令和元年度(再試験) 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-12 を解説、格子状ひび割れは疲労の特徴
令和元年度(再試験) 建設部門Ⅲ-12は、コンクリート構造物の劣化機構と、その変状の外観上の特徴の組合せを問う設問です。
この問題のポイント
格子状ひび割れと角落ちは、床版の疲労に現れる特徴です。
選択肢4はそれを凍害に付けているので、組合せが違います。凍害の特徴は微細ひび割れ・スケーリング・ポップアウトです。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢4(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:コンクリートの劣化|調査で何を見るか
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 塩害=鋼材軸方向のひび割れ・さび汁・断面欠損 | ○(正しい) | 鉄筋がさびて膨張し、鉄筋に沿って割れる |
| 2 中性化=鋼材軸方向のひび割れ・剥離 | ○(正しい) | こちらも鉄筋の腐食が原因なので同じ現れ方 |
| 3 アルカリシリカ反応=膨張ひび割れ・ゲル・変色 | ○(正しい) | 拘束方向や亀甲状に膨張ひび割れが出る |
| 4 凍害=格子状ひび割れ・角落ち | ×(誤り) | それは疲労の特徴。凍害はスケーリングとポップアウト |
| 5 化学的侵食=変色・剥離 | ○(正しい) | 酸や硫酸塩がセメント水和物を侵す |
水が凍って膨らむのを繰り返すので、表面が薄く剥がれたり粒が飛んだりします。残る4つは塩害・中性化・アルカリシリカ反応・化学的侵食の組合せで、いずれも正しい記述です。
選択肢4のポイント(ここが誤り)
劣化機構と外観の対応
同じ特徴が2つ並んでも誤りとは限らない
選択肢1と2は、どちらも鋼材軸方向のひび割れという同じ特徴を挙げています。重複しているから片方が誤りだろう、と考えると外します。
塩害も中性化も鉄筋が腐食して膨張するので、現れ方が似るのは当然です。組合せの設問では、重複を手がかりにしないほうが確実です。
凍害の3つの現れ方
微細ひび割れは、内部の水が凍って膨らむのを繰り返して生じます。スケーリングは表面が薄く層状に剥がれる現象です。
ポップアウトは骨材の中の水が凍り、その上のコンクリートを弾き飛ばすものです。いずれも表面から進む点が共通しています。
格子状ひび割れが疲労の印である理由
道路橋の床版は、車輪が繰り返し通ることで疲労します。橋軸方向と橋軸直角方向の両方にひび割れが入るので、格子状に見えます。
進行すると交点で角が落ちて、抜け落ちに至ります。床版特有の変状なので、劣化機構としては疲労に分類します。
覚え方
- 格子状ひび割れ・角落ちは床版の疲労
- 凍害は微細ひび割れ・スケーリング・ポップアウト
- 塩害と中性化はどちらも鋼材軸方向のひび割れ(重複は誤りの手がかりにしない)
理解度チェック
格子状ひび割れと角落ちは何の特徴か。
床版の疲労です。凍害ではありません。
凍害の外観上の特徴は何か。
微細ひび割れ・スケーリング・ポップアウトです。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和元年度(再試験) 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」6ページ Ⅲ-12
公益社団法人 日本技術士会「令和元年度(再試験) 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月