平成23年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅳ-1 を解説、限界動水勾配は上向きの浸透力
平成23年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅳ-1は、土中の浸透と地下水に関する問題です。この問題では、5つの記述のうち誤っているものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、限界動水勾配が起きる向きを分かっているかを問うものです。引っかけの核心は浸透力の向きを下向きにしてある点で、上向きでないと有効応力は減りません。
残る4つは速度水頭、ダルシーの法則、帯水層、地下水面の定義です。いずれも正しい記述です。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢5(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:土の透水|ダルシーの法則と動水勾配
各選択肢の正誤
5つのうち4つは浸透の基本です。誤りは1つで、力の向きが逆にしてあります。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 速度水頭は非常に小さいので無視でき、全水頭は圧力水頭と位置水頭の和で表される | ○(正しい) | 地下水の流速は極めて遅い |
| 2 飽和した多孔質媒体中の地下水の流量、速度はダルシーの法則に従う | ○(正しい) | 層流である限り成り立つ |
| 3 地下水によって飽和されている透水性の良好な地盤を帯水層という | ○(正しい) | 水を蓄えて通す層 |
| 4 水が自由に上下に移動できる大気圧と等しい圧力を持つ地下水の表面を地下水面という | ○(正しい) | 圧力水頭がゼロの面 |
| 5 下向きの浸透力によって有効応力がゼロになるような動水勾配を限界動水勾配という | ×(誤り) | 上向きの浸透力。下向きでは有効応力が増える |
選択肢5は前半の説明が正しいので、最初の向きだけを見る必要があります。土粒子が浮き上がる向きを考えると決まります。
選択肢5のポイント(ここが誤り)
上向きの流れは土粒子を持ち上げる方向に働きます。有効応力がゼロになるとボイリングが起き、砂が湧き上がります。
下向きの流れなら逆に土粒子を押しつける方向なので、有効応力はむしろ増えます。限界動水勾配という状態にはなりません。
選択肢1の記述は平成24年度Ⅳ-5で「圧力水頭は無視できる」とすり替えられています。同じ内容を正しい形と崩した形で出し分けています。
覚え方
- 限界動水勾配は上向きの浸透力で起きる
- 有効応力がゼロになるとボイリング
- 地下水では速度水頭が無視できる
理解度チェック
限界動水勾配はどの向きの浸透力で起きるか。
上向きです。土粒子を持ち上げる方向に働きます。
地下水の流れで無視できる水頭はどれか。
速度水頭です。流速が極めて遅いためです。
出典
- 公益社団法人 日本技術士会「平成23年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」1ページ Ⅳ-1
- 公益社団法人 日本技術士会「平成23年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月
▼平成23年度 建設部門(35問中 解説15問)▼
- Ⅳ-1|限界動水勾配は上向きの浸透力
- Ⅳ-2 過圧密が弾性、正規圧密が塑性
- Ⅳ-3 盛土は非排水、切取りは排水
- Ⅳ-4 湿潤から乾燥へ直してから1を引く
- Ⅳ-5 水圧に静止土圧係数は掛けない
- Ⅳ-6 単純ばり中央のたわみは分母48
- Ⅳ-7 断面二次半径は幅に依存しない
- Ⅳ-8 亜鉛の被膜は溶融亜鉛めっき
- Ⅳ-9 L荷重とT荷重の6年度目
- Ⅳ-10 高炉セメントは初期強度が低い
- Ⅳ-11 急縮部でも損失は生じる
- Ⅳ-12 フィルダムは基礎の制約が少ない
- Ⅳ-17 捨石が高いほど傾斜堤に近い
- Ⅳ-18 180度転回のための拡幅は転回区域
- Ⅳ-19 屈曲部は支台でなく固定台
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