令和7年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-8 を解説、鋼材の腐食及び防食
令和7年度 建設部門Ⅲ-8は、鋼材の腐食と防食法をまとめて問う設問です。
この問題のポイント
防食法の名前と中身の対応はどれも正しく書かれています。
分かれ目は耐候性鋼材だけで、材料の説明は正しいのに最後の一文で適用環境を逆にしてあります。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢3(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:鋼材の腐食と防食|耐候性鋼材が使えない環境
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 厚膜被覆 | ○(正しい) | 有機材料を1mm以上に被覆する長期の防食法で、飛沫帯や干満帯に使う |
| 2 ジンクリッチペイント | ○(正しい) | 塗膜中の亜鉛末が鋼材に接触し、傷が入っても犠牲防食が働く |
| 3 耐候性鋼材 | ×(誤り) | 材料の説明は正しいが、腐食性の高い環境に適用されるという結びが逆 |
| 4 溶融めっき | ○(正しい) | 溶融金属浴に浸漬して皮膜をつくる。亜鉛やアルミニウムを使う |
| 5 金属溶射 | ○(正しい) | 皮膜に気孔が残るため、溶射後に封孔処理が必要になる |
説明が長い選択肢ほど、末尾まで読み切る必要があります。
選択肢3のポイント(ここが誤り)
選択肢3のどこが誤りか
耐候性鋼材は、緻密な保護性さびを表面につくらせて腐食の進展を抑える鋼材です。そのさびが育つ条件は、適度な乾湿の繰返しと、塩化物イオンがほとんどないことになります。
選択肢3はその条件を正しく書いておきながら、最後に「腐食性の高い環境に適用される」と結んでいます。条件と結論が逆を向いているので、ここが不適切です。
この設問は7年前にも出ている
同じ誤り記述が平成30年度 建設部門Ⅲ-6にも置かれており、そのときの正答は選択肢5でした。位置が5から3へ動き、平成30年度の「保護性錆」が「保護性錆び」に、「非常に腐食性の高い環境」が「腐食性の高い環境」に変わっています。
覚え方
- 耐候性鋼材は、さびを利用する材料であってさびに強い材料ではありません。飛来塩分の多い海岸部や常時濡れている場所では、緻密なさび層になりません。
- 厳しい環境で使うのは厚膜被覆や金属溶射のほうです。
理解度チェック
耐候性鋼材が海岸部で使いにくいのはなぜか。
飛来塩分の塩化物イオンが緻密な保護性さびの形成を妨げるためです。さびが緻密にならず腐食が進みます。
金属溶射のあとに封孔処理が要る理由は何か。
溶射直後の皮膜に多くの気孔が残るためです。気孔から水分などの腐食因子が侵入します。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和7年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」5ページ Ⅲ-8
公益社団法人 日本技術士会「令和7年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
公益社団法人 日本技術士会「平成30年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」Ⅲ-6
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月