令和元年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-3 を解説、直接基礎は支持力が足りるときに使う
令和元年度 建設部門Ⅲ-3は、斜面安定と基礎から5つの記述を並べた設問です。
この問題のポイント
直接基礎は、直下の地盤で構造物を支えられるときに選びます。
選択肢5は「支持力が不足する場合や、沈下が過大になる場合に用いられる」と書いています。それは杭基礎を選ぶ理由なので、説明が入れ替わっています。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢5(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:構造物の基礎|直接基礎と杭基礎の選び分け
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 簡便分割法・スウェーデン法 | ○(正しい) | 土のせん断強さを、すべり面に働くせん断力で除した値 |
| 2 円弧すべり法 | ○(正しい) | せん断強さによる抵抗モーメントを滑動モーメントで除した値 |
| 3 許容支持力 | ○(正しい) | 構造物の重要性や土質定数の精度を考えて、極限支持力を安全率で割る |
| 4 負の摩擦力 | ○(正しい) | 圧密沈下する地盤で杭が下向きに引きずられる |
| 5 直接基礎の使いどころ | ×(誤り) | 支持力不足や過大な沈下で使うのは杭基礎 |
直接基礎で持たないから、深いところの硬い層まで杭を伸ばすという順序です。残る4つは分割法・円弧すべり法・許容支持力・負の摩擦力の定義どおりです。
選択肢5のポイント(ここが誤り)
2つの基礎の選び分け
負の摩擦力は杭にだけ起きる
杭の周りの地盤が圧密で沈下すると、地盤のほうが杭より速く下がります。すると周面摩擦が上向きではなく下向きに働き、杭を押し下げる力になります。
これが負の摩擦力で、支える側だったはずの摩擦が荷重に変わります。軟弱地盤に杭を打つときは、この分を見込んで設計します。
許容支持力に安全率を掛ける向き
極限支持力は、地盤が壊れる限界の荷重です。そのまま使うわけにいかないので、安全率で割って許容支持力とします。
掛けるのではなく割るので、許容支持力は極限支持力より小さくなります。向きを逆に書いた記述が出たら、そこが誤りです。
★令和6年度Ⅲ-3・令和7年度Ⅲ-4も同じ範囲
令和6年度Ⅲ-3は斜面安定と支持力と基礎、令和7年度Ⅲ-4は構造物の基礎でした。Ⅲ-3とⅢ-4は、土質の後半で基礎を問う位置に固まっています。
直接基礎と杭基礎の選び分けは、この位置で繰り返し問われます。
覚え方
- 直接基礎は直下で支えられるとき、杭基礎は支えられないとき
- 許容支持力は極限支持力を安全率で「割る」(掛けない)
- 負の摩擦力は杭だけの現象(周りの地盤が沈んで杭を引きずる)
理解度チェック
直接基礎はどんなときに使うか。
直下の地盤で支持力も沈下も収まるときです。
支持力が足りないときはどうするか。
杭基礎にして、深いところの硬い層で支えます。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和元年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」2ページ Ⅲ-3
公益社団法人 日本技術士会「令和元年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月