令和6年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-12 を解説、コンクリート構造物の劣化現象
令和6年度 建設部門Ⅲ-12は、コンクリート構造物の劣化現象の名前と中身の対応を問う設問です。
この問題のポイント
この型は、名前と原因物質の対応を1つずつ照らすだけで解けます。
選択肢4は名前が中性化なのに、原因として酸性物質や硫酸イオンが書かれています。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢4(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:コンクリートの劣化機構|寒冷地域は凍害、ASRはアルカリ性で膨張
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 アルカリシリカ反応 | ○(正しい) | 骨材中の反応性シリカ鉱物がアルカリ性水溶液と反応し異常膨張する |
| 2 床版の疲労 | ○(正しい) | 輪荷重の繰返し作用で床版にひび割れや陥没を生じる |
| 3 塩害 | ○(正しい) | 塩化物イオンが鋼材の腐食を促進し、ひび割れ・剥離・断面減少を招く |
| 4 中性化と水分浸透による鋼材腐食 | ×(誤り) | 書かれている中身は化学的侵食。中性化の原因は二酸化炭素になる |
| 5 凍害 | ○(正しい) | 水分の凍結と融解の繰返しでスケーリング・微細ひび割れ・ポップアウトが生じる |
中性化の原因は空気中の二酸化炭素で、細孔溶液のpHが下がって鋼材の不動態皮膜が失われます。酸性物質や硫酸イオンで硬化体が分解するのは化学的侵食です。
選択肢4のポイント(ここが誤り)
★劣化機構は「原因物質」を1語で持てば、名前と中身の入れ替えに気付けます。
劣化機構と原因物質の対応
中性化の原因は空気中の二酸化炭素です。塩害の原因は塩化物イオン、アルカリシリカ反応の原因は骨材中の反応性シリカ鉱物です。
凍害の原因は水分の凍結融解で、化学的侵食の原因は酸や硫酸塩です。床版の疲労だけは化学反応でなく、輪荷重の繰返しという力の作用によります。
選択肢4のどこが誤りか
中性化は、二酸化炭素がコンクリート中に入って水酸化カルシウムを炭酸カルシウムに変える反応です。細孔溶液のpHが下がると鋼材表面の不動態皮膜が失われ、水分と酸素があれば腐食が始まります。
選択肢4はこの経路を書かず、酸性物質や硫酸イオンとの接触で硬化体が分解すると書いています。化合物生成時の膨張圧という表現も硫酸塩による化学的侵食の説明です。
2年続けて劣化機構が出ている
令和7年度のⅢ-12も劣化機構を問う設問でした。そちらは劣化機構と特徴の組合せを選ぶ形で、正答は選択肢5でした。
問い方は変わっていますが、必要な知識は原因物質の対応表のままです。
覚え方
- 劣化機構は原因物質を1語で持つ
- 中性化=二酸化炭素/塩害=塩化物イオン/ASR=反応性シリカ鉱物
- 凍害=水の凍結融解/化学的侵食=酸・硫酸塩/床版疲労=輪荷重の繰返し
理解度チェック
中性化の原因物質は何か。
空気中の二酸化炭素です。細孔溶液のpHが下がって鋼材の不動態皮膜が失われます。
酸性物質や硫酸イオンでコンクリートが分解する劣化は何と呼ぶか。
化学的侵食です。化合物生成時の膨張圧でひび割れや剥離も生じます。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和6年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」6ページ Ⅲ-12
公益社団法人 日本技術士会「令和6年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月