令和5年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-2 を解説、鉛直有効応力が等しい地盤
令和5年度 建設部門Ⅲ-2は、水面の位置が違う4つの水平成層地盤で、深さ10mの点Aの鉛直有効応力を比べる設問です。
この問題のポイント
有効応力は、全応力から間隙水圧を引いた値です。
地表面より上に水を積んでも有効応力は変わりません。全応力と間隙水圧が同じだけ増えて、差が残らないからです。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢4(地盤aと等しい組合せ)
> この論点をやさしく解説:有効応力|全応力から間隙水圧を引く
水面が地表面の4m上にある地盤bと、2m上にある地盤cは、この理由で地盤aと同じ値です。値が動くのは、地下水面が地表面より下がった地盤dだけです。
各選択肢の正誤
深さ10mの鉛直有効応力は、地盤aから地盤cまでが80kN/m²、地盤dだけが112kN/m²です。地表面より上に水があるbとcは、aと同じ値になります。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 地盤b | ×(誤り) | bは正しいが、同じ80になるcを外している |
| 2 地盤c | ×(誤り) | cは正しいが、同じ80になるbを外している |
| 3 地盤d | ×(誤り) | dだけが112で、aの80と違う |
| 4 地盤bと地盤c | ○(正しい) | どちらも地表面より上に水があり、80でaと一致する |
| 5 地盤cと地盤d | ×(誤り) | cは正しいがdが112で合わない |
地表面より上の水は全応力と間隙水圧を同じだけ増やすので、差である有効応力を変えません。地盤dだけは地下水面が地表面より下がっており、湿潤単位体積重量の層ができて値が上がります。
選択肢4のポイント(ここが誤り)
4つの地盤で点Aの応力を出す
水を上に積んでも有効応力が動かない理由
水面を1m上げると、点Aの全応力は水の単位体積重量ぶんだけ増えます。同時に間隙水圧も同じ10kN/m²だけ増えます。
差を取ると増えた分が打ち消し合うので、有効応力は元のままです。地表面より上の水は、土粒子どうしを押し付ける力にならないと読み替えられます。
地盤dだけ値が上がる理由
地下水面が4m下がると、その4mは湿潤単位体積重量16kN/m³で効きます。全応力は172kN/m²まで下がりますが、間隙水圧は60kN/m²までもっと大きく下がります。
引き算の結果は112kN/m²で、地盤aの80kN/m²より32kN/m²大きい値です。地下水位が下がると圧密沈下が起きるのは、この増分が効くからです。
選択肢の絞り方
選択肢は地盤b・地盤c・地盤d・地盤bと地盤c・地盤cと地盤dの5通りが並びます。地盤dが外れると分かった時点で、残るのは選択肢1・選択肢2・選択肢4です。
そのうち2つ挙げているのは選択肢4だけになります。
覚え方
- 地表面より上の水は有効応力を変えない
- 全応力と間隙水圧が同じだけ増えて打ち消し合う
- 地表面より上の水は土粒子どうしを押し付ける力にならない
理解度チェック
有効応力はどう定義されるか。
全応力から間隙水圧を引いた値です。土粒子どうしが押し合う力にあたります。
地表面より上の水位を上げると有効応力はどうなるか。
変わりません。全応力と間隙水圧が同じだけ増えます。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」1ページ Ⅲ-2
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月