平成30年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-7 を解説、上向き溶接は避ける
平成30年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-7は、鋼構造物の溶接継手の設計上の留意点に関する問題です。この問題では、5つの記述のうち最も不適切なものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、溶接しやすい構造をどう設計するかを問うものです。引っかけの核心はどの姿勢の溶接を可能にすべきかで、避けるべき姿勢が推奨として書かれています。
残る4つは連結部の単純化・偏心と板厚差・応力集中と溶接量・全断面溶込み溶接で、いずれも正しい記述です。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢1(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:溶接継手|開先と溶接の種類
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 できるだけ上向き溶接が可能な構造とする | ×(誤り) | 上向きは溶けた金属が落ちる。下向きでできる構造にする |
| 2 連結部は単純に・スカラップを設ける | ○(正しい) | 溶接の集中と交差を避けるための処置 |
| 3 偏心を避け板厚差を少なく | ○(正しい) | 応力の伝達を素直にするための配慮 |
| 4 応力集中を避け溶接量は少なく | ○(正しい) | 必要な溶接サイズを確保したうえでの話 |
| 5 衝撃や繰返し応力は全断面溶込み溶接 | ○(正しい) | 疲労に対して有利な継手形式 |
選択肢1は「十分考慮し」という前置きが正しいので、最後の「上向き溶接が可能な構造」だけが誤りです。姿勢の良し悪しを知らないと通り過ぎます。
選択肢1のポイント(ここが誤り)
上向き溶接では、溶けた金属が重力で落ちてしまい、溶け込み不足や垂れが起きやすくなります。作業姿勢としても無理があります。
だから設計では、現場で下向き溶接ができる姿勢を取れるように部材の割付けと溶接順序を決めます。工場で先に溶接しておくのも同じ考え方です。
令和2年度Ⅲ-7も「上向き溶接は避ける」を論点にしており、同じところを2回問うています。
覚え方
- 溶接は下向きでできる構造にする(上向きは避ける)
- 溶けた金属は重力で落ちるので溶込み不足が起きる
- 溶接の集中・交差を避け、必要ならスカラップを設ける
理解度チェック
設計ではどの溶接姿勢を可能にすべきか。
下向き溶接です。上向きは溶けた金属が落ちるので避けます。
スカラップは何のために設けるか。
溶接の集中や交差を避けるためです。
出典
- 公益社団法人 日本技術士会「平成30年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」4ページ Ⅲ-7
- 公益社団法人 日本技術士会「平成30年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月
▼平成30年度 建設部門(35問中 解説15問)▼
- Ⅲ-1 飽和度の式は含水比が分子
- Ⅲ-2 地下水では速度水頭が無視できる
- Ⅲ-3 非排水せん断強度は一軸圧縮強度の半分
- Ⅲ-4 土被り圧は鉛直応力
- Ⅲ-5 断面二次半径は幅に依存しない
- Ⅲ-6 耐候性鋼材は腐食性の低い環境で使う
- Ⅲ-7|上向き溶接は避ける
- Ⅲ-8 三角形分布荷重は2次と3次に分かれる
- Ⅲ-9 床版に載せるのはT荷重
- Ⅲ-10 暑いほど打ち終わるまでの時間は短い
- Ⅲ-11 中性化はpHを低下させる
- Ⅲ-12 プレとポストは打込みに対する緊張の前後
- Ⅲ-17 圧力水頭がゼロでも流れは止まらない
- Ⅲ-18 マニングの式で流速は粗度係数に反比例
- Ⅲ-19 効くのは点Cと点Bの高さの差
- ▶ 平成30年度 一覧へ