令和2年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-7 を解説、上向き溶接は避ける
令和2年度 建設部門Ⅲ-7は、鋼構造物の溶接継手の設計上の留意点を5つの記述で問う設問です。
この問題のポイント
選択肢3は「できるだけ上向き溶接が可能な構造とする」と書いていますが、避けるべきなのが上向き溶接です。
上向きでは溶融金属が重力で垂れるので、溶込み不足やブローホールが出やすくなります。組立方法と溶接順序を考えるのは、下向き溶接ができる姿勢に持ち込むためです。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢3(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:鋼構造物の溶接継手|上向き溶接を避ける理由と開先溶接を使う場面
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 溶接量 | ○(正しい) | 溶接箇所はできるだけ少なくし、溶接量も必要最小限とする |
| 2 グルーブ溶接 | ○(正しい) | 衝撃や繰返し応力を受ける継手は全断面溶込みグルーブ溶接にする |
| 3 溶接姿勢 | ×(誤り) | 上向きは避ける。下向き溶接が可能な構造にする |
| 4 連結部の構造 | ○(正しい) | 単純にして応力伝達を明確にし、溶接の集中と交差を避けてスカラップを設ける |
| 5 偏心と板厚差 | ○(正しい) | 各材片に偏心がないようにし、板厚差の少ない組合せにする |
残る4つは溶接量・グルーブ溶接・スカラップ・偏心と板厚差の教科書どおりの記述です。溶接の姿勢は下向き・横向き・立向き・上向きの順に難しくなります。
選択肢3のポイント(ここが誤り)
溶接姿勢の難しさ
溶接量を減らすことが最初にくる理由
溶接するたびに熱が入り、残留応力とひずみが残ります。溶接部は疲労き裂の起点にもなるので、数と量を減らすほど有利です。
選択肢1がこの原則を書いていて、以降の記述はその上での工夫です。
スカラップを設ける理由
溶接線が交差すると、その点に熱と残留応力が集中します。そこで一方の材に切欠きを設けて交差を避けるのがスカラップです。
連結部を単純にするという原則と同じ向きの処置です。
覚え方
- 溶接は「下向きで、少なく、交差させない」と覚えます。上向きを推す記述に出会ったら、その場で切ります。
理解度チェック
どの溶接姿勢が可能な構造にするか。
下向き溶接です。上向きは溶融金属が垂れるので避けます。
衝撃や繰返し応力を受ける継手はどうするか。
全断面溶込みグルーブ溶接にします。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和2年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」5ページ Ⅲ-7
公益社団法人 日本技術士会「令和2年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月