令和5年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-7 を解説、道路橋の鋼部材の接合部
令和5年度 建設部門Ⅲ-7は、道路橋における鋼部材の接合部を5つの記述で問う設問です。
この問題のポイント
選択肢3は「用いてはならない」と書いていますが、実際は逆です。溶接線に直角な引張を受ける継手は、完全溶込み開先溶接にします。
部分溶込み溶接や隅肉溶接では、板厚の全部が力を伝えられません。残る4つは溶接継手とボルト接合の教科書どおりの記述です。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢3(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:鋼構造物の溶接継手|上向き溶接を避ける理由と開先溶接を使う場面
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 接合部の構造 | ○(正しい) | なるべく単純にして、材片の応力伝達が明確な構造にする |
| 2 溶接の残留応力 | ○(正しい) | 溶接で降伏点に近い引張の残留応力が残るので注意が必要 |
| 3 完全溶込み開先溶接 | ×(誤り) | 直角に引張を受ける継手にこそ使う。禁止ではない |
| 4 高力ボルト摩擦接合 | ○(正しい) | 母材と連結板を締め付け、その間の摩擦力で応力を伝える |
| 5 最小縁端距離 | ○(正しい) | ボルトが強度を発揮する前に縁端部が破断しないよう決める |
禁止の言い切りが1つだけ混ざっているので、そこを疑えば当たります。
選択肢3のポイント(ここが誤り)
完全溶込み開先溶接を使う場面
完全溶込み開先溶接は、開先を取って板厚の全断面を溶け込ませる継手です。母材と同じ断面が通るので、引張を直角に受ける主要部材の継手に使います。
隅肉溶接はのど厚しか効かず、部分溶込みでは残った未溶着部が切欠きとして働きます。だから直角引張の継手で隅肉や部分溶込みを選ぶと、疲労の起点を作ってしまいます。
高力ボルト摩擦接合の力の伝わり方
高力ボルトを締め付けると、母材と連結板の接触面に大きな圧縮力が生まれます。力を伝えるのはこの接触面の摩擦で、ボルトのせん断ではありません。
だから接触面の処理と締付け力の管理が、そのまま耐力の管理です。
覚え方
- 接合部は単純にして、力の通り道を1本にすると覚えます。直角引張には完全溶込み、すべりで伝えるなら高力ボルト摩擦接合です。
理解度チェック
溶接線に直角な引張を受ける継手はどう作るか。
完全溶込み開先溶接にします。板厚の全断面を溶け込ませて、母材と同じ断面を通します。
高力ボルト摩擦接合は何で力を伝えるか。
接触面の摩擦力です。ボルトのせん断ではありません。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」5ページ Ⅲ-7
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月