令和6年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-8 を解説、鋼材の腐食(アノードとカソード)
令和6年度 建設部門Ⅲ-8は、腐食反応の説明文の空欄a〜eに語句を入れる組合せの設問です。
この問題のポイント
組合せの設問は、5本の選択肢を頭から読む必要がありません。
1列で複数を落とせる列から見ると、2列で1本に絞れます。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢1(最も適切な語句の組合せ)
> この論点をやさしく解説:鋼材の腐食と防食|耐候性鋼材が使えない環境
各選択肢の正誤
組合せのどこが入れ替えてあるかを1行ずつ確かめます。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| a 鉄が溶出する反応 | アノード反応 | 金属が電子を放して溶け出す側。鉄の溶出はこちら |
| b aと等量で進む反応 | カソード反応 | 放された電子を受け取る側。酸素が還元される |
| c bに必要な物質 | 水 | 水分と鉄の接触が前提になる |
| d bに必要な物質 | 酸素 | 酸素の供給が絶たれると腐食は進まない |
| e 緻密なさび層 | 耐候性鋼材 | 表面に緻密な保護性さびを作らせて板厚減少を抑える |
この設問ではa列とd列がその列です。a列が「カソード反応」になっている選択肢3と選択肢5は、鉄が溶出する側の名前を逆にしているので落ちます。
選択肢1のポイント(ここが誤り)
残った1・2・4のうちd列が「窒素」の選択肢2と選択肢4も落ち、選択肢1だけが残ります。
2列で絞る手順
まずa列を見ます。鉄が溶出するのはアノード反応なので、a列がカソード反応の選択肢3と選択肢5は消えます。
次はd列です。カソード反応に必要なのは水と酸素なので、d列が窒素の選択肢2と選択肢4も消えます。
残るのは選択肢1だけです。
片方を止めれば両方止まる理由
アノード反応とカソード反応は、放された電子の数と受け取られた電子の数が釣り合う形で進みます。そのため片方の反応を抑えれば、もう片方も自動的に抑えられます。
塗装は水と酸素の供給を遮ってカソード反応を止め、電気防食は電子を外から与えてアノード反応を止めます。防食法が「遮る」と「電子を与える」の2系統に分かれるのは、この釣り合いに対応しています。
eの候補の見分け
選択肢に並ぶeの候補は耐候性鋼材・金属溶射・溶融亜鉛めっきの3つです。このうち「緻密なさび層を形成させ、それが表面を保護する」のは耐候性鋼材だけです。
金属溶射と溶融亜鉛めっきは、鋼材より先に溶ける金属で覆う方法です。
覚え方
- 鉄が溶け出す側がアノード、酸素が消費される側がカソード
- 腐食に要るのは水と酸素(窒素は関わらない)
- 組合せ問題は1列ずつ潰して候補を消す
理解度チェック
鉄が溶出する反応はアノードとカソードのどちらか。
アノード反応です。金属が電子を放して溶け出す側です。
片方の反応を抑えるともう片方も抑えられるのはなぜか。
放された電子の数と受け取られた電子の数が釣り合って進むためです。片方が止まれば電子の受け渡しが成立しません。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和6年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」4ページ Ⅲ-8
公益社団法人 日本技術士会「令和6年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
公益社団法人 日本技術士会「令和7年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」5ページ Ⅲ-8
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月