令和4年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-8 を解説、鋼構造は薄肉で変形しやすい
令和4年度 建設部門Ⅲ-8は、鋼構造の一般的な特徴を5つの記述で問う設問です。
この問題のポイント
選択肢3は「変形が小さく、振動・騒音を生じにくい」と書いていますが、実際は逆です。
鋼構造は薄い板を組み立てるので断面が小さく、たわみやすいほうです。質量が小さいぶん振動も収まりにくく、床版や桁で騒音の対策が必要になります。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢3(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:鋼構造の特徴|強度と靱性、座屈と腐食
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 加工と接合 | ○(正しい) | 曲げ・切断ができ、溶接やボルトで接合できるので補修・補強に対応しやすい |
| 2 防食 | ○(正しい) | さびやすいため防食防錆対策が必要 |
| 3 変形と振動 | ×(誤り) | 薄肉で軽いので変形は大きく、振動・騒音は生じやすい |
| 4 工場製作 | ○(正しい) | 主として工場内で製作するため、現場での工期が短い |
| 5 重量 | ○(正しい) | 薄い板厚を溶接で組立てる薄肉構造なので、コンクリート構造より軽い |
選択肢5が同じ薄肉構造を「軽い」理由として正しく挙げているので、2つを並べれば矛盾が見えます。残る3つは加工性・防食・工場製作の教科書どおりの記述です。
選択肢3のポイント(ここが誤り)
薄肉構造の裏表
薄い板で断面を作るので、同じ耐力でも自重が小さく済みます。そのかわり断面が小さいのでたわみやすく、固有振動数も下がります。
軽さと変形しやすさは同じ性質の裏表で、片方だけを否定する記述は成り立ちません。歩道橋の振動対策や鋼床版の騒音対策は、この性質への手当てです。
選択肢だけで3に絞る
選択肢5は薄肉構造を軽さの理由として挙げています。選択肢3は同じ薄肉構造を変形の小ささの理由にしています。
薄い板が同時に「軽い」かつ「変形しにくい」ことはないので、どちらかが誤りです。軽いのは事実なので、残る選択肢3が誤りだと決まります。
覚え方
- 鋼は「強くて軽いが、たわむ・さびる・座屈する」で覚えます。弱点の側を否定している記述に出会ったら、まずそこを疑います。
理解度チェック
鋼構造は振動や騒音を生じにくいか。
生じやすいほうです。薄肉で軽く、変形もしやすいためです。
鋼構造の現場工期が短いのはなぜか。
主として工場内で製作するためです。現場では組立てが中心になります。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和4年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」5ページ Ⅲ-8
公益社団法人 日本技術士会「令和4年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月