令和4年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-11 を解説、引張強度と圧縮強度の比は一定でない
令和4年度 建設部門Ⅲ-11は、コンクリートの性質を5つの記述で問う設問です。
この問題のポイント
選択肢2は「この比は圧縮強度によらず一定」と書いているところが誤りです。
引張強度は圧縮強度より大幅に小さく、比は圧縮強度が高くなるほど下がります。比の値そのものより、「一定」という言い切りを疑うほうが早く決まります。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢2(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:フレッシュコンクリート|単位水量を増やすと材料分離しやすくなる
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 圧縮強度の基準 | ○(正しい) | 温度20℃の水中養生を行った材齢28日の圧縮強度を基準とする |
| 2 引張強度との比 | ×(誤り) | 比は圧縮強度によって変わる。一定ではない |
| 3 自己収縮 | ○(正しい) | セメントの水和反応で水が消費されてコンクリートが縮む現象 |
| 4 クリープ | ○(正しい) | 持続荷重で、弾性ひずみに加えて時間とともにひずみが増大する現象 |
| 5 静弾性係数 | ○(正しい) | 初期接線弾性係数・割線弾性係数・接線弾性係数がある |
残る4つは強度の基準・自己収縮・クリープ・静弾性係数の定義どおりです。材齢28日・温度20℃の水中養生という条件は、圧縮強度の基準として正しい記述です。
選択肢2のポイント(ここが誤り)
収縮と変形の見分け
「一定」と書いてある記述を疑う
コンクリートの引張強度は圧縮強度よりはるかに小さく、ひび割れの起点になります。圧縮強度を上げても引張強度は同じ割合では増えないので、比は下がっていきます。
材料の性質を「〜によらず一定」と言い切る記述は、この設問では崩し方の型です。同じ型が令和5年度のフレッシュコンクリートにも出ています。
自己収縮とクリープは荷重の有無で分ける
自己収縮は荷重が載っていなくても、水和反応が進むだけで起きます。クリープは持続荷重が必要で、荷重を取れば一部が戻ります。
どちらも時間とともに進むので、原因が水和反応か荷重かで見分けます。
覚え方
- 引張強度は圧縮強度の1桁下だと押さえます。比が一定という記述に出会ったら、その場で切ります。
理解度チェック
引張強度と圧縮強度の比は一定か。
一定ではありません。圧縮強度が高くなるほど比は小さくなります。
圧縮強度の基準となる条件は何か。
温度20℃の水中養生を行った材齢28日です。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和4年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」7ページ Ⅲ-11
公益社団法人 日本技術士会「令和4年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月