平成23年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅳ-12 を解説、フィルダムは基礎の制約が少ない
平成23年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅳ-12は、ダムに関する問題です。この問題では、5つの記述のうち誤っているものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、フィルダムとコンクリートダムの性格の違いを分かっているかを問うものです。引っかけの核心は基礎の制約の多い少ないが逆にしてある点で、フィルダムのほうが少なくなります。
残る4つはダム設計洪水流量、滑動と転倒、引張応力、放流施設です。いずれも正しい記述です。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢1(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:斜面の安全率|すべり面に沿って抵抗と滑動を比べる
各選択肢の正誤
5つのうち4つはダムの基本です。誤りは1つで、多い少ないが逆にしてあります。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 フィルダムはコンクリートダムに比べ、基礎の強さの面からの制約条件が多い | ×(誤り) | 少ない。底面が広く荷重が分散する |
| 2 フィルダムのダム設計洪水流量はコンクリートダムよりも大きくする | ○(正しい) | 越流に弱いので余裕を持たせる |
| 3 重力式コンクリートダムの堤体は滑動し、又は転倒しない構造とする | ○(正しい) | 自重で押さえる形式 |
| 4 重力式コンクリートダムの形状は、堤体の上流面に鉛直方向の引張応力を生じないようにする | ○(正しい) | コンクリートは引張に弱い |
| 5 フィルダムの堤体には放流施設その他の水路構造物を設けてはならない | ○(正しい) | 堤体に穴を開けると弱点になる |
選択肢2と5はどちらもフィルダムが水に弱いという同じ理由から出ています。1だけが逆を向いています。
選択肢1のポイント(ここが誤り)
フィルダムは土や岩を積んだダムで、底面が広いので荷重が分散します。だから基礎の岩盤に求める強さはコンクリートダムより低くて済みます。
コンクリートダムは底面が狭く、狭い範囲に大きな力がかかります。だから固い岩盤が要り、基礎の制約が多くなります。
選択肢2と5はどちらもフィルダムが越流に弱いためです。水が堤体を越えたり堤体を貫いたりすると、そこから削られていきます。
覚え方
- フィルダムは底面が広く基礎の制約が少ない
- コンクリートダムは固い岩盤が要る
- フィルダムは越流に弱い
理解度チェック
フィルダムとコンクリートダムでは、どちらが基礎の制約が多いか。
コンクリートダムです。底面が狭く力が集中するためです。
フィルダムの堤体に放流施設を設けないのはなぜか。
堤体に穴を開けると弱点になり、そこから削られるためです。
出典
- 公益社団法人 日本技術士会「平成23年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」6ページ Ⅳ-12
- 公益社団法人 日本技術士会「平成23年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月
▼平成23年度 建設部門(35問中 解説15問)▼
- Ⅳ-1 限界動水勾配は上向きの浸透力
- Ⅳ-2 過圧密が弾性、正規圧密が塑性
- Ⅳ-3 盛土は非排水、切取りは排水
- Ⅳ-4 湿潤から乾燥へ直してから1を引く
- Ⅳ-5 水圧に静止土圧係数は掛けない
- Ⅳ-6 単純ばり中央のたわみは分母48
- Ⅳ-7 断面二次半径は幅に依存しない
- Ⅳ-8 亜鉛の被膜は溶融亜鉛めっき
- Ⅳ-9 L荷重とT荷重の6年度目
- Ⅳ-10 高炉セメントは初期強度が低い
- Ⅳ-11 急縮部でも損失は生じる
- Ⅳ-12|フィルダムは基礎の制約が少ない
- Ⅳ-17 捨石が高いほど傾斜堤に近い
- Ⅳ-18 180度転回のための拡幅は転回区域
- Ⅳ-19 屈曲部は支台でなく固定台
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