平成30年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-6 を解説、耐候性鋼材は腐食性の低い環境で使う
平成30年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-6は、鋼材の腐食及び防食に関する問題です。この問題では、5つの記述のうち最も不適切なものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、防食法それぞれの仕組みと使いどころを問うものです。引っかけの核心は耐候性鋼材が使える環境で、1つの文の前半と後半が食い違っています。
残る4つは塗装・厚膜被覆・溶融めっき・金属溶射で、いずれも正しい記述です。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢5(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:鋼材の腐食と防食|アノードとカソード
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 塗装 | ○(正しい) | 塗膜が酸素・水・塩化物イオンの侵入を抑える |
| 2 厚膜被覆 | ○(正しい) | 港湾・海洋鋼構造物の飛沫部や干満部に使う |
| 3 溶融めっき | ○(正しい) | 亜鉛・アルミニウム・亜鉛アルミ合金の浴に浸す |
| 4 金属溶射 | ○(正しい) | 溶射後に封孔処理が要る点まで正しい |
| 5 耐候性鋼材は腐食性の高い環境に適用 | ×(誤り) | 塩化物イオンの少ない環境で保護性錆ができる。高腐食環境には使えない |
選択肢5は前半で「塩化物イオンのほとんどない環境で保護性錆ができる」と正しく書いています。その前半を読めば後半が成り立ちません。
選択肢5のポイント(ここが誤り)
耐候性鋼材は、適度な乾湿の繰返しを受けることで表面に緻密な保護性錆をつくります。塩化物イオンが多いとこの錆が育たず、普通の鋼と同じようにさびます。
だから海岸沿いのような腐食性の高い環境では使えません。使えるのは塩分の少ない内陸側です。
令和7年度Ⅲ-8も同じ誤り肢で、位置が⑤から③へ動いています。令和7年度は「保護性錆」が「保護性錆び」になり、「非常に腐食性の高い環境」の「非常に」が落ちています。
覚え方
- 耐候性鋼材は塩分の少ない環境でだけ保護性錆ができる
- 海岸沿いなど腐食性の高い環境には使わない
- 1つの文の中で前半と後半が矛盾していたら、そこが誤り
理解度チェック
耐候性鋼材はどんな環境で使うか。
塩化物イオンの少ない、腐食性の低い環境です。
なぜ塩分が多いと使えないのか。
緻密な保護性錆が育たず、普通の鋼と同じようにさびてしまうためです。
出典
- 公益社団法人 日本技術士会「平成30年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」3ページ Ⅲ-6
- 公益社団法人 日本技術士会「平成30年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月
▼平成30年度 建設部門(35問中 解説15問)▼
- Ⅲ-1 飽和度の式は含水比が分子
- Ⅲ-2 地下水では速度水頭が無視できる
- Ⅲ-3 非排水せん断強度は一軸圧縮強度の半分
- Ⅲ-4 土被り圧は鉛直応力
- Ⅲ-5 断面二次半径は幅に依存しない
- Ⅲ-6|耐候性鋼材は腐食性の低い環境で使う
- Ⅲ-7 上向き溶接は避ける
- Ⅲ-8 三角形分布荷重は2次と3次に分かれる
- Ⅲ-9 床版に載せるのはT荷重
- Ⅲ-10 暑いほど打ち終わるまでの時間は短い
- Ⅲ-11 中性化はpHを低下させる
- Ⅲ-12 プレとポストは打込みに対する緊張の前後
- Ⅲ-17 圧力水頭がゼロでも流れは止まらない
- Ⅲ-18 マニングの式で流速は粗度係数に反比例
- Ⅲ-19 効くのは点Cと点Bの高さの差
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