令和元年度(再試験) 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-11 を解説、害のないひび割れは許容する
令和元年度(再試験) 建設部門Ⅲ-11は、コンクリートの品質について5つの記述を並べた設問です。
この問題のポイント
構造物の性能に悪影響を及ぼさない程度のひび割れは許容します。
選択肢3は「許容しないようにする」と書いているので、そこが誤りです。コンクリートは乾燥収縮や温度変化で必ずひび割れるので、ゼロにはできません。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢3(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:コンクリートの劣化|調査で何を見るか
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 設計段階で想定した強度 | ○(正しい) | 供用期間中に安全性や使用性を満たすために必要 |
| 2 水密性 | ○(正しい) | 水分の浸透に対する抵抗性。貯蔵施設や地下構造物などに求められる |
| 3 害のないひび割れも許容しない | ×(誤り) | 悪影響を及ぼさない程度のひび割れは許容する |
| 4 製造管理 | ○(正しい) | バッチ間の変動を少なくし、安定した品質を供給する |
| 5 ワーカビリティー | ○(正しい) | 運搬・打込み・締固め・仕上げの作業に適していること |
実務では幅と本数を制御して、性能を保てる範囲に収めます。前半の「ひび割れの発生しにくいコンクリートを用いることは重要」は正しい記述です。
選択肢3のポイント(ここが誤り)
ひび割れをどう扱うか
最後の一言だけで反転する型
選択肢3の前半は、ひび割れの発生しにくいコンクリートが重要だと正しく書いています。そこまで読んで納得すると、末尾の「も許容しないようにする」を見落とします。
1つの文の中で正しい話から誤った結論へ移る作りです。この年度はⅢ-4も同じ型なので、2問とも文末まで読む必要があります。
なぜひび割れをゼロにできないか
コンクリートは硬化するときに水が抜けて縮みます。縮もうとする動きが鉄筋や周りの部材に拘束されると、引張力が生じます。
コンクリートは引張に弱いので、この段階で細かく割れます。設計はそれを前提にして、幅が広がらないよう鉄筋を配置します。
水密性が求められる構造物
貯水槽や上下水道施設は、水を漏らさないことが機能そのものです。地下構造物やトンネルは、外から水が入らないことが求められます。
こうした構造物では、ひび割れの許容幅を一般の構造物より厳しく決めます。許容するといっても、条件によって幅の基準は変わります。
覚え方
- 性能に悪影響のないひび割れは許容する(ゼロにする設計は無い)
- 硬化収縮が拘束されて引張が生じ、引張に弱いから割れる
- 水密性が要る構造物ほど許容幅は厳しい
理解度チェック
害のないひび割れは許容するか。
許容します。ゼロにする設計は成立しません。
なぜひび割れをゼロにできないか。
硬化時の収縮が拘束されて引張力が生じ、引張に弱いコンクリートが割れるからです。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和元年度(再試験) 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」5ページ Ⅲ-11
公益社団法人 日本技術士会「令和元年度(再試験) 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月