令和5年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-9 を解説、鋼橋の維持管理と遅れ破壊
令和5年度 建設部門Ⅲ-9は、鋼橋の維持管理を5つの記述で問う設問です。
この問題のポイント
選択肢2は「1000N/mm²以下」と書いていますが、実際は超える側です。F10TやF8Tはこの範囲に入りません。
遅れ破壊で問題になったのはF11T以上の高強度ボルトで、道路橋では使われなくなりました。数値の大小だけを入れ替える崩し方なので、線の位置を1つ覚えておけば切れます。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢2(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:鋼橋の維持管理|遅れ破壊はF10TやF8Tでは起きない
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 橋の端部 | ○(正しい) | 雨水や土砂の堆積、風通しの悪さで厳しい腐食環境になりやすい |
| 2 遅れ破壊 | ×(誤り) | 問題になったのは1000N/mm²を超えるF11T以上。F10TやF8Tではない |
| 3 疲労 | ○(正しい) | 変動する荷重の繰返しでき裂が発生し、進展して破壊に至る |
| 4 溶接補修 | ○(正しい) | 鋼材の溶接性と作業環境に配慮する。誤ると溶接割れが生じる |
| 5 耐候性鋼材 | ○(正しい) | リン・銅・クロム・ニッケルを添加し、緻密なさびで表面を保護する |
残る4つは腐食・疲労・溶接補修・耐候性鋼材の教科書どおりの記述です。
選択肢2のポイント(ここが誤り)
遅れ破壊が起きる仕組み
遅れ破壊は、高強度鋼に一定の引張負荷が続いたあと、時間が経ってからもろく壊れる現象です。原因は鋼中に入った水素で、応力が集中する部位に集まって粒界をもろくします。
強度が高いほど感受性が上がるので、F11T以上で問題になりました。現在の道路橋ではF10TとF8Tが使われています。
数値の線を1つ覚える
遅れ破壊の感受性が上がる線は、引張強度でおおむね1000N/mm²です。この線を超えるF11T以上で問題が起き、道路橋では使われなくなりました。
線より下のF10TとF8Tが現在の標準で、設問はこの2つを問題側に置き換えています。
覚え方
- 遅れ破壊は「強すぎるボルト」の話だと覚えます。F11T以上が消えてF10TとF8Tが残った、という順で並べておきます。
理解度チェック
遅れ破壊はどの等級のボルトで問題になったか。
F11T以上です。引張強度がおおむね1000N/mm²を超える高強度側です。
いま道路橋で使われる摩擦接合用高力ボルトはどれか。
F10TとF8Tです。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」6ページ Ⅲ-9
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月