令和5年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-18 を解説、河川の流出解析と集中型・分布型
令和5年度 建設部門Ⅲ-18は、河川の流出解析を5つの記述で問う設問です。
この問題のポイント
選択肢5は分類とモデル名が食い違っています。タンクモデルと貯留関数モデルは、流域を1つの入れ物として扱う集中型です。
分布型は流域をメッシュや小流域に分け、場所ごとの違いを持たせたモデルです。選択肢4が集中型と分布型の2分類を正しく述べているので、選択肢5と並べて読むと矛盾が見えます。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢5(最も不適切なもの)
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 流出解析の目的 | ○(正しい) | 洪水や渇水の予測、流域環境や気候の変化に伴う水循環の変化の予測 |
| 2 有効降雨 | ○(正しい) | 全降雨のうち対象となる流出成分となる分。短期流出解析では直接流出成分として扱う |
| 3 損失降雨 | ○(正しい) | 流出成分とならない分。長期流出解析では蒸発散量が大部分を占める |
| 4 モデルの分類 | ○(正しい) | 空間的な構成方法から見て、集中型と分布型に分かれる |
| 5 分布型モデルの代表例 | ×(誤り) | タンクモデルと貯留関数モデルは集中型。分布型の例ではない |
残る3つは目的・有効降雨・損失降雨の定義どおりです。
選択肢5のポイント(ここが誤り)
集中型と分布型の違い
集中型と分布型の分け方
分けるのは空間の扱い方です。集中型は流域全体をひとまとめにして、入力の降雨に対する出口の流量を出します。
分布型は流域を細かく区切り、区画ごとに降雨と流出を計算してつなぐ形です。タンクモデルは直列に並べたタンクで流域全体の貯留を表すので、集中型に入ります。
有効降雨と損失降雨は表裏
全降雨を、流出成分になる分とならない分に分けたのが有効降雨と損失降雨です。短期流出解析では、有効降雨を直接流出成分として扱います。
長期流出解析では損失降雨の大部分が蒸発散量で、季節による違いが効いてきます。
覚え方
- タンクモデルと貯留関数モデルは集中型、と名前ごと覚えます。分布型はメッシュに分ける側だと押さえます。
理解度チェック
タンクモデルは集中型か分布型か。
集中型です。流域を1つの入れ物として貯留を表します。
分布型モデルは何を分けているか。
流域の空間です。メッシュや小流域に区切って、場所ごとに計算します。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」12ページ Ⅲ-18
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月