令和元年度(再試験) 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-10 を解説、水セメント比が大きいと中性化は速い
令和元年度(再試験) 建設部門Ⅲ-10は、コンクリートについて5つの記述を並べた設問です。
この問題のポイント
水セメント比が大きいほど、中性化は速く進みます。
選択肢2は「遅くなる」と書いているので、向きが逆です。水が多いと硬化したあとに空隙が残り、組織が粗くなります。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢2(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:フレッシュコンクリート|スランプと単位水量
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 圧縮強度 | ○(正しい) | 水セメント比が大きいほど小さくなる |
| 2 中性化速度 | ×(誤り) | 水セメント比が大きいほど速くなる |
| 3 引張強度の試験 | ○(正しい) | コンクリートの割裂引張強度試験方法で求める |
| 4 凍害対策 | ○(正しい) | 水セメント比を小さくすることが対策の1つ |
| 5 乾燥収縮 | ○(正しい) | 単位水量が多いほど大きくなる |
粗い組織には二酸化炭素が入り込みやすいので、中性化が速く進みます。残る4つは圧縮強度・引張強度の試験方法・凍害対策・乾燥収縮で、いずれも正しい記述です。
選択肢2のポイント(ここが誤り)
水が多いとどうなるか
1つだけ向きが逆の記述を探す
この設問は5つのうち4つが、水が多いと性能が下がるという向きで書かれています。選択肢2だけが、水が多いと中性化が遅くなるという有利な向きです。
水を増やして良くなる性質はほとんどありません。向きがそろっていない1つを見つけるだけで切れます。
中性化そのものは何が問題か
コンクリートは本来アルカリ性で、その環境が鉄筋を守る不動態被膜を保っています。二酸化炭素が入って中性に近づくと、この被膜が壊れて鉄筋がさびます。
コンクリート自体が弱くなるわけではなく、鉄筋の防食が失われるのが問題です。だから中性化の深さが鉄筋まで届く前に手を打ちます。
引張強度を割裂試験で測る理由
コンクリートを直接引っ張ると、つかむところで先に壊れて正しい値が出ません。そこで円柱を横に寝かせて押しつぶし、内部に生じる引張で割ります。
この方法なら安定した値が得られるので、標準の試験になっています。
覚え方
- 水が多いほど中性化は速い(組織が粗くなる)
- 水セメント比が大きいほど圧縮強度は下がり、乾燥収縮は増える
- 水を増やして良くなる性質はほぼ無い(向きの違う1つを探す)
理解度チェック
水セメント比が大きいと中性化はどうなるか。
速くなります。組織が粗くなって二酸化炭素が入りやすいからです。
中性化の何が問題か。
鉄筋を守っている不動態被膜が失われ、鉄筋がさびることです。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和元年度(再試験) 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」5ページ Ⅲ-10
公益社団法人 日本技術士会「令和元年度(再試験) 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月