平成30年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-11 を解説、中性化はpHを低下させる
平成30年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-11は、コンクリート構造物の劣化現象に関する問題です。この問題では、5つの記述のうち最も不適切なものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、劣化機構それぞれの中身を押さえているかを問うものです。引っかけの核心は中性化でpHが上がるか下がるかで、上昇と書いてあります。
残る4つは凍害・アルカリシリカ反応・床版の疲労・すりへりで、いずれも正しい記述です。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢2(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:コンクリートの劣化|調査で何を見るか
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 凍害 | ○(正しい) | 凍結融解の繰返しでスケーリング・微細ひび割れ・ポップアウトが出る |
| 2 中性化はpHを上昇させる | ×(誤り) | 正しくは低下。名前どおりアルカリ性から中性へ寄る |
| 3 アルカリシリカ反応 | ○(正しい) | 反応性シリカ鉱物がアルカリ性水溶液と反応して膨張する |
| 4 床版の疲労 | ○(正しい) | 輪荷重の繰返しでひび割れや陥没が生じる |
| 5 すりへり | ○(正しい) | 流水や車輪の摩耗で断面が徐々に失われる |
選択肢2は「鋼材の腐食が促進され」から後ろがすべて正しい記述です。pHの向きという1語だけで誤りになります。
選択肢2のポイント(ここが誤り)
コンクリートは本来アルカリ性で、その環境が鉄筋の表面に不動態被膜をつくって守っています。二酸化炭素が入ってpHが下がると、この被膜が壊れて鉄筋がさびます。
「中性化」という名前がそのまま向きを表しています。アルカリ性から中性へ寄る現象なので、pHは低下します。
令和3年度Ⅲ-12も「中性化はpHが低下する」を論点にしており、同じところを2回問うています。
覚え方
- 中性化はpHを下げる(名前のとおりアルカリから中性へ)
- pHが下がると鉄筋の不動態被膜が壊れてさびる
- コンクリート自体でなく鉄筋の防食が失われるのが問題
理解度チェック
Q.
中性化はpHをどうするか。
低下させます。アルカリ性から中性へ寄る現象です。
Q.
中性化の何が問題になるか。
鉄筋を守っている不動態被膜が失われ、鉄筋がさびることです。
スポンサーリンク
出典
- 公益社団法人 日本技術士会「平成30年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」6ページ Ⅲ-11
- 公益社団法人 日本技術士会「平成30年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月
▼平成30年度 建設部門(35問中 解説15問)▼
- Ⅲ-1 飽和度の式は含水比が分子
- Ⅲ-2 地下水では速度水頭が無視できる
- Ⅲ-3 非排水せん断強度は一軸圧縮強度の半分
- Ⅲ-4 土被り圧は鉛直応力
- Ⅲ-5 断面二次半径は幅に依存しない
- Ⅲ-6 耐候性鋼材は腐食性の低い環境で使う
- Ⅲ-7 上向き溶接は避ける
- Ⅲ-8 三角形分布荷重は2次と3次に分かれる
- Ⅲ-9 床版に載せるのはT荷重
- Ⅲ-10 暑いほど打ち終わるまでの時間は短い
- Ⅲ-11|中性化はpHを低下させる
- Ⅲ-12 プレとポストは打込みに対する緊張の前後
- Ⅲ-17 圧力水頭がゼロでも流れは止まらない
- Ⅲ-18 マニングの式で流速は粗度係数に反比例
- Ⅲ-19 効くのは点Cと点Bの高さの差
- ▶ 平成30年度 一覧へ