年度Ⅲ-7・令和6年度Ⅲ-9の7年度で問われました。崩す語は年度で変わり、令和2年度を除く6年度はL荷重という名前のほうを使っています。
令和2年度は「等分布荷重」という形のほうで崩しています。名前と形の両方を対で持っておけば、どの崩し方でも切れます。
覚え方
- TはTire、LはLaneと読み替えます。タイヤ1組ぶんが集中荷重、車線に並ぶ車列が等分布と線荷重の組です。
理解度チェック
T荷重はどんな形の荷重か。
集中荷重です。隣り合う車軸を1組の集中荷重に置き換えたものです。
等分布荷重で車列を表すのはどちらか。
L荷重です。主桁など支間の長い部材に使います。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和2年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」6ページ Ⅲ-9
公益社団法人 日本技術士会「令和2年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月